1984年の映画

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1984年の映画(1984ねんのえいが)では、1984年(昭和59年)の映画分野の動向についてまとめる。

1983年の映画 - 1984年の映画 - 1985年の映画

出来事 編集

世界 編集

日本 編集

有楽町マリオン(2018年10月撮影)

日本の映画興行 編集

配給会社別年間配給収入
配給会社配給本数年間配給収入概要
新作再映洋画前年対比
松竹1560億1324万円全般的にジリ貧状態。正月の『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』(12.5億円)と夏休みの『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』(11.5億円)が配給収入10億円の大台を突破する好稼動。製作費10億円をかけた勝負作『上海バンスキング』は配給収入8億円と大きく期待を裏切る結果。テレビの人気シリーズの映画化『必殺! THE HISSATSU』(6.3億円)は善戦。
150096.9%
東宝2581億65万円東宝にとっては不本意な年。ハイアベレージで安定したシリーズの『ドラえもん のび太の魔界大冒険』(17億円[注 3])が東宝トップの配給収入。『夏服のイヴ』/『刑事物語3 潮騒の詩』(8億円)は大台に迫る、まずまずの成績。『おはん』(5.5億円)もまずまず。SF大作『さよならジュピター』(3億円)は低迷、夏の勝負作、かつ、社内前売大量動員映画『零戦燃ゆ』(6億円)は企画のズレのため不発。たのきんシリーズも大きく落込み、正月の『エル・オー・ヴィ・愛・N・G』で打ち止めになる。
190697.1%
東映28132億7359万円東映は好企画を連発し、好調な成績を収めた。半期配収新記録を樹立。角川映画の2番組、『里見八犬伝』(23億円)と『メイン・テーマ』/『愛情物語』(18.5億円)、それに大量動員映画『空海』(16億円)の合計3番組が配給収入10億円の大台を突破した。『天国の駅 HEAVEN STATION』(8億円)は好調。『修羅の群れ』はまずまずのアベレージ。話題先行の角川映画『麻雀放浪記』/『いつか誰かが殺される』(5.1億円[32])は伸び悩み。『北の螢』は主題歌のみ注目される。
2314104.4%
にっかつ6530億7461万円ロマンポルノ路線の下落傾向は依然継続中。山城新伍監督・早乙女愛主演の正月映画『女猫』(4.5億円)は好調(併映は五月みどりの『ファイナルスキャンダル』)。夏休みの『イヴちゃんの花びら』は平均以上の稼動。ゴールデンウィークの『夕ぐれ族』(2.5億円)、山城監督の第2弾『双子座の女』(3.5億円)は不発。当初、成人映画館が風営法改正の規制対象だったため、宣材・新聞広告を自粛した。そのため、成人映画離れに一層拍車がかかった。
641091.0%
出典:「1984年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報1985年昭和60年)2月下旬号、キネマ旬報社、1985年、114 - 120頁。 

各国ランキング 編集

日本配給収入ランキング 編集

1984年日本配給収入トップ10
順位題名配給制作国配給収入
1インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説CIC アメリカ合衆国32億円
2里見八犬伝東映 日本23.2億円
3キャノンボール2東宝東和 アメリカ合衆国21億円
4メイン・テーマ/愛情物語東映 日本18.5億円
5ドラえもん のび太の魔界大冒険東宝 日本16.5億円
6プロジェクトA東宝東和🇦🇺16.2億円
7空海東宝 日本16億円
8フットルースCIC アメリカ合衆国15.5億円
9ステイン・アライヴCIC アメリカ合衆国15億円
10男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎松竹 日本12.5億円
1984年邦画配給収入トップ10
順位題名配給配給収入備考
1里見八犬伝東映23.2億円[注 4]
2メイン・テーマ
愛情物語
東映18.5億円
3ドラえもん のび太の魔界大冒険
忍者ハットリくん+パーマン 超能力ウォーズ
東宝16.5億円[注 5]
4空海東映16.0億円
5男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎
喜劇・家族同盟
松竹12.5億円
6男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎
ときめき海岸物語
松竹11.5億円
7五福星
コータローまかりとおる!
東映09.0億円
8キン肉マン 奪われたチャンピオンベルト
超電子バイオマン
宇宙刑事シャイダー
The・かぼちゃワイン ニタの愛情物語
東映08.3億円
9上海バンスキング松竹08.0億円
9刑事物語3 潮騒の詩
夏服のイヴ
東宝08.0億円
9天国の駅 HEAVEN STATION東映08.0億円
9瀬戸内少年野球団日本ヘラルド映画08.0億円
#1 - #6の出典:1984年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
上記以外の出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、430頁。ISBN 978-4873767550 
1984年洋画配給収入トップ10
順位題名製作国配給配給収入備考
1インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 パラマウント映画/CIC32億0000万円[注 6]
2キャノンボール2 東宝東和21億0000万円[注 7]
3プロジェクトA 東宝東和16億2000万円[注 8]
4フットルース パラマウント映画/CIC15億5000万円[注 9]
5ステイン・アライブ パラマウント映画/CIC15億0000万円[注 10]
6ネバーセイ・ネバーアゲイン ワーナー・ブラザース12億2000万円
7ジョーズ3 ユニバーサル映画08億3000万円
8ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 東宝東和07億8500万円
9ポリスアカデミー ワーナー・ブラザース07億2000万円
10ザ・デイ・アフター 松竹富士07億1500万円
#1 - #6の出典:1984年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
上記以外の出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、430頁。ISBN 978-4873767550 

