親と絶縁する方法

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「親と絶縁する」というワンフレーズだけを目や耳にする限り、仰々しい、短絡的かつ衝動的な感情であるなど、子供が悪しき考えの持ち主であるとのイメージを抱く人もいることでしょう。しかしながら子供がこの決意を固めるまでには、そのきっかけこそ些細な感情を抱いた出来事であったにせよ、他人には想像できない壮絶な心の葛藤があったことでしょう。度を越えた過干渉や暴力、金銭の無心など、いわゆる毒親特有の言動に長年悩まされ続け、心の糸が切れる寸前の決断とも考えられます。その場合、親との絶縁は自分と家族の平穏な生活を守り、リスクを回避する方法の1つであり、必ずしも悪いことではありません。[1]

方法 1
方法 1 の 2:

法律上の解釈を理解する

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    公的手続きの有無を知る まずは親との絶縁を希望する人にとっては残念な現実ですが、親と絶縁する法的な方法は見当たりません。法律では6歳未満であれば、特別養子縁組によって養親との親子関係を構築することで、実親との親子関係を消滅させることが可能です。これすなわち、6歳以上の人物に関しては、たとえば配偶者の親などとの養子縁組や分籍を行ったとしても、法律上の実親との親子関係は消滅できないことを意味しています。いわゆる「勘当」「親子の縁を切る」など、当事者間が事実上絶縁状態であったとしても、法的な親子関係は存続し続けるのが、現在の日本の法律であり解釈です。[2]
    • 法的な親子関係に基づく相続権、扶養義務などの権利義務関係もまた、たとえ絶縁状態であったとしても、法的に存続します。
    • 親子関係や祖父母・孫など直系血族関係および兄弟姉妹関係にある者同士は、民法877条に基づく扶養義務が双方に課せられています。たとえば絶縁状態の両親が金銭的に困窮した場合、子供は親を助ける義務があるとの解釈になります。ただし扶養義務に違反した場合の罰則は定められていません。
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    絶縁状を内容証明で送る 「もうこれ以上関わるつもりはない」との意思を明確に示す有効手段として、絶縁状を送付する方法も、親との縁を切る上で実行したい手段の1つです。ただし通常の郵便で送付した場合、親に絶縁状など存在しなかったことにされてしまう可能性が否めず、内容証明郵便での送付が確実です。[3]
    • 内容証明とは、いつ、どのような内容の文章が、誰から誰宛に差し出されたかを、差出人が作成した謄本に基づき、日本郵便が証明する制度です。ただし証明されるのはあくまで内容文章の存在であり、内容自体が真実であるか否かを証明する制度ではありません。
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    現実を踏まえ自身の意思を再確認する ここまで述べた通り、親との絶縁はあくまで当事者間の意向や意地など、双方の感情が複雑かつ激しく対立した『結果』であり、絶縁後も親子関係を完全に消滅することはできません。こうした親を捨てたい(親から離れたい)子供の立場からすれば「分が悪い」「理不尽だ」と思われる現状を踏まえ、それでも親と絶縁したいのか、今一度冷静に考える作業も大切です。激情に任せて無計画に絶縁宣言を叩きつけて飛び出す、あるいは黙って姿をくらましたとしても、とりわけ「毒親」とされる親の気配や存在に怯える生活が続かないとも限りません。より確実に絶縁できる、後々まで親の気配に神経を擦り減らすことなく、親のことをより安心して忘れ、新たな人生を歩んでゆける絶縁方法を見据え、確実に実行する姿勢が求められます。
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方法 2
方法 2 の 2:

行動に出る

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    電話番号とメルアドを変更する 親と絶縁するために最初に必要な対処として、連絡がとれない環境の構築が欠かせません。これを具現化する最もシンプルな手段が、電話番号とメルアドの変更です。仮に親が周囲の第三者に協力を願い出て(強制して)連絡をつけようとしても、連絡先が分からなければ、無理矢理コンタクトを取られることは基本ありません。ただし仕事上その他の理由で、電話番号を変えるデメリットが大きく不可能な場合には、親からの電話やメールを着信拒否にする対応も一案です。しかしながら親戚など共通の知人を通じて様子を伺われる可能性が否めず、親と関係する人物も含めて関係を断ち切る上では、電話番号およびメルアドの変更が、より有効な手段であると言えるでしょう。
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    戸籍を分籍する 親との絶縁に踏み切る時点で未婚の成人であれば、親とは戸籍を別にする『分籍』制度の活用が可能です。これは親が筆頭者の戸籍から自分の戸籍を除籍し、新たな戸籍を作成する作業です。分離届の提出には、全部事項証明の戸籍謄本1通、印鑑、分離届申請書が必要で、分離する本人が申請者でなければならず、手数料は無料です。本籍地は日本全国どこでも自由に選択が可能で、冗談ではなく、東京ドームでも宗谷岬でも南大東島でも構わず、住所を探し出されるリスク回避の観点から、転居先とは関連性の無い住所を選択するのが賢明です。また結婚すればその時点で、親の戸籍から除籍されるため、分籍を気にする必要はありません。[4]
    • 分籍のメリット 自身の戸籍を取り寄せる際に、実家のある自治体の役所に申請して郵送などをしてもらう必要がなくなります。また分籍した戸籍の附表に閲覧制限をかける(DV、ストーカー、虐待の被害者であることを証明するため、警察による調書の発行が必要)ことで、住所を知られない対策を講じる前段階の自衛効果が得られます。
    • 分籍のデメリット 一旦分籍すると二度と元の戸籍には戻れないため、過去に遡った戸籍の附表が必要になった際に、手続きが複雑となる場合があります。また自身が筆頭者の戸籍の場合、結婚や重要な契約を締結する際に、その理由を先方に勘繰られてしまう可能性がゼロとは言い切れません。
    • 注意点 分籍もしくは除籍をしている場合も、親は戸籍の閲覧が可能です。先述の本籍地を居住地とは無関係な場所に設定すべき大きな理由が、ここに存在しています。
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    転居する 転居に指しては、親に新居の住所を知られないよう、万全かつ細心の注意を払う姿勢が大切です。親戚関連や友人に対しても、安易に新居の住所を伝えるべきではなく、これまでの交友関係を一旦すべて断ち切る覚悟が求められます。どれだけ信用できる、秘密を守ってくれると確信できる相手であったとしても、親が巧妙に問い詰めた結果、押し切られる形で教えてしまう可能性を疑いましょう。自身の親との絶縁を心底理解し応援してくれる、限られた親友であったとしても、「落ち着いたら必ず連絡するから」と、一定期間は連絡がとれない環境を確保するくらいの慎重さが大切です。[5]
    • 親が探偵など第三者を使って居所を探す可能性に備え、転居先では住民票と戸籍の附帯に閲覧制限をかけておきましょう。
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    家を出る 親と同居の生活環境で絶縁するのであれば、自ずと家を出ることになりますが、ここで黙って家出してしまうと、行方不明者届(捜索願)を出される可能性が見過ごせません。この展開に対する予防手段として、失踪宣言書(いわゆる「探さないでください」といった書き置き)を残しておきましょう。ただし家出人が未成年の場合、失踪宣言書が存在したとしても、親が行方不明者届を提出すれば、警察が捜索に乗り出す場合があります。それを防ぐために、親が届け出た捜索願の受理を警察に拒否させる効力を有する、捜索願不受理届を提出しておくことで、親が警察を利用して捜索できない環境を整えておきましょう。[6]
    • 失踪宣言書は公的書面ではないため書式は自由で、ワープロは用いずに直筆で綴ります。自分の意志で失踪する(事件性はない)こと、自殺するつもりはなく、いつか必ず戻ることを明記し、日付と氏名を記入します。書き上げたなら家族が見つけやすい目立つ場所に置いておきましょう。[7]
    • 捜索願不受理届とは、正当な理由で捜索されたくない当事者が警察に届け出る書面で、警察がこの書面を受理することで、その人に対する捜索願の受理を拒否する効力を生み出します。[8]
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    自分を生きる 親との絶縁すなわち『毒親との決別』は、晴れて自由の身を手に入れることが最終ゴールではありません。新たな生活環境で仕事を探し、自身の手で経済的に自立し、心地良い人間関係を構築する、いわば『人生ゲームのふりだしからのリスタート』が、これからの自身の使命であり、生きることに他なりません。見知らぬ土地でまだ知人もいない環境下、親との絶縁で疎遠とならざるを得なかった友人や知人への想いや想定外の里心に、戸惑い気弱になってしまう場面もあるでしょう。それでも身体と心の奥歯を力強く喰いしばり、ようやく手に入れた新たな環境を、未来へと続く舞台と捉え、自分を生きる毎日を精一杯楽しみましょう。
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ポイント

  • 当事者が6歳未満時の特別養子縁組以外、生物学的に親子関係が証明された親との絶縁は、法的には認められず、また絶縁を証明する公的な書面も存在しません。
  • 親との絶縁を目的とした転居や家出に際しては、どれだけ信頼できる人物であろうとも、安居に住所や連絡先を告げる行為は、最終的に親に聞き出されてしまうリスクが否めず危険です。
  • 成人後の失踪(家出)に関しては、事件性が見られない限り、仮に捜索願が提出された場合も、警察は積極的に動くことは基本なく、仮に発見されたとしても連れ戻されることもありません。ただし失踪者が未成年の場合は身柄を保護され、居所を親に通知されてしまいます。
  • 失踪(家出)や転居による親との絶縁は、親から逃れられたことで目的達成と安堵するのではなく、新たな自分を生きる再スタート地点に立つための仕切り直し作業と捉えて臨みましょう。
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注意事項

  • 転居先で住民票と戸籍の附帯に閲覧制限をかけた場合も、戸籍に関しては親で在れば閲覧が可能です。分籍時に設定する本籍地を転居先住居と無関係な場所にすべき理由がこれで、住所が連想できない本籍地を選択することが、捜索に動き出した親から逃げ切る上で、非常に有効な対策と言えます。
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