三冠 (野球)

野球用語

野球における三冠(さんかん、英語:Triple Crown)とは、打者の場合、日本プロ野球(NPB)およびメジャーリーグベースボール(MLB)において1シーズンに1人の打者首位打者本塁打王打点王の3つのタイトルを獲得することである[1][2]。打者の選手が三冠を達成した場合は「三冠王」と呼びNPB、MLBともに表彰される[3]

投手の場合、MLBでは1シーズンに1人の投手が最多勝利最優秀防御率最多奪三振の3つのタイトルを獲得すること[4]と定義されているが、日本プロ野球では定義されていない。日本では、1リーグ時代から最高勝率が連盟表彰とされてきたことから、2000年代前半までは投手三冠といえば最多勝利最優秀防御率最高勝率を指すことが一般的であった[5][6][7][注釈 1]。打者の三冠とは違い投手の三冠はNPBでは表彰の対象ではない。

一般的に「三冠王」とのみ表記される場合は打者の三冠王の事を指し、投手が三冠を達成した場合は「投手三冠王」と区別して呼んでいる。

概要 編集

日本プロ野球においては、中島治康が1938年秋のシーズンで打撃3タイトルを独占した当時は、「打撃3部門の全てで1位となった」ことへの認識が薄く、話題にはならなかった[8]。後に1953年から1958年にかけて、西鉄ライオンズ中西太が、4度にわたって打撃3タイトルの独占を僅差(1打点差や打率数厘差)で逃すという出来事があった[8]。この時期の中西を巡る報道の中で、打撃3タイトルの独占が「トリプルクラウン」として取り上げられるようになり、「トリプル冠」「三重勝」といった表現の試行を経て、1958年頃から「三冠王」という訳語がマスコミで定着した[8]。1965年に野村克也が打撃3タイトルを独占した際には、「三冠王」として大きく報道されている[8]

この事実を紹介した日本経済新聞の記事では、先に存在していた競馬の「三冠馬」という言葉の影響を受けた可能性が強いとも指摘している[8]

NPBおよびMLBにおける公式の定義以外でも、メディアなどでは野球におけるその他のタイトルやリーグトップの複数の記録の獲得、あるいは野球以外の競技における複数の最高記録の獲得を「○冠」と呼ぶ場合がある。

NPB 編集

打者部門 編集

年度リーグ選手名所属球団打率本塁打打点その他リーグ1位の項目備考
1938年秋日本野球連盟中島治康東京巨人軍.3611038安打・塁打・出塁率・長打率MVP
プロ野球史上初
1965年パ・リーグ野村克也南海ホークス.32042110得点・安打・塁打・敬遠MVP(満票)
戦後および2リーグ制以降初
1973年セ・リーグ王貞治(1)読売ジャイアンツ.35551114得点・安打・塁打・四球・敬遠・出塁率・長打率MVP(満票)
セ・リーグ初
1974年セ・リーグ王貞治(2)読売ジャイアンツ.33249107得点・塁打・四球・敬遠・出塁率[注釈 2]・長打率・OPSMVP、史上最年長(34歳)での達成
1982年パ・リーグ落合博満(1)ロッテオリオンズ.3253299安打・二塁打・塁打・出塁率・長打率MVP
プロ入り最速(4年目)での達成
1984年パ・リーグブーマー・ウェルズ阪急ブレーブス.35537130安打・塁打・OPSMVP
外国人選手初[注釈 3]
入団から最速(2年目)での達成
1985年セ・リーグランディ・バース(1)阪神タイガース.35054134安打・塁打・出塁率・長打率MVP[注釈 4]
1985年パ・リーグ落合博満(2)ロッテオリオンズ.36752146得点・塁打・四球・敬遠・出塁率・長打率[注釈 5]MVP
隔年での達成は2023年現在唯一
1986年セ・リーグランディ・バース(2)阪神タイガース.38947109安打・塁打・四球・敬遠・出塁率・長打率[注釈 6]打率はNPB記録[注釈 7]
1986年パ・リーグ落合博満(3)ロッテオリオンズ.36050116得点・四球・敬遠・出塁率・長打率最多となる3回目の達成
2004年パ・リーグ松中信彦福岡ダイエーホークス.35844120得点・安打・塁打・出塁率・長打率MVP
平成唯一の達成[9]
2022年セ・リーグ村上宗隆東京ヤクルトスワローズ.31856134得点・塁打・四球・敬遠・出塁率・長打率MVP(満票)
令和初、史上最年少(22歳)での達成[注釈 8]

