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2002年のデータでは不妊治療の患者数は466,900人と推計されています。[1] これは少し前のデータですが、社会的に晩婚化が進み、30代になってから妊娠を望む夫婦が増えてきていることなどから、その数は増えていると考えられます。不妊症は身近な問題といえますが、正しく理解されていないことも多く、とくに男性は誤った先入観で「子どもができないのは妻のせい」と考える人も少なくないようです。そこで、ここでは、具体的な治療法をはじめ、気持ちの持ち方や社会的なデータなど、男性の不妊症の治療に関する情報を紹介します。

パート 1
パート 1 の 3:

男性の不妊症を理解する

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    不妊症を見直す 男性の不妊症の治療方法を知る前に、まずは不妊症とはどのようなものか、あらためて見直しましょう。不妊症とは、生殖年齢の男女が妊娠を希望して1年以上に渡って避妊をしないで性交を行っているにもかかわらず、子どもを授からない状況のことです。[2] その原因は女性側にあることもあれば、男性側にあることもあります。[3]
    • 女性側の原因としては卵巣機能不全、子宮内膜症などがあります。
    • 男性側の原因としては精子形成障害、性機能障害などがあります。
    • 女性と男性のどちらか一方ではなく、どちらにも原因があることもあります。また、原因が不明のこともあります。
    • 不妊症の原因を男女別で見ると、女性だけに原因があるのは約41%とされています。一方、男性だけに原因があるのは約24%で、そこに男女ともに原因があるとされる約24%を加えると、男性に問題があるのは、およそ半数の約48%となります。[4]
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    不妊症の現状を理解する 日本の夫婦の約3組に1組は、「自分たちは不妊症ではないか」と心配したことがあり、およそ6組に1組は実際に不妊症の検査や治療を受けたことがあるとされています。[5]
    • 不妊治療による出生児数は2006年の約2万人から2014年には 4.7万人へと増加しています。[6]
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    男性の不妊症を理解する 不妊の原因が男性にある場合を「男性不妊」といいます。男性不妊の原因は、大きくは精子形成障害、精路通過障害、副性器機能異常、性機能障害にわけられます。[7]
    • 精子形成障害とは、精子が生産されにくい状態で、精巣の機能異常といえます。特発性で、原因不明の場合が多いとされています。
    • 精路通過障害とは、精子が体外に出るまでに障害があることを指します。結果として、精液中に精子が含まれない状態となります。
    • 副性器機能異常とは、前立腺などの臓器の機能不全のことであり、炎症によるものが代表的です。結果として、精子の状態が悪化してしまい、それが男性不妊の原因となります。
    • 性機能障害とは、勃起障害によって性行為をできないなど、精液には問題がなく、性行為が原因である状態などを指します。
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パート 2
パート 2 の 3:

不妊症を受け入れる

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    不妊症の検査を受ける 子どもが欲しいのにできない場合、その解決策の第一歩は不妊の検査を受けることです。不妊の原因の半数は男性であるため、しっかりと男性も検査を受けるのがポイントです。検査を受けられる施設は「不妊検査 ○○市(○○は住んでいる市町村)」で検索すると見つけることができます。
    • 男性の検査は精液検査が一般的です。精液検査は2~7日の禁欲期間(射精しない期間)の後にマスターベーションで全量を採取します。病院で取るのが望ましいものの、20~30℃程度に保持することができれば、自宅で採取して2時間以内に検査すれば病院で採取した場合と同様の結果が得られることが多いとされています。[8]
    • 精液検査は健康保険の対象で、一般的な負担額は1,000~3,000円です。
    • 精液検査で異常が認められた場合は泌尿器科的検査に進むのが一般的な流れです。泌尿器科的検査では血液中の男性ホルモンの検査などを行います。
    • 精子の状態は体調によるところも大きく、検査の方法なども施設によって違うこともあることなどから、セカンドオピニオンを求めたほうがよいという考えもあります。[9]
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    不妊症を受け入れる 「子どもを望んでいるのに自分に問題があって授かることができない」という事実は、ときに受け入れ難いものです。とはいえ、そこで立ち止まってしまっては、状況がよくなることはありません。かわいい赤ちゃんを授かることを信じて、次のステップである治療へと進みましょう。
    • 結婚前に精液の検査を受けた男性のうち、7~8%で精子数の減少もしくは運動性の低下が認められ、1~2%で無精子症が認められたというデータもあります。[10] 男性不妊は特別なケースではないことをあらためて確認しましょう。
    • 現在の不妊治療の成功率(生児を得ることのできる確率)はおよそ25%とされています。[11] 治療を受けることによって、4組の夫婦のうちの1組は子どもを授かることができるということです。
    • 国内の各地に不妊専門相談センターが設置されています。[12] 不妊専門相談センターではメンタル面の相談も受け付けてくれます。
    • 