第３の性「ノンバイナリー」をカミングアウトする方法

自分がノンバイナリーであることを認識していて、その事実を誰かに打ち明ける準備も整っているとしましょう。そのカミングアウトの方法ですが、それは人によって異なります。まずは何をどのように打ち明けたいかをじっくりと考えましょう。怖さや緊張感を覚えるなら、「誰にいつどのように打ち明けるかは自分で決められる」ことを覚えておきましょう。一番重要なのは安心して打ち明けられるかどうかです。正しいと確信でき、かつ自分にしっくりくる方法を選びましょう。

方法 1

方法 1 の 3:

自分にしっくりくる方法を選ぶ

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打ち明ける前に相手に知ってもらいたいことを書き出す　カミングアウトの際に緊張するのは全く正常なことです。話の大筋を事前に書き出しておくと良いでしょう。神経を落ち着かせ心の準備を整えることができます。また、書いたメモを携えて打ち明けると良いでしょう。言葉を失ってしまった時にメモを見返せば、自分と自分のアイデンティティーに焦点を当てながら話を続けることができます。 ^{[1]X出典文献}
- ほとんどの人はノンバイナリーの知識がありません。どんな質問が来るかを想定し答えを考えて正確な情報を提供できるように準備しましょう。
- 自分にとってノンバイナリーとは何かを考えて書き出すと良いでしょう。一般的には性差流動性（文化的・社会的な性差であるジェンダーは固定的なものではなく、変動しやすいものだという概念）あるいは、男女の区別がなく性的に中立であることだと言われています。ただし、その定義は人により異なることを覚えておきましょう。
- また、ノンバイナリーとしてカミングアウトすることで、自分のこれからの人生に影響があるかどうかその可能性も書き留めると良いでしょう。それは、打ち明けられた人も知りたいと思うことかもしれません。加えて、これまでに関わりのあった人たちとの関係性にも影響が出るかも相手は知りたいと思い、尋ねられる可能性があるでしょう。
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まずは友人や若い家族の一員に打ち明ける　若い人は年配者に比べてセクシュアリティ（人間の性のあり方の全般）やジェンダー・アイデンティティー（自分が男性なのか女性なのかという認識）について寛容的で進歩的な考えを持つ傾向があります。話を聞いた相手がどのような反応をするか不安がある場合は、ストレスを感じずに打ち明けられる人に最初に話しましょう。若くて信頼できる人を選び、個人的な話を聞いてもらえないかと尋ねましょう。
- 性的少数者としてカミングアウトした経験のある人と話すことも役立ちます。良いアドバイスがもらえるかもしれません。
最初に誰に打ち明けるかはあなた自身が決めることです。自分の状況を誰に一番最初に話したいかをじっくりと考えましょう。知り合い全員に打ち明けたいと思っていますか。一対一で話す方がストレスなくカミングアウトできると思いますか。決断できない場合には、困った時などに協力的で、理解を示し自分を受け入れてくれた人たちを思い出しましょう。その中から誰に打ち明けるべきかを考えましょう。^{[2]X出典文献}
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寛げる場所と都合の良い時間を選ぶ　緊張やストレスを感じずに寛いで重要な話ができる場所を選びましょう。自宅の居間かもしれません。あるいは友人の家かもしれません。誰にも邪魔されない場所、また相手が自分の話に100パーセント集中して聞くことができる時間帯を選びましょう。^{[3]X出典文献}
- 否定的な反応が来るかもしれないと不安がある場合は、公共の場所で話すと気持ちが和らぐでしょう。静かな喫茶店で話しても良いでしょう。
- 相手に都合の良い時間帯を選んでもらいましょう。相手が十分に自分の意見を述べたりや質問したりすることができ、更にあなたの話にも集中して聴くことができるかどうかを確かめましょう。短い会話になるかもしれませんし、長い会話になる可能性もあります。どちらにせよ、長さは全く問題ではありません。
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カミングアウトする前に自分の身の安全を確認する　相手が激しい反応を示すのではないかと不安があるとしたら、カミングアウトの時期としては適切ではないかもしれません。カミングアウトはいつでもできます。「今」である必要はありません。金銭面や住む場所などで両親の世話になっているなら、カミングアウトすることによって今の安心で安全な暮らしが脅かされないかを考えましょう。^{[4]X出典文献}
- 両親が否定的な反応をするのではないかと心配なら、自立してからカミングアウトするのも１つの方法でしょう。
- 両親の反応に不安を覚えつつもカミングアウトしようと思うなら、代替案も考えておきましょう。必要に応じて、友人にしばらくの間留めてもらえないかと尋ねてみましょう。また、より安心できると思えば万一の場合を考えて貯金しておくのも賢い方法でしょう。
- 否定的な反応への対処方法として、手紙を書くことも挙げられます。事実を聞いた相手に気持ちの整理をする時間を与えることができます。^{[5]X出典文献}
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方法 2

方法 2 の 3:

建設的に話し合う

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明快かつ分かりやすくカミングアウトする　遠回しな言い方をしたり相手に自分の言いたいことを推測させたりしてはいけません。伝えたいことを躊躇なく素直に伝えましょう。^{[6]X出典文献}
- 例えば、「ねえ、純子、私（僕）ね実はノンバイナリーなんだ。そのことをあなた（君）に知らせたかった。私（僕）、自分のことを単に男性とか女性とかと認識しているわけではないんだ」などと言うことが出来るかもしれません。
- あるいは「あなた（君）のことを信頼して話そうと思うんだけれど、できれば他の人には言わないで欲しい。とても個人的な話なんだ。聞いてくれるかな？」などと言ってみても良いでしょう。
- 自分の経験談や気持ちなども一緒に伝えても良いでしょう。もちろん、ノンバイナリーだとカミングアウトするだけでも問題ありません。何をどれくらい伝えるかはあなた次第です。
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相手からの質問に答えられるように準備する　ノンバイナリーがどういうものなのかを理解できない人もいます。それ自体問題ではありません。知らない相手には寛容に接しましょう。彼らが質問を投げかけてくるとしたら、あなたの話をより深く理解したいからでしょう。精神的に落ち着けた時に、思いやりの気持ちを持って答えるようにしましょう。^{[7]X出典文献}
- 「どうしてそうだと確信できるの？」「ノンバイナリーって何？」などと尋ねられるかもしれません。その時に平常心を保てるかどうかにもよりますが、簡単に答えるも良し、詳細に説明するもありです。ただし、話す機会は他にもあることを覚えておきましょう。
- また、あなたを呼ぶ際にどんな代名詞を使えば良いかと尋ねられるかもしれません。どのように呼ばれたいかを正直に伝えましょう。
専門家情報
Inge Hansen, PsyD
臨床心理学者
インゲ・ハンセン心理学博士は、スタンフォード大学で学生の身体的健康と精神的健康を促進しているヘルスセンターの責任者を務めています。カリフォルニア臨床心理大学院にて性自認に関する専門研修を修了後、心理学の博士号を取得しており、社会正義と性の多様性について関心を寄せています。「倫理的な裏切りー妥協の時代に誠実でいるために」の共著者でもあります。
Inge Hansen, PsyD
臨床心理学者
ノンバイナリーがどういうものなのかを完全に理解していない人もいます。 ノンバイナリーは実際のところそれ自体が真のジェンダー・アイデンティティーではなく、新しいジェンダーに向かう途中で起こる１つの現象だ、または自分をノンバイナリーだと認識する人たちは非常に稀であるという誤った考えを持っている人も一部にいます。実際、自分をノンバイナリーだと認識している人は、より広範囲のトランスジェンダー（体の性と心の性が一致せずに心の性で生きようとする人）の傘下で最も急速に成長しているジェンダー・アイデンティティーだと言われています。また時により、バイナリー（男女どちらかだと自認している人）からノンバイナリーに、またその逆にシフトする場合もありますが、これはより流動的な性であることの反映であり、ノンバイナリーの特徴を反映するものとは断言できません。
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打ち明けようと思っている相手にノンバイナリーについての資料を提供する　会話を始める前にノンバイナリーを説明する資料を集めましょう。たくさんあります！そうすれば、自身で答えたくない質問には参考資料を渡すことで凌げるでしょう。^{[8]X出典文献}
- 自分にとって役に立ったWebサイトを紹介しましょう。また性的少数者のコミュニティーが発行するパンフレットや配布資料を渡すこともできるでしょう。更に、ノンバイナリーだと性自認するとはどういうことかを説明する本を紹介するのも１つの方法です。
- 参考になるサイトには、「トレバープロジェクト（Trevor Project：レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーや性的指向、性自認に悩むティーンの自殺防止活動を展開するアメリカのチャリティ団体）」や「LGBTの家族と友人をつなぐ会」などがあります。学生なら、ジェンダー・アイデンティティーについて心理カウンセラーや進路指導の先生などに相談しても良いでしょう。
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相手にはあなたの話を整理する時間を与える　すぐに親切な言葉や支援をもらえれば最高ですが、ポジティブな反応がなくても諦めてはいけません。重要な話を処理するのに時間がかかる人もいます。あなた自身も自分のアイデンティティーを受け入れられるまでに時間がかかりませんでしたか。^{[9]X出典文献}
- 「ちょと驚かせちゃったかな？またの機会に話そうか」などと伝えてみましょう。
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家族にカミングアウトする際に友人に側にいてもらう　家族にカミングアウトするのが不安な場合は、友人に一緒にいてもらえると安心できるかもしれません。家族から否定的あるいは暴力的な反応があるのではないかと心配な場合は特に、友人が側にいてくれることで安心できるでしょう。
- 友人や家族の若いメンバーに最初に知らせたら、他の人にカミングアウトする際に付き添っていてもらえないかと尋ねましょう。
- 「父親に話す際に、私（僕）の側にいてくれると心強いんだけどな。会話に参加してくれないかな」などと尋ねてみましょう。
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会話に時間制限を設ける　打ち明けた相手からたくさん質問されるのではないかと心配かもしれません。あるいは、要点を話したらすぐに切り上げたいと思っているかもしれません。それでも全く問題ありません。伝えるべきことを伝え、十分だと思ったら自ら話を切り上げましょう。
- 「きっと色々聞きたいことがあると思う。でも、これは私（僕）にはとても感情的な問題なんだ。今日のところはこれくらいで切り上げてもいいかな？」などと伝えたり、「10分間だけ話すよ。それで終わりにしたいんだ。理解してくれるとありがたいよ」などと言ってもいいでしょう。
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会話が上手く運ばない場合はその場を去る　相手が大声を出したり失礼なことを言ったり、攻撃的な態度に出たりしたらその場に留まる必要はありません。「会話がおかしな方向に向かっていると思う。なんか変な気分になってきたよ。もう少し落ち着いて話せるようになったら連絡してくれるかな」などと言いましょう。
- 相手が落ち着いた時に再度話をする準備があることを伝えても良いでしょう。しかし心理的抵抗がある場合には、そうする必要はなく、また気にする必要もありません。
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方法 3

方法 3 の 3:

自分を大事にする

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気持ちの整理をする時間をとる　カミングアウトして自由に生きるという選択ができれば解放感に満たされることでしょう。しかし、そのためには複雑な感情を処理しなければなりません。短気を起こさずにゆったりと構えて対処しましょう。どんな感情が起こっても全く正常です。カミングアウトの過程で起こる感情には次のものがあります。^{[10]X出典文献}
- 高い自尊心
- 不安感
- 大胆さ
- 恐怖感
- 緊張感
- 解放感
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自分を支援してくれる人がいるかどうかを確認する　カミングアウトする前に、知り合いの中で自分を支援してくれる人がいるかどうかを確認しましょう。信頼できる友人または家族の誰かかもしれません。不安を感じたり気分が落ち込んだりした時は、信頼できる人に助けを求めましょう。^{[11]X出典文献}
- 「今日はちょっと感情的になっているんだ。一緒に散歩に行ってくれると嬉しいな？君（あなた）と一緒に新鮮な空気を吸えると気分が上がると思う」などと、躊躇せずに言ってみましょう
- 孤独感や恐怖感を覚える場合は、「トレバープロジェクト」などの支援団体に頼ることができます。電話による相談も可能です。親身に話を聞いてくれる人がいるだけでも十分な時もあります。
3
地元で性的少数者のコミュニティーを探す　地元で性的少数者のコミュニティーがないかをオンラインで検索しましょう。カミングアウトの過程で（そしてその後も）、自分の状況を理解できる人が周りにいれば、気分が楽になります。^{[12]X出典文献}
- オンラインの支援グループやその他の関連グループなどを探してみましょう。
- 性的少数者の友人にどのようにしてコミュニティーのメンバーを知るようになったのかを尋ねましょう。
- 学生なら指導教員や心理カウンセラーにアドバイスを求めてみましょう。
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セルフケアを実践する　自分に優しく接しましょう。上手くできれば大きな満足感が得られますが、必ずしも簡単ではありません。日記をつけるのが効果的な場合があります。または瞑想も良いと気づくかもしれません。重要なのは自分のために時間をかけ、気分が上がることを実践することです。次のようなことを試してみましょう。^{[13]X出典文献}
- 笑えるショーを見る
- 犬の散歩に行く
- 友達と過ごす
- 良い本を読む
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正々堂々と人生を楽しむ　包み隠さずオープンに人生を謳歌できるようになるには時間がかかるでしょうが、そうできれば多くのメリットが享受できます。カミングアウトの過程またはその後では次のようなことを楽しみにしましょう。^{[14]X出典文献}
- 偽りのない純粋な関係を築く
- 他人のお手本になる
- 活気あるコミュニティーの一員になる
- 自信を持って生きる
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ポイント

年配の家族に打ち明ける前に友人にまず話しましょう。大きなストレスを感じずに打ち明けられるでしょう。
カミングアウトする前に周りの人々の様子を伺いましょう。「昨夜テレビでノンバイナリーの番組を見たんだけど、君（あなた）も見た？どう思った？」などと尋ねてみましょう。
カミングアウトは時間をかけて行いましょう。一晩にして成し遂げられるものではありません。