2023年シーズン終了時点で12例(8人)の三冠王が誕生している。史上初の三冠王は1938年秋の中島治康である。複数回達成しているのは王貞治ランディ・バース落合博満で、落合は3回、王とバースは2回達成している[10]

1938年秋に中島治康、1973年に王貞治、1982年に落合博満、1985年にランディ・バース、2004年に松中信彦が、首位打者・本塁打王・打点王・最多安打・最高出塁率の打者五冠王になっている。また1995年にイチローが首位打者・打点王・盗塁王・最多安打・最高出塁率の打者五冠王になっている[注釈 9]

投手部門 編集

「*」は当時連盟表彰対象外の項目

年度リーグ選手名所属球団勝利防御率奪三振その他のリーグ1位備考
1937年春日本野球連盟沢村栄治東京巨人軍240.81196*勝率・完投・完封・無四球MVP
日本プロ野球史上初
1938年秋日本野球連盟ヴィクトル・スタルヒン東京巨人軍191.05146*勝率・完投・完封・無四球・投球回数
1943年日本野球連盟藤本英雄東京巨人軍340.73253*登板・先発・勝率・完投・完封[注釈 10]・投球回数防御率はNPB記録
1948年日本野球連盟中尾碩志読売ジャイアンツ271.84187*沢村賞
戦後初・左投手初
1954年セ・リーグ杉下茂中日ドラゴンズ321.39273*登板・勝率・完封・投球回数MVP(満票)・沢村賞
セ・リーグ初
1954年パ・リーグ宅和本司南海ホークス261.58275*投球回数新人での達成、19歳での達成は史上最年少[注釈 11]
パ・リーグ初
1958年セ・リーグ金田正一国鉄スワローズ311.30311*完封・WHIP沢村賞[注釈 12]
1958年パ・リーグ稲尾和久(1)西鉄ライオンズ331.42334*登板・投球回数・WHIPMVP
1959年パ・リーグ杉浦忠南海ホークス381.40336*先発・勝率・完封・WHIPMVP(満票)
1961年パ・リーグ稲尾和久(2)西鉄ライオンズ421.69353*登板・勝率・完投・投球回数[注釈 13]勝利数はNPBタイ記録
奪三振は歴代2位、パ・リーグ記録
2度の達成は歴代2位
1961年セ・リーグ権藤博中日ドラゴンズ351.70310*登板・先発・完投・完封・無四球・投球回数[注釈 14]・WHIP沢村賞
新人での達成[注釈 15]
1978年パ・リーグ鈴木啓示近鉄バファローズ252.02178*先発・完投[注釈 16]・完封・無四球・WHIP31歳での達成は史上最年長
1980年パ・リーグ木田勇日本ハムファイターズ222.28225*勝率・完投・投球回数MVP
新人での達成[注釈 17]
1981年セ・リーグ江川卓読売ジャイアンツ202.29221*勝率・完投・完封・WHIPMVP
1985年セ・リーグ小松辰雄中日ドラゴンズ172.65172*沢村賞
1990年パ・リーグ野茂英雄近鉄バファローズ182.91287勝率・完投・投球回数MVP・沢村賞
新人での達成
1999年セ・リーグ上原浩治読売ジャイアンツ202.09179勝率・無四球・WHIP沢村賞
新人での達成
2006年パ・リーグ斉藤和巳福岡ソフトバンクホークス181.75205勝率・完封・無四球・投球回数沢村賞
2010年セ・リーグ前田健太広島東洋カープ152.21174完投・投球回数・WHIP沢村賞
2018年セ・リーグ菅野智之読売ジャイアンツ152.14200完投・完封・投球回数・WHIP沢村賞
2020年パ・リーグ千賀滉大福岡ソフトバンクホークス112.16149
2021年パ・リーグ山本由伸(1)オリックス・バファローズ181.39206先発・勝率・完投・完封・投球回数・WHIPMVP・沢村賞
2022年パ・リーグ山本由伸(2)オリックス・バファローズ151.68205先発・勝率・完投・完封・投球回数MVP・沢村賞
2年連続は史上初
2023年パ・リーグ山本由伸(3)オリックス・バファローズ161.21169勝率・WHIPMVP・沢村賞
3度達成は歴代最多

