養育費を請求する方法

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夫婦が離婚をする原因は様々ですが、もし二人の間に子供がいるのなら最大の心配事は子供の養育でしょう。特に、子供を引き取って監護する側の親には様々な負担がかかります。もちろん、経済的な負担も小さくありません。しかし、子供を養育する義務は父母双方にあるのですから、子供を監護する側には養育費を受け取る権利、監護しない側には支払う義務があります。いざという時にしっかり権利を行使できるよう、養育費に関する理解を深めておきましょう。

方法 1
方法 1 の 3:

養育費を理解しましょう

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    養育費とは何か知りましょう 養育費とは、子供の監護や教育のために必要な費用のことです。子供が経済的・社会的に自立するまでの期間に要する、衣食住に必要な経費・教育費・医療費などがこれに該当します。一般的には、この費用の一部を子供と同居していない親が支払うもののことを指します。
    • 養育費の法的根拠には、民法752条(夫婦間の扶助義務)、同760条(婚姻費用分担)、同766条1項(子の監護費用)の3つの条文があります。[1]
    • 金額や支払いの期間などについては、離婚の際に取り決めておくのが常識的といえます。離婚後に請求することもできないわけではありませんが、子供のためにも優先的に協議しておくのが賢明な選択でしょう。
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    金額を知りましょう 養育費は原則両親間の話し合いで決めるものですから、絶対的な金額基準はありません。ただし、話し合いで金額の合意に至らなかった際には、裁判所が示している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にするのが一般的です。[2]
    • 算定表を用いると、一例として「子供2人・第一子が15歳以上、第二子が14歳以下、父の年収が600万円・母が350万円(ともに給与所得)」というケースであれば、養育費は6万円から8万円の間で決める、というのが目安になります。
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    支払いの期間を知りましょう 養育費をいつまで支払うべきなのかということについても法律上の定めはなく、両親で協議することになります。養育費は子供が経済的・社会的に自立するまでにかかる監護・教育の費用なのですから、法律上の成人である20歳になるまでを区切りとして考えるのが一般的でしょう。
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方法 2
方法 2 の 3:

養育費を決定しましょう

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    話し合いで決めましょう 養育費の内容は両親間の協議によって決めるのが原則です。裁判所の手続きなどによらず本人同士の話し合いで取り決めることができれば、精神的なストレスも少なく済むことでしょう。
    • 金額については、子供の進学などで経費が増えることも考慮して協議しましょう。金額の算定は、父・母・子の最低生活費と費用負担能力をベースとして検討します。
    • 子供にできるだけのことをしてやりたい親の心情はとても大切ですが、現実的でない内容になってしまっては意味がありません。冷静な判断も必要になるでしょう。
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    請求調停で決めましょう 本人同士で合意できない場合には、子を監護している側の親から他方の親に対して家庭裁判所に調停の申立てをすることができます。調停とは、わかりやすく言えば「裁判所が本人同士の協議の仲立ちをする」というイメージです。合意に至らない場合に法的な拘束力はありませんが、裁判所での手続きをすることで冷静かつ円滑に協議を進められる可能性はあるでしょう。[3]
    • 調停で合意できた内容には、法的な強制力があります。
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    請求審判で決めましょう 調停で合意に至らなかった場合、調停は不成立として終了します。しかし、引き続き審判手続が行われ、最終的には裁判官の「こうすべき」という結論が示されます。審判の結果には法的な拘束力が伴いますので、子供を監護しない側の親はその内容通りに義務を遂行しなければなりません。
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方法 3
方法 3 の 3:

支払いの履行を請求しよう

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    権利を行使しよう 養育費に関する取り決めが合意できたら合意の文書を取り交わし、内容に沿って請求権を行使しましょう。原則的には取り決めた通りの方法で養育費の支払いを受け、もし支払いが滞れば自分で督促をしたり状況を確認することになります。この際、合意の文書がしっかりしたものでないと、後々トラブルの原因になるかもしれません。
    • 合意の文書に手製の簡易な協議書などを用いることも少なくないようですが、法的な効力は強くありません。トラブルを回避するためには公正証書を作成しておくべきでしょう。公正証書は、国の役所である公証役場で作成してもらうことができます。[4]
    • 合意の内容を裁判所の調停・審判によって定めた場合には、公正証書と同様の効力があるとみなされます。
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    内容証明を送ろう 相手が支払いの督促や状況確認に応じなかった場合には、次の方法として内容証明郵便を使用して請求しましょう。[5] 内容証明郵便の内容は郵便局が証明しますので、配達証明郵便を併用すれば「この内容の郵便を相手が受け取った」という、裁判所でも有効な証拠になります。
    • 弁護士に相談し、弁護士から相手方へ内容証明を送る方法もあります。法的な拘束力が発生するわけではありませんが、「法的な手続きに沿って交渉を行う用意がある」という意志表示として有効かもしれません。
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    履行勧告・履行命令をしよう それでも支払いが行われない場合、家庭裁判所から履行勧告・履行命令を出してもらいましょう。それほど強い強制力があるわけではありませんが、裁判所からの連絡を無視できる人はあまり多くはないでしょう。
    • 履行勧告には法的強制力がありませんが、履行命令には10万円以下の罰金規定があります。
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    強制執行しよう ここまで見てきた手続きを踏んでも養育費が支払われない場合は、明確な支払い拒否だと考えられます。この場合に検討すべきなのが強制執行で、具体的には給与の差し押さえのことです。最終手段とも言える方法ですが、子供の将来に関わる重要なことですから、必要な措置だと考えるべきでしょう。
    • 養育費は法律上も特別に保護されています。支払い義務者の給与を特例的に2分の1まで差し押さえることができるほか、1回の手続きで将来発生する養育を将来の給与から差し押さえることもできるのです。
    • 強制執行をするためには養育費の合意文書が必要です。裁判所の調停調書や公正証書がこれにあたりますが、手製の協議書や覚書などでは効力がほとんどない場合もありますので、十分注意しましょう。
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ポイント

  • 支払いが約束通り行われない場合の請求手続きでは、最終的には公正証書などの有効な書類があるかどうかが争点になることが少なくありません。しかし、たとえ簡易な文書や口約束であったとしても、請求権を行使できないとは限りません。諦めずに市の無料法律相談などで相談してみましょう。
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