北米興行収入ランキング 編集

1984年北米興行収入トップ10
順位題名スタジオ興行収入
1.ビバリーヒルズ・コップパラマウント$234,760,478
2.ゴーストバスターズコロムビア$229,242,989
3.インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説パラマウント$179,870,271
4.グレムリンワーナー・ブラザース$148,168,459
5.ベスト・キッドコロムビア$90,815,558
6.ポリスアカデミーワーナー・ブラザース$81,198,894
7.フットルースパラマウント$80,035,402
8.ロマンシング・ストーン 秘宝の谷20世紀FOX$76,572,238
9.スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!パラマウント$76,471,046
10.スプラッシュタッチストーン$69,821,334
出典:1984 Domestic Yearly Box Office Results”. Box Office Mojo. 2015年12月23日閲覧。

日本公開映画 編集

1984年の日本公開映画を参照。

受賞 編集

誕生 編集

死去 編集

日付名前国籍年齢職業
1月6日アーネスト・ラズロ 85撮影監督
20日ジョニー・ワイズミュラー 79俳優
29日フランセス・グッドリッチ 93脚本家
2月15日渋沢秀雄 91初代東宝代表取締役会長
エセル・マーマン 76歌手・女優
3月1日ジャッキー・クーガン 69俳優
4月6日長谷川一夫 76俳優
9日雨森雅司 53声優
16日バイロン・ハスキン 84映画監督
5月16日アンディ・カウフマン 35コメディアン
6月15日内田良平 60俳優
23日黒川弥太郎 73俳優
7月3日平井道子 48声優
25日平田昭彦 56俳優
27日ジェームズ・メイソン 75俳優
8月5日リチャード・バートン 58俳優
9月10日ジョルジュ・ド・ボールガール 63プロデューサー
14日ジャネット・ゲイナー 77女優
17日リチャード・ベイスハート 70俳優
25日ウォルター・ピジョン 87俳優
10月10日マキノ智子 77女優
21日フランソワ・トリュフォー 52映画監督
23日オスカー・ウェルナー 61俳優
25日パスカル・オジェ 25女優
11月1日ノーマン・クラスナー 74脚本家
12月2日森谷司郎 53映画監督
7日大川橋蔵 55俳優
8日ルーサー・アドラー 81俳優
18日竜崎勝 44俳優
24日ピーター・ローフォード 61俳優
28日サム・ペキンパー 59映画監督

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 『The Hollywood Story』では、132.7 $MILLIONS となっている[2]
  2. ^ 『東宝75年のあゆみ』では、「11月16日」となっている。
  3. ^ 日本映画製作者連盟の発表では16.5億円となっている[31]
  4. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は23.1億円となっている[33]
  5. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は17.0億円となっている[33]
  6. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は31億7600万円となっている[33]
  7. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は29億0600万円となっている[33]
  8. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は16億9000万円となっている[33]
  9. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は15億4100万円となっている[33]
  10. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史』では配給収入は14億9800万円となっている[33]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h 石原良太 1986, p. 145.
  2. ^ a b Finler, Joel Waldo (2003) (英語). The Hollywood Story. Wallflower Press. p. 360. ISBN 978-1-903364-66-6. https://openlibrary.org/books/OL8767837M/The_Hollywood_Story 2024年2月12日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 東宝 2010b, p. 234.
  4. ^ a b c d e 東映 1992, p. 76.
  5. ^ ジョセフ・ロージー(Joseph Losey)について”. allcinema. スティングレー. 2024年4月2日閲覧。
  6. ^ 20世紀西洋人名事典『リチャード バートン』 - コトバンク
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 東宝 2010b, p. 235.
  8. ^ フランソワ・トリュフォー:プロフィール・作品情報・最新ニュース”. 映画.com. 2024年4月2日閲覧。
  9. ^ a b c 東映 1992, p. 78.
  10. ^ 日活 2014, p. 134.
  11. ^ AGAIN”. 日活公式サイト. 日活. 2023年3月11日閲覧。
  12. ^ a b 岩波 1996b, p. 600.
  13. ^ a b 東映 1992, pp. 76–77.
  14. ^ a b 松竹 1985, p. 696.
  15. ^ 東宝SF特撮映画シリーズ 1985, p. 140.
  16. ^ 東京国立近代美術館フィルムセンター火災”. 東京文化財研究所 (2015年11月20日). 2019年9月26日閲覧。
  17. ^ 山川 1987, p. 469.
  18. ^ 谷川 1993, p. 184.
  19. ^ a b c 前野裕一 2018, pp. 234–236.
  20. ^ 麻雀放浪記 : 作品情報”. 映画.com. 2024年4月9日閲覧。
  21. ^ a b 前野裕一 2018, pp. 240–241.
  22. ^ 映画 魔界の大陸 (1978)について”. allcinema. 2022年8月3日閲覧。
  23. ^ お葬式 : 作品情報”. 映画.com. 2024年4月9日閲覧。
  24. ^ 斉藤 2009, p. 98.
  25. ^ 第32作 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年12月28日閲覧。
  26. ^ 第33作 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎”. 『男はつらいよ』公式サイト. 松竹映画. 2016年8月5日閲覧。
  27. ^ 小売物価統計調査(動向編) 調査結果”. 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  28. ^ 主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年(1950年)〜平成22年(2010年)” (Excel). 統計局. 2016年8月3日閲覧。
  29. ^ a b 過去データ一覧”. 一般社団法人日本映画製作者連盟. 2016年8月2日閲覧。
  30. ^ 主要耐久消費財等の普及率(全世帯)(平成16年3月末現在)” (XLS). 内閣府公式サイト. 統計表一覧:消費動向調査. 内閣府 (2004年3月31日). 2022年5月3日閲覧。
  31. ^ 1984年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  32. ^ 中川右介「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』角川マガジンズ、2014年、283頁。ISBN 4-047-31905-8 
  33. ^ a b c d e f g 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、430頁。ISBN 978-4873767550 

参考文献 編集