2023年シーズン終了時点で投手三冠王は24例(21人)。史上初の投手三冠王は沢村栄治である。外国人史上初はヴィクトル・スタルヒン。複数回達成しているのは稲尾和久山本由伸で、連続達成、3回達成は山本由伸のみ。沢村賞とのWタイトルになる事が多く、沢村賞制定(1947年)以降に対象リーグ(1950 - 1988年はセ・リーグのみ、1989年以降は両リーグ対象)の投手三冠は15例あるが、うち13例で沢村賞を獲得している(1981年江川卓・2020年千賀滉大のみ不選出)。

他方、MVPとの親和性は打者三冠王よりも低く、投手三冠を達成したケースでMVPに選出された事例は、全体の半分に満たない(全体で24例中、MVP10例[注釈 18])。

球団別では、巨人7回、南海(現在のソフトバンク)4回、中日3回、西鉄(現在の西武)2回、近鉄2回、オリックス3回、国鉄(現在のヤクルト)1回、日本ハム1回、広島1回。

投手○冠 編集

投手○冠という場合の項目はマスコミ等でも統一されていないため、最高勝率タイトルを含めて4冠と呼ぶことがある。さらに、元記録員としてたびたび個人記録に介入した宇佐美徹也は、この4冠に「球威を現すバロメーター」いう理由で[11]最多完封を加えて投手5冠王とすることで、打者の三冠王に「匹敵する五冠王と呼んだらどうだろう」と提唱した(ただし、なぜ完封が「球威を現すバロメーター」なのかに関する説明はない)[12]。このように、投手5冠とは宇佐美が自説として創作した称号であるが、近年は宇佐美に合わせてこの5項目を投手5冠とする報道がある[13]

2023年シーズン終了時点で投手5冠王達成者は1937年春の沢村栄治(巨人)、1938年秋のスタルヒン(巨人)、1943年の藤本英雄(巨人)、1954年の杉下茂(中日)、1959年の杉浦忠(南海)、1981年の江川卓(巨人)、2006年の斉藤和巳(ソフトバンク)、2021年・2022年の山本由伸(オリックス)の8人(9回)。斉藤和巳以外は所属チームがいずれもリーグ優勝を果たしている[14]。こちらはMVPとの親和性が高く、リーグ優勝を果たした7人のうちスタルヒン、藤本英雄を除く5人がMVPを受賞している[注釈 19](2006年の斉藤和巳もMVP投票において1位票を最も多く獲得していた[15])。

その他 編集

  • 同シーズンに打者部門・投手部門の両方で三冠王の達成者が出たのは、1938年秋・1985年・2022年の3回である。

MLB 編集

パンチョ伊東のエッセイによると、打点がリーグの記録として公表されるようになったのは1907年からであり[注釈 23]、当時は打点の定義がリーグによって微妙に違いがあったため、それを統一して公式記録となったのは1920年からであるという[注釈 24]。さらに当時の本塁打の多くは「ランニング・ホームラン」であったので、ほとんど注目されておらず、本塁打は三塁打の延長程度に考えられていた[注釈 25]。従って、1910年代までの打撃の「三冠王」とは、打率・安打数・得点数の部門を制した選手を指していた[注釈 26][注釈 27]

