この記事の共著者 : Damaris Vega, MD. ダマリス・ベガ博士は米国自治連邦区のプエルトリコにあるポンティフィカル・カトリック大学にて一般科学の学士課程を優秀な成績で修了しました。その後同連邦区のポンス医学大学にて医学博士号を取得。同医大ではアルファ・オメガ・アルファ医学栄誉協会の会長、そして米国医科大学協会における大学の代表者を務めました。テキサス大学サウスウェスタン医科大学にて内科臨床研修と内分泌学、糖尿病、ミネラル代謝学のフェローシップを修了。現在はダラスとヒューストンにて内分泌学研究者の仕事に従事。内分泌疾患専門医、糖尿病医、代謝病医の認定資格を保有。その優れた患者ケアに対し、全国品質保証委員会より高い評価を受けており、2008年、2009年、2015年には患者が選ぶ医師賞が贈られました。「Houston Endocrinology Center」の設立者及び経営最高責任者でもあり、「Juno Research, LLC.Houston EndocrinologyCenter」では数々の臨床試験の主任調査員として活躍。米国臨床内分泌医学会の名誉会員、及び米国内分泌医協会、米国糖尿病協会、内分泌研究会の会員でもあります。
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プロラクチンとは、脳下垂体から分泌されるホルモンであり、成長を促進し、代謝を調節する働きがあります。男性および女性の体内で分泌され、プロラクチンが過剰に産生されると、性欲低下、月経不順や無月経などの障害を引き起こします。[1] 高プロラクチン血症の原因は、処方薬による副作用、良性腫瘍、甲状腺機能低下症など多岐に渡るため、医師の診断を受けることが重要です。
ステップ
- 処方薬を確認します。一部の処方薬には、プロラクチン分泌を促進させる作用があります。該当する処方薬を服用している場合、薬物性による高プロラクチン血症の可能性があります。[2]
- ドーパミンはプロラクチン分泌を阻害する脳内化学物質です。ドーパミンの生成を阻害や抑制する薬剤を服用していると、プロラクチン値が上昇します。
- 精神安定剤(リスペリドン、モリンドン、トリフルオペラジン、ハロペリドールなど)および、抗うつ剤も抗ドーパミン作用を有します。また、重度の吐き気、胃酸逆流症の処方薬であるメトクロプラミドも、プロラクチンの分泌促進作用があります。
- 血圧降下剤の中に、抗ドーパミン作用を有する薬剤がありますが、発生頻度は高くありません。レセルピン、ベラパミル、メチルドパなどがこれに該当します。
- 処方薬の中止や変更を医師に相談しましょう。処方薬は急に中断しないようにしましょう。特に精神安定剤は重度の離脱症状を起こす可能性があります。抗ドーパミン作用の処方薬を中断する場合は、まず医師に注意点を確認することが重要です。
- ドーパミン分泌を阻害しない、ほかの処方薬への切り替えが可能でしょう。
- 抗精神病薬のアリピプラゾール療法を検討します。ほかの抗精神病薬からアリピプラゾールへの切り替え、もしくは、アリピプラゾールの追加により、プロラクチン値が低下することが報告されています。アリピプラゾール療法が可能か医師に相談しましょう。[3]広告
- 血液検査でプロラクチン数値を測定します。プロラクチン高値を疑う場合、医師は数値の検査を行います。プロラクチン測定には血液検査が第一選択となります。この血液検査には絶食が必要なため、検査前8時間は食事ができません。[6]
- 月経不順、無月経、不妊症、勃起障害、性欲低下、乳房腫大などの症状を呈する場合は、血液検査が行われます。
- 妊娠していない女性における、プロラクチン基準値は、5~40ng/dL(106~ 850mIU/L)であり、妊娠している女性の場合は、80~400ng/dL(1700~8500mIU/L)とされています。
- 男性の基準値は、20ng/dL(425mIU/L)未満です。
- 腎疾患などのプロラクチン高値を引き起こす疾患がないか検査するために、別の血液検査を行うことがあります。
- 数週間以内に胸部損傷を負った場合は、医師に伝えましょう。胸部外傷は一時的にプロラクチンを上昇させるため、数週間以内に胸部損傷した場合は医師に申告しましょう。また、胸部のじんましんや帯状疱疹も同様の作用をもたらします。[7]
- 通常、胸部外傷後に、プロラクチンは正常値に自然回復します。
- 甲状腺機能低下症の検査を医師に依頼しましょう。甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンの産生が不十分になる疾患です。この疾患に罹患すると、高プロラクチン血症を引き起こします。血液検査を行って甲状腺機能低下症を診断します。[8]
- 一般的に、プロラクチンの高値が認められた場合、医師は甲状腺機能低下症の検査を行いますが、検査の依頼をしてみても問題ないでしょう。
- 甲状腺機能低下症の治療には、通常レボチロキシンなどの薬物療法が行われます。
- ビタミンB6注射が適切か医師と相談しましょう。突発性の高プロラクチン血症であれば、ビタミンB6を単一投与するだけで十分な効果が得られるでしょう。しかし、静脈内または筋肉内注射が最も効果的な投与方法であるため、医師に相談が必要です。[9]
- 一般的な用量は1日10〜100mgです。大きい筋肉部位(大腿部や臀部など)、もしくは、静脈内に薬剤を注入します。
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- カベルゴリンを服用して、腫瘍を治療します。カベルゴリンは副作用も少なく、週に1~2回内服するのみでいいため、治療法の第一選択とされています。良性腫瘍を縮小させるほか、プロラクチン値を正常化させる作用があります。[19]
