ブラック企業の通報をする方法

PDF形式でダウンロードPDF形式でダウンロード

日本の労働環境は他国と較べて悪く、「長時間労働かつ休みが取れない国」と言われています。『ブラック企業』という言葉もすっかり日本社会に定着しています。近年は徐々に労働時間が短縮され、有給休暇も多く取得できるようになってきていますが、パラハラ、セクハラ、長時間労働、低賃金などの諸問題を抱えるブラック企業はまだまだ多く存在します。もし自分がブラック企業に勤めていると感じた場合は、労働基準監督署や弁護士、さらには国に通報して改善を求めましょう。

パート 1
パート 1 の 3:

その企業がブラック企業であるかどうか確かめる

PDF形式でダウンロード
  1. 1
    問題点を洗い出す 自分の会社が「ブラック企業」に当たるかどうか、会社の抱えている問題点の洗い出しをしましょう。会社組織全体だけではなく、自身が会社に不当に扱われている場合も同様です。どのような被害を企業から受けているかを整理しましょう。
    • 賃金や退職金の未払いはあるか
    • 基準を大幅に超える長時間残業はあるか
    • 結んだ雇用契約と労働条件が違っているか
    • 規則通りに休みが取れているか
    • パワハラやセクハラは起きてないか
    • 自分が不当解雇をされた、もしくは不当解雇をされた社員はいないか[1]
  2. 2
    証拠を集める どの機関にブラック企業を通報するにも、証拠があると話が早く進みます。雇用契約署やタイムカードのコピー、給与明細、セクハラ・パワハラ内容を記録したメールや音声テープ、医療機関の診断書など、なんでも良いので証拠になりそうな資料を片っ端から集めます。業務用パソコンのログイン・ログオフ、通勤のICカード使用履歴など些細なものも証拠になります。[2]
  3. 3
    要点を書面にまとめる 証拠が集まってきたら、通報したい内容を書面にまとめましょう。会社名、所在地、法律違反のある部署、その違反概要、最初に結んだ雇用条件などを書き出し、概要をまとめます。そしてその概要とともに、かき集めた違反実態を把握できる証拠資料を添付しましょう。[3] これを持って、各機関に相談に行きます。
  4. 4
    通報する機関を選ぶ ブラック企業を通報するには、労働基準監督署、弁護士、厚生労働省などの機関があります。労働基準法に基づく会社としての法律違反に関しては「労働基準監督署」が適切です。セクハラ、パラハラ、損害賠償など個人的な問題に関しては「弁護士」を訪ねます。また、厚生労働省にも相談機関があります。自分の集めた証拠に対応している機関はどれか考え、適切な機関を選択しましょう。
    • セクハラやパワハラの相談は、労働基準監督署では対応が難しく、弁護士を勧められることがあります。[4]
    広告
パート 2
パート 2 の 3:

労働基準監督署に通報する

PDF形式でダウンロード
  1. 1
    直接行って通報する ブラック企業を通報したり、労働環境の改善を求めることのできる代表的な窓口が「労働基準監督署」(労基)です。会社が労働基準法を遵守しているかどうかをチェックする機関のことで、企業に立ち入り検査をして、もし問題が見つかったら、労基は法律権限を用いて会社に是正を促します。労基では主に、賃金や退職金の未払い、長時間残業、雇用契約と異なる労働実態、危険な現場での作業の強制など、労働基準法に照らし合わせた問題について対処をしています。労基を直接訪問すれば、ブラック企業に対して動いてくれる確率は高まります。
    • 労働基準監督署は全国に321署あります。
    • 自分の実名を出すと、「緊急性が高い」と認識され、さらに動いてくれやすくなります。[5]
  2. 2
    メールで通報する 直接訪問し実名を出すことにためらいがある場合は、労基にメールで通報しましょう。厚生労働省のHPにある「労働基準関連情報メール窓口」では、24時間いつでもブラック企業についての苦情をメールで相談できます。名前と連絡先の記入は任意になっていますので、匿名での通報が可能です。もし悩んでいるなら、まずメールを送りましょう。
    • 「労働基準関連情報メール窓口」にメールを送ると、厚生労働省が各労働基準監督署と連携をとって、会社の調査に乗り出します。
    • ただし、基本的に返信はなく、問題対処に動いてくれる可能性は直接訪問より低くなります。[6]
    • メールと同様に、電話で労基に直接通報することもできますが、直接訪問する場合と較べて問題解決への優先度がこちらも下がります。[7]
  3. 3
    調査、是正に動いてもらう なんらかの形で労基にブラック企業のことを通報すると、労基はまず自分で対処するための法律に則ったアドバイスをくれます。その後、集めてきた証拠を調べ、場合によっては労基の調査員が会社へ立ち入り調査を実施します。担当者、労働者、帳簿など様々な観点からその会社に違法性がないかどうかを調べ、違法性が見つかった場合は、会社に対して是正勧告を行います。是正勧告後も従わなかった場合は、悪質なものと見なされて経営者や会社へは罰則が与えられ、逮捕者が出ることがあります。[8]
    広告
パート 3
パート 3 の 3:

弁護士に相談をする

PDF形式でダウンロード
  1. 1
    無料相談をする ブラック企業で働いた結果、うつ病になってしまった、劣悪な労働環境のせいで精神的な苦痛を負った、セクハラやパワハラにあった、不当解雇など、個人的な問題に関しては、労働基準監督署では動いてくれる可能性が低くなります。自分個人の問題に関してや、民事で損害賠償請求ができそうな事案に関しては、弁護士に相談をしましょう。[9] 実際に依頼をすると費用が発生しますが、相談までは無料で対応してくれます。[10]
    • 労働基準監督署では解決しづらい問題も、弁護士に相談すると動いてくれることが多く、迅速な解決を望む場合は弁護士に頼ると早く事が進みます。[11]
    • 相談相手の弁護士は、労働問題に強い人を選択しましょう。 残業代の計算から交渉、裁判まで力強くサポートをしてくれます。[12]
    • 『ブラック企業被害対策弁護団』という、ブラック企業問題を解決するための専門の弁護士集団もあります。悩んでいる場合は相談をしましょう。[13]
  2. 2
    会社と交渉してもらう 弁護士に正式にブラック企業への対処を依頼すると、弁護士は早速会社と通報した社員の間に入って、交渉を進めます。ヒアリング内容をもとに、会社に代理で是正のための交渉を行ってくれるので、自分で会社と交渉する必要はありません。会社に出向く必要もありません。弁護士が何度か交渉を行った結果、交渉で解決した場合は、残業代の未払いだった場合なら、その支払いが行われるなどの企業側の対応があります。[14]
  3. 3
    労働審判を行う 交渉で解決しなかった場合は、弁護士と企業との間で「労働審判」という手続きが行われます。最大3回までで、それ以内に問題解決をします。[15] 早期解決を目指すための制度なので、労働審判は初回で決着がつくことも多くあります。[16] 労働審判の最初の1回は、通報者が出席する必要があります。[17]
  4. 4
    訴訟を行う 労働審判で解決できなかった場合は、訴訟、いわゆる裁判で企業と争います。こうなってくると問題解決が長期化し、年単位に及ぶこともあり、弁護士にかかる費用も高額になります。問題がこじれないように、明確な証拠を集めて確実にブラック企業の違反実態を明らかにしましょう。[18]
    • ブラック企業に対しては、被害者複数人で「集団訴訟」を起こす、という方法もあります。同じ会社で働いている同僚やかつての同僚、過去にその企業に勤務していた人をSNSなどで見つけ、声をかけましょう。[19]
    広告

ポイント

  • 厚生労働省は2017年5月から、労働基準関係法令に違反して書類送検された企業の実名一覧をHPで公表しています。[20]
  • 労働基準監督署と弁護士、どちらに相談をするか迷った場合は、どちらにも相談し、あとで1つに絞るという手もあります。[21]
  • 集団訴訟を起こすとメディアの注目を集め、世の中にその企業がブラック企業であることが広まり、世論が味方になってくれる可能性があります。
  • 集団訴訟では、証拠を多くの人と共有できるので、有利に運ぶ可能性があります。[22]
広告

注意事項

  • 証拠が乏しい場合、労働基準監督署は動いてくれませんので、必ず明確な証拠を集めましょう。[23]
  • 仕事をする上で、ある程度の理不尽はつきもので、社会人なら誰もが経験をすることです。自分の勤めている会社がブラック企業だと感じるのは主観的な見方に過ぎない可能性もあるので、いきりたって通報をする前に、自分を必ず省みましょう。
広告

このHow.com.vn記事について

How.com.vnは「ウィキ」サイトの一つであり、記事の多くは複数の著者によって共著されています。 この記事は、著者の皆さんがボランティアで執筆・推敲を行い、時間をかけて編集されました。 この記事は19,915回アクセスされました。
カテゴリ: 企業問題
このページは 19,915 回アクセスされました。

この記事は役に立ちましたか?

⚠️ Disclaimer:

Content from Wiki How 日本語 language website. Text is available under the Creative Commons Attribution-Share Alike License; additional terms may apply.
Wiki How does not encourage the violation of any laws, and cannot be responsible for any violations of such laws, should you link to this domain, or use, reproduce, or republish the information contained herein.

Notices:
  • - A few of these subjects are frequently censored by educational, governmental, corporate, parental and other filtering schemes.
  • - Some articles may contain names, images, artworks or descriptions of events that some cultures restrict access to
  • - Please note: Wiki How does not give you opinion about the law, or advice about medical. If you need specific advice (for example, medical, legal, financial or risk management), please seek a professional who is licensed or knowledgeable in that area.
  • - Readers should not judge the importance of topics based on their coverage on Wiki How, nor think a topic is important just because it is the subject of a Wiki article.

広告