打者部門 編集

打撃6部門制覇は1909年にタイ・カッブが記録している。監督兼任での達成は1925年のロジャース・ホーンスビーが記録している。

年齢は達成年度の年齢。リーグのNLはナショナルリーグ、AAはアメリカン・アソシエーション、ALはアメリカンリーグ。不明は記録不明。()はランニング本塁打の本数(判明している数のみ。走本0本の場合は未記載)、走本はランニング本塁打の意。守備位置は達成年に最も守ったポジション。外野手は右翼手など詳細が判明している場合は記載。盗塁の太字はリーグトップ。

年度年齢選手名リーグ所属球団守備位置打席打率本塁打(走本)打点盗塁備考
1878年23歳ポール・ハインズNLプロビデンス・グレイズ外野.3584(1)50メジャーリーグ初の三冠王
1887年29歳ティップ・オニールAAセントルイス・ブラウンズ外野.43514(1)12330本塁打数に加え、安打数、二塁打数、三塁打数も1位
1894年27歳ヒュー・ダフィーNLボストン・ビーンイーターズ外野.4401814548MLB歴代最高打率記録
1901年26歳ナップ・ラジョイALフィラデルフィア・アスレチックス二塁.42614(4)12527二塁手史上初の達成。近代野球初の三冠王、近代野球以降でのMLB歴代最高打率
1909年22歳タイ・カッブALデトロイト・タイガース外野.3779(9)11576三冠に加え盗塁数・安打数・出塁率もMLB全体で1位、三冠王唯一の全てランニング本塁打。打撃三冠王の史上最年少記録
1922年26歳ロジャース・ホーンスビー(1)NLセントルイス・カージナルス二塁.40142(4)15217二人目の二塁手での達成
1925年29歳ロジャース・ホーンスビー(2)NLセントルイス・カージナルス二塁.40339(1)1435史上初の二度目の三冠王。投手も含め唯一の監督兼任での達成。
1933年25歳ジミー・フォックスALフィラデルフィア・アスレチックス一塁.356481632一塁手史上初の達成、初の両リーグから打撃三冠王誕生
1933年28歳チャック・クラインNLフィラデルフィア・フィリーズ右翼.36828(1)12015二人目の盗塁王経験者の達成
1934年31歳ルー・ゲーリッグALニューヨーク・ヤンキース一塁.36349(1)1659二人目の一塁手での達成。三冠王の最多打点記録、最年長記録。最後のランニング本塁打を含む三冠王
1937年25歳ジョー・メドウィックNLセントルイス・カージナルス左翼.374311544最後のNL打撃三冠王
1942年23歳テッド・ウィリアムズ(1)ALボストン・レッドソックス左翼.356361373
1947年28歳テッド・ウィリアムズ(2)ALボストン・レッドソックス左翼.343321140メジャー最多タイ記録の二度目の三冠王
1956年24歳ミッキー・マントルALニューヨーク・ヤンキース中堅.3535213010スイッチヒッター史上初の達成、現在でも史上唯一。三冠王の最多本塁打記録
1966年30歳フランク・ロビンソンALボルチモア・オリオールズ右翼.316491228黒人選手として史上初、現在でも史上唯一の三冠王
1967年27歳カール・ヤストレムスキーALボストン・レッドソックス左翼.326441211020世紀最後の達成
2012年29歳ミゲル・カブレラALデトロイト・タイガース三塁.330441394三塁手史上初の達成、メジャーリーグ45年ぶり

参考記録 フレッド・ダンラップ 打率.412 本塁打13 打点不明

1884年にユニオン・アソシエーションでの記録。安打数 (185)、得点 (160)、本塁打 (13)、打率 (.412)、出塁率 (.448)、長打率 (.621)はいずれもリーグトップ。ユニオン・アソシエーションにおける個人の打点数は現在も判明していないが、他の部門の成績から見て、この年のユニオン・アソシエーションの「三冠王」になっていたと思われる。