- 薬物療法に反応しない場合は、手術を検討しましょう。プロラクチノーマに対する第二選択治療は、手術が一般的です。手術により下垂体から腫瘍を除去して、プロラクチン高値などの症状を解消させます。[22]
- プロラクチノーマ以外の下垂体腫瘍を有する場合は、手術が第一選択治療となります。
- 放射線療法が必要か相談しましょう。以前は、悪性および良性の下垂体腫瘍に対する治療法として、放射線療法が一般的でした。しかし、現在は使用頻度が減り、最終的な治療法とされています。放射線療法によって、脳下垂体のホルモン分泌機能が低下し、十分なホルモンが分泌されない障害が起きるリスクも生じます。
- しかし、手術療法が危険な場合、薬物療法に反応しない症例には、放射線療法が適応されます。[23]
- 腫瘍の大きさや種類に応じて、単一療法の場合と、複数の治療法を併用する場合があります。
- 主な副作用は下垂体機能低下症です。下垂体機能が低下し、ホルモンの欠乏が生じる疾患です。ごく稀に、放射線療法によって腫瘍周辺の脳組織が損傷し、病変、神経損傷などを起こす副作用も生じます。
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出典
- ↑ https://www.niddk.nih.gov/health-information/endocrine-diseases/prolactinoma
- ↑ https://www.niddk.nih.gov/health-information/endocrine-diseases/prolactinoma
- ↑ https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920996408004362
- ↑ http://www.sussexpartnership.nhs.uk/sites/default/files/documents/hyperprolactinaemia_glines_-_final_-_0414.pdf
- ↑ https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a603012.html#side-effects
- ↑ https://medlineplus.gov/ency/article/003718.htm
- ↑ https://medlineplus.gov/ency/article/003718.htm
- ↑ https://www.niddk.nih.gov/health-information/endocrine-diseases/prolactinoma
- ↑ https://academic.oup.com/jcem/article-abstract/42/3/603/2684599?redirectedFrom=fulltext
- ↑ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19789214
- ↑ https://www.mskcc.org/cancer-care/integrative-medicine/herbs/ashwagandha
- ↑ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1490755
- ↑ https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements-vitamin-e/art-20364144
- ↑ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2753470
- ↑ https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements-zinc/art-20366112
- ↑ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20563862
- ↑ https://med.virginia.edu/neurosurgery/services/pituitary-tumor-program/pituitary-tumor-frequently-asked-questions/
- ↑ http://pituitary.ucla.edu/prolactinoma
- ↑ http://pituitary.ucla.edu/prolactinoma
- ↑ https://www.niddk.nih.gov/health-information/endocrine-diseases/prolactinoma
- ↑ https://www.urmc.rochester.edu/neurosurgery/specialties/neuroendocrine/conditions/prolactinoma.aspx
- ↑ https://med.virginia.edu/neurosurgery/services/pituitary-tumor-program/pituitary-tumor-frequently-asked-questions/
- ↑ http://pituitary.ucla.edu/prolactinoma
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