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この記事の共著者 : Michael Corsilles, ND. コーシレス医師はワシントン州に住む自然療法医、そして医師助手です。2003年に自然療法と心理学の専門大学、「Bastyr University」にて自然療法医学の医療訓練課程を修了しています。2010年にはワシントン大学にて医師助手の認定資格を取得しています。
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聴診器は、心臓・肺・腸管の音を聴くための医療器具です。聴診器を使って音を聴く作業を「聴診」といいます。[1] 医療者はみな聴診の訓練を受けますが、一般のみなさんでも聴診器を使って身近な人達の体調をチェックすることができます。この機会にぜひ聴診器の使い方を学びましょう。
ステップ
- 性能の高い聴診器を購入しましょう。聴診器は性能がとても重要です。聴診器の性能が高いほど、患者の体の音を聴きやすくなります。
- 耳管部を調節しましょう。耳管部を前向きにして、耳にイヤーチップ(耳管部の先)がしっかりとフィットするかを確かめましょう。適切に調節しないと、聴診器を通して音を聴くことはできません。[4]
- みなさんの聴診器に最適なチェストピース(集音盤)を選びましょう。聴診器に取り付けるチェストピースには様々な種類があります。使用目的に合わせて選びましょう。例えば、成人と子供の聴診では、異なるサイズのチェストピースが必要になります。広告
- 聴診を行う際は、静かな場所を選びましょう。聴診器を扱うには、静かな場所が必要です。これから聴こうとする体の音が、周辺の騒音にかき消されるようなことがあってはいけません。
- 患者には手術衣を着てもらうか、または服をめくって肌を露出してもらいます。聴診器を直接肌に当てるとともに、衣類の擦れる音を拾わないように注意しましょう。胸毛のある男性患者の場合は、擦れる音が入らないように、聴診器を胸に押し当てたまま、動かさないようにします。[16]
- 患者に快く聴診に応じてもらうために、あらかじめ聴診器を温めておきましょう。服の袖で擦って温めるか、または聴診器用の加温器を購入しましょう。
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- そのまま1分間心臓の音を聴きます。患者にはリラックスして普段通りに呼吸をしてもらいましょう。まずは正常な心音を聴き分けましょう。「ドックン」という音が聴こえるはずです。心臓の動きには「収縮期」と「拡張期」があります。「ドッ」の音は心臓が収縮する際に発生し、「クン」の音は拡張する際に発生します。[20]
- Ⅰ音とも呼ばれる「ドッ」は、収縮期に僧房弁と三尖弁が閉じる際に発生する音です。
- Ⅱ音とも呼ばれる「クン」は、拡張期に大動脈弁と肺動脈弁が閉じる際に発生する音です。
- 異常な心音を聴き分けましょう。心拍数を数えると同時に、異常な音が聴こえないかを確かめましょう。「ドックン」以外の音が聴こえたら、心臓に何らかの異常が発生しているかもしれません。少しでも異常な音が聴こえる場合は、医師による詳しい検査が必要です。[23]
- 「シュー」という異音が聴こえる場合、またはⅠ音とⅡ音の間に異音があり、「ドッ…シャー…クン」と聴こえる場合は、心雑音の可能性があります。心雑音は、平常時に比べ、急激な速度で血液が心臓弁を通過する際に発生します。心雑音の中には、いわゆる無害性心雑音も少なくありません。[24] しかしながら、いくつかの心雑音は心臓弁の異常を示唆するため、患者の心臓から心雑音が聴こえる場合は、医師の診断を仰ぐように促しましょう。[25]
- 「ドックン」に続いて、低周波の振動で第3の心音が聴こえる場合は、心室中隔欠損症の疑いがあります。この第3の心音は、Ⅲ音または心室性奔馬律動と呼ばれます。Ⅲ音が聴こえる場合は、患者に詳しい検査を受けるように助言しましょう。[26]
- 正常な心音と異常な心音のサンプルを聴きましょう。いざ聴診を行う際は、今聴いている患者の心音が正常かどうかを的確に判断しましょう。
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- 患者を真っ直ぐに座らせ、普段通りに呼吸をしてもらいます。聴診の最中に呼吸音が聴き取れない場合や、または呼吸音があまりに小さく、異常があるかどうかを判断できない場合は、患者に深く息をしてもらいましょう。
- 肺の音を聴く際は、聴診器のダイヤフラム面を使用します。患者の体の正面および背中から聴診器を当て、肺の上肺葉と下肺葉の音を聴きます(ちなみに、右肺は上・中・下の三肺葉に分かれます)。
- 聴診の際は、聴診器を胸の上部(頸部)に当てた後、胸部鎖骨中線に移り、最後に胸の下部に当てます。必ず正面と背中から、それらの箇所を聴診しましょう。
- 前後両側から聴こえる肺の音を比較し、それぞれの箇所に異常がないかを確かめましょう。
- それら前後左右12カ所をカバーすれば、患者の肺のすべての肺葉の音を聴くことができます。[27]
- 正常な呼吸音を聴き分けましょう。呼吸が正常であれば、聴診をした際に、空のコップに息を吹き込むような、乾いて澄みきった音がします。まずは健康な肺の音のサンプル を聴きましょう。そして、患者の肺から聴こえる音と聴き比べてみましょう。
- 正常な呼吸音には以下の2種類があります:[28]
- 気管支呼吸音: 主気管支および、肺の中で複雑に分化した気管支樹から聴こえる比較的高い音です