投手部門 編集

投手5部門制覇は1884年にチャールズ・ラドボーン、1930年にレフティ・グローブが記録している。

両リーグからの達成はUAAANLなどの3リーグ以上ある場合の2リーグから誕生も含む。セーブの太字はリーグトップ。

年度年齢選手名リーグ所属球団投球勝利防御率奪三振セーブ備考
1877年21歳トミー・ボンドNLボストン・レッドキャップス402.111700初の投手三冠王
1884年28歳ガイ・ヘッカーAAルイビル・カーネルズ521.803850初の両リーグ(3リーグ時に2リーグ)から投手三冠王誕生、投手三冠王で唯一の首位打者獲得経験者
1884年29歳チャールズ・ラドボーンNLプロビデンス・グレイズ601.384412勝率、セーブ数も1位、投手三冠王、MLBの最多勝利記録、投手三冠王の最多奪三振記録
1888年31歳ティム・キーフNLニューヨーク・ジャイアンツ351.743350
1889年27歳ジョン・クラークソンNLボストン・ビーンイーターズ492.732841
1894年23歳エイモス・ルーシーNLニューヨーク・ジャイアンツ362.781951
1901年34歳サイ・ヤングALボストン・アメリカンズ331.621580近代野球初の投手三冠王
1905年24歳クリスティ・マシューソン(1)NLニューヨーク・ジャイアンツ311.282063両リーグから投手三冠王
1905年28歳ルーブ・ワッデルALフィラデルフィア・アスレチックス271.482870
1908年27歳クリスティ・マシューソン(2)NLニューヨーク・ジャイアンツ371.432595セーブ数も1位、初の二度目の投手三冠王
1913年25歳ウォルター・ジョンソン(1)ALワシントン・セネタース361.142432投手三冠王の最高防御率記録
1915年28歳ピート・アレクサンダー(1)NLフィラデルフィア・フィリーズ311.222413
1916年29歳ピート・アレクサンダー(2)NLフィラデルフィア・フィリーズ331.551673初の二年連続投手三冠王、完封数のMLB歴代最多タイ記録
1918年30歳ヒッポ・ボーンNLシカゴ・カブス221.741480両リーグから投手三冠王
1918年30歳ウォルター・ジョンソン(2)ALワシントン・セネタース231.271623
1920年33歳ピート・アレクサンダー(3)NLフィラデルフィア・フィリーズ271.911735最多記録の三度目の投手三冠王
1924年33歳ダジー・ヴァンスNLブルックリン・ドジャース282.162620両リーグから投手三冠王
1924年36歳ウォルター・ジョンソン(3)ALワシントン・セネタース232.721580最多タイ記録の三度目の投手三冠王
1930年30歳レフティ・グローブ(1)ALフィラデルフィア・アスレチックス282.542099勝率、セーブ数もMLB全体で1位
1931年31歳レフティ・グローブ(2)ALフィラデルフィア・アスレチックス312.061755最長タイの二年連続投手三冠王
1934年25歳レフティ・ゴメス(1)ALニューヨーク・ヤンキース262.331581
1937年28歳レフティ・ゴメス(2)ALニューヨーク・ヤンキース212.331940
1939年30歳バッキー・ウォルターズNLシンシナティ・レッズ272.291370
1940年21歳ボブ・フェラーALクリーブランド・インディアンス272.612614
1945年24歳ハル・ニューハウザーALデトロイト・タイガース251.812122
1963年27歳サンディー・コーファックス(1)NLロサンゼルス・ドジャース251.883060
1965年29歳サンディー・コーファックス(2)NLロサンゼルス・ドジャース262.043822セーブも記録した年での達成は2023年現在最後
1966年30歳サンディー・コーファックス(3)NLロサンゼルス・ドジャース271.73317042年ぶりの最多タイの三度目の投手三冠王、35年ぶり最長タイの二年連続投手三冠王
1972年27歳スティーブ・カールトンNLフィラデルフィア・フィリーズ271.973100
1985年20歳ドワイト・グッデンNLニューヨーク・メッツ241.532680投手三冠の最年少記録
1997年34歳ロジャー・クレメンス(1)ALトロント・ブルージェイズ212.052920
1998年35歳ロジャー・クレメンス(2)ALトロント・ブルージェイズ202.65271033年ぶりの二度目の投手三冠王、32年ぶり最長タイの二年連続投手三冠王
1999年27歳ペドロ・マルチネスALボストン・レッドソックス232.073130
2002年38歳ランディ・ジョンソンNLアリゾナ・ダイヤモンドバックス242.323340投手三冠の最年長記録
2006年27歳ヨハン・サンタナALミネソタ・ツインズ192.772450
2007年26歳ジェイク・ピービーNLサンディエゴ・パドレス192.542400
2011年28歳ジャスティン・バーランダーALデトロイト・タイガース242.40250087年ぶりの両リーグから投手三冠王
2011年23歳クレイトン・カーショウNLロサンゼルス・ドジャース212.282480
2020年25歳シェーン・ビーバーALクリーブランド・インディアンス81.631220レギュラーシーズン60試合、シーズン最高奪三振率記録

また、メジャーリーグベースボールの三冠王一覧も参照

KBO 編集

打者部門 編集

年度選手名所属球団打率本塁打打点備考
1984年李萬洙三星ライオンズ.3402380
2006年李大浩(1)ロッテ・ジャイアンツ.3362688
2010年李大浩(2)ロッテ・ジャイアンツ.36444133最多記録となる2度目の打者三冠王

投手部門 編集

年度選手名所属球団勝利防御率奪三振備考
1986年宣銅烈(1)ヘテ・タイガース240.99214
1989年宣銅烈(2)ヘテ・タイガース211.17198
1990年宣銅烈(3)ヘテ・タイガース221.13189
1991年宣銅烈(4)ヘテ・タイガース191.55210最多記録となる4度目の投手三冠王
2006年柳賢振ハンファ・イーグルス182.23204新人王とMVPを同時受賞
2011年尹錫珉起亜タイガース172.45178
2023年エリック・フェッドNCダイノス202.00209

CPBL 編集

打者部門 編集

年度選手名所属球団打率本塁打打点備考
1998年ジェイ・カークパトリック興農ブルズ.38731101
2017年王柏融Lamigoモンキーズ.40731101

投手部門 編集

年度選手名所属球団勝利防御率奪三振備考
2002年宋肇基中信ホエールズ162.13183
2006年林恩宇誠泰コブラズ171.73209
2015年マイク・ローリー(1)義大ライノズ163.26144
2017年マイク・ローリー(2)富邦ガーディアンズ162.18154
2020年ホセ・デポーラ中信兄弟163.20192