- 肺胞呼吸音: 肺組織から聴こえる比較的低い音です。
- 正常な呼吸音には以下の2種類があります:[28]
- 副雑音(異常呼吸音)を聴き分けましょう。「ヒューヒュー」という笛音、「ゼーゼー」という喘鳴、イビキ音、または水泡音(断続性ラ音)が聴こえる場合は要注意です。呼吸音がまったく聴こえない場合は、肺の周りに空気または水が溜まっているか(気胸または胸水)、または胸壁(胸郭)が圧迫されているか、あるいは胸腔内の気流が微弱になっているか(無気肺)、もしくは肺が過剰な量の空気を取り込んでいる可能性があります。[29]
- 副雑音には、大きく分けて、以下の4つの種類があります:
- 笛音: 主に息を吐く際に聴こえる「ヒューヒュー」という高音ですが、時として息を吸い込む際にも起こります。笛音は喘息患者の大半に見られる症状ですが、聴診器を使わずに聴こえる場合もあります。[30]
- 喘鳴: 笛音と同様に、高音域で「ゼーゼー」という音色を奏でる副雑音ですが、こちらは主に息を吸い込む際に起こります。喘鳴は、のどの奥の閉塞によって引き起こされます。喘鳴もまた、聴診器を使わずに聴くことができます。[31]
- イビキ音: イビキの音に似た「グーグー」という低い音です。この副雑音は聴診器でのみ聴き取ることができます。肺を通る気道の狭窄、または痰などの異物による気道の閉塞が原因で起こります(気管支狭窄、慢性気管支炎など)。[32]
- 水泡音: 胸の下部から聴こえる、水泡が弾けるような「ブツブツ」という音、または「カタカタ」という音です。主に息を吸い込む際に起こります。水泡音が聴こえる場合は、肺気腫、肺炎、肺線維症などの疑いがあります。[33]
広告 - 副雑音には、大きく分けて、以下の4つの種類があります:
- ダイヤフラム面を患者の腹部に直接当てます。患者のへそを中心として、その周辺を4カ所に分けて聴診します。左上、右上、左下、そして右下の順に聴診器を当てましょう。[34]
- 異常な腸雑音を聴き分けましょう。腸管を聴診する際に聴こえる音の大半は、ただの消化吸収の音にすぎません。腸雑音のほとんどは正常なものですが、中には健康上の問題を示唆するものもいくつかあります。聴診器を通して聴こえる腸雑音が正常なものかを判断できない場合や、患者が他に症状を抱えている場合は、医師による詳しい検査が必要です。[38]
- 腸雑音がまったく聴こえない場合は、患者の胃に閉塞が起こっている可能性があります。 もっとも、便秘の可能性もあり、その場合、しばらくすれば腸雑音はひとりでに再開するでしょう。しかし、一向に腸雑音が再開しない場合は、閉塞の可能性を疑い、さらなる検査のために患者を医師の元へ連れて行く必要があります。[39]
- 5分ほど腸雑音が聴こえず(無腸雑音)、その後に活発な腸雑音が起こる場合は、腸管破裂または腸管組織の壊死の疑いがあります。[40]
- 高音域で腸雑音が聴こえる場合も、腸管が閉塞を起こしている可能性があります。[41]
- 処方薬、脊髄麻酔、感染症、外傷、腹部手術、または腸の過膨張によって、腸雑音のテンポが遅くなる場合があります。[42]
- 速い、または極度に活発な腸雑音(機能亢進性腸雑音)の原因として、クローン病、胃腸出血、食物アレルギー、下痢、感染症、潰瘍性大腸炎などが考えられます。[43]
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- 場合によっては、血管雑音をチェックする必要があります。聴診の際に心雑音らしき音が聴こえたら、血管雑音もチェックしましょう。心雑音と血管雑音の響きは似通っているため、どちらかの疑いがあれば、血管と心臓両方の音に耳を傾けることが大切です。
- 血管雑音を聴き分けましょう。「シュー」という音が聴こえれば、動脈内が狭くなっていることが分かります。時として、響きの似通った血管雑音と心雑音を区別するのは簡単ではありませんが、実際に血管雑音が発生している場合、心臓の音を聴いた後に頸動脈の音を聴くと、「シュー」という音がさらに大きく聴こえます。[46][47]
- さらに、腹部大動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈などの音を聴いて血管雑音の有無を確認しましょう。
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ポイント
- 聴診器は頻繁に手入れしましょう。感染症を避けるためにも、各患者の聴診が終わるたびに汚れを落としましょう。アルコールパッドまたは濃度70%のイソプロピルアルコールを浸み込ませた布巾を使って聴診器を殺菌消毒しましょう。[58]
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注意事項
- 聴診器を水に浸したり、極度の熱や寒さに晒してはいけません。そのようなことをすれば、すぐに傷んでしまいます。
- 聴診の際に少しでも異常な音が聴こえたら、必ず医療者の助けを求めましょう。
- イヤーチップを耳に入れた状態で、チェストピースに向かって話し掛けたり、集音盤を強く叩くような真似をしてはいけません。耳を痛めてしまいます。あまり強く叩いたり、大きな声で話しかけてしまうと、場合によっては、聴覚障害を引き起こす恐れもあります。
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必要なもの
- 性能の高い聴診器
出典
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