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 例えば、1999年の記事において、1990年に野茂英雄が投手部門のタイトルを独占したことが書かれた際も、奪三振を入れずに勝率を入れた形で投手三冠とされている(毎日新聞1999年10月15日大阪夕刊)。
  2. ^ この年の158四球・45敬遠出塁率.532・OPS1.293は日本記録
  3. ^ 王貞治は中華民国籍だが日本の学校を卒業したため野球協約により日本人選手扱い。
  4. ^ 打点は下記の村上と並ぶNPB左打者記録
  5. ^ この年の長打率.763はパ・リーグ記録
  6. ^ この年の長打率.777は歴代2位・NPB左打者記録
  7. ^ 三冠王になりながらMVPを逃したのは、下記の落合と共に史上初
  8. ^ 本塁打は歴代2位・左打者記録
  9. ^ 本塁打はトップに3本差であり、この年の本塁打王は小久保裕紀ダイエー)。
  10. ^ この年の19完封はNPBタイ記録
  11. ^ 2022年現在唯一、投手三冠ながらベストナインを逃している(この年は優勝した西鉄西村貞朗が受賞)
  12. ^ この年の防御率1.30はNPB左投手記録
  13. ^ この年の404イニングはパ・リーグ記録
  14. ^ この年の429.1イニングはセ・リーグ記録
  15. ^ 勝利数・奪三振・完封・無四球試合はNPB新人記録
  16. ^ この年の30完投はパ・リーグ記録
  17. ^ 左投手の投手四冠は2022年現在唯一、左投手の投手三冠も2022年現在最後
  18. ^ 投手四冠に限定すると、14例中MVP9例
  19. ^ スタルヒンが達成した1938年秋はチームメイトの中島治康が三冠王、MVPを獲得
  20. ^ 例として、1985年6月1日の阪神対中日9回戦(ナゴヤ球場)や10月20日の阪神対中日26回戦(甲子園)で直接対決をしている。バースが当時のシーズン本塁打記録歴代2位となる54号本塁打を打ったのは10月20日の試合で小松から打ったものである。
  21. ^ セ・パ交流戦で山本がヤクルト戦に登板しなかったため、村上と山本の両三冠王がシーズン中に直接対決をする機会は無かったが、同年のオールスターでは第2戦で対戦している。
  22. ^ この直接対決は、2022年現在唯一の三冠王同士としての直接対決である。
  23. ^ 「球聖・タイ・カップ(当時の表記法)自伝」の冒頭に掲げられているタイ・カッブの通算成績でも、最初の2シーズン分(1905年・1906年)は加算されていない。
  24. ^ このため、伊東は「今日でいう『三冠王』を初めて達成したのは、1922年ロジャース・ホーンスビーとなる」と記している。
  25. ^ 伊東によると、三冠王となった1909年シーズンのタイ・カッブの本塁打はすべて「ランニング・ホームラン」であったという。
  26. ^ 実際に古いボックス・スコアに記載されている打撃成績は、打数・得点・安打・打率のみである。その他は注釈として、個々の長打や塁打数、盗塁などが別枠に書かれていた。
  27. ^ ただし、2001年発刊の『メジャーリーグ100年「記録の達人」』(ベースボール・マガジン社 ISBN 4-583-61167-6)でのタイ・カッブの項目には、『1909年に打率.377、本塁打9、打点107で三冠王になっても、その価値は認めなかったはずである。当時は三冠王と言えば、安打数、打点、打率が1位である選手を指し、カッブは07年、08年、09年、11年にその3部門でトップに立っている。安打数に代わって本塁打が三冠王の要素になったのは1910年代初頭……(省略)』と記されており、文献や資料によって意見が異なっている。カッブの自伝では「1900年代初期」の三冠王の定義は打率・打点・得点となっており、カッブ本人は生前に当時の三冠王について打率・安打・打点であったと述べている(カッブは現役が長かったため、具体的にいつの年かは不明)。また、「ベーブ・ルース1920年に54本塁打を放つ頃までは、本塁打はあまり重要視されていなかった」という点については、すべて共通している。

参照 編集

  1. ^ 三冠王 - 日本野球機構
  2. ^ Triple Crown Winners: Batting - MLB.com(メジャーリーグベースボール公式サイト)
  3. ^ 各記録達成者一覧
  4. ^ Triple Crown Winners: Pitching - MLB.com
  5. ^ 朝日新聞1968年10月1日朝刊13頁
  6. ^ 読売新聞1997年7月22日大阪夕刊
  7. ^ 毎日新聞2003年10月13日朝刊25頁
  8. ^ a b c d e 中川淳一、「ことばオンライン 『三冠王』定着の陰に伝説の強打者 」- 日本経済新聞、2011年10月18日、2017年5月18日閲覧。
  9. ^ 交流戦でOB対決 DeNA・斎藤コーチVS鷹OB・松中信彦氏が真剣勝負”. デイリースポーツ online (2022年5月24日). 2022年6月24日閲覧。
  10. ^ “野球殿堂入りのバース氏「優勝してくれる」岡田阪神の今季優勝を断言 来日も約束”. デイリースポーツ online (株式会社デイリースポーツ). (2023年1月13日). https://www.daily.co.jp/tigers/2023/01/13/0015962474.shtml 2023年1月13日閲覧。 
  11. ^ 宇佐美徹也『プロ野球記録大鑑』888頁
  12. ^ 宇佐美徹也『プロ野球記録大鑑』888頁、『プロ野球データブック'84』(宇佐美徹也著、講談社文庫、1984年)p.421
  13. ^ 12連勝オリックス山本由伸、史上7人しかいない投手5冠の可能性
  14. ^ 「余裕で通用」“投手5冠”・山本由伸のメジャーでの活躍にダルビッシュ有も太鼓判!能力的には「全部すごい」”. THE DIGEST (2021年11月1日). 2021年11月7日閲覧。
  15. ^ https://npb.jp/award/2006/voting_mvp.html

参考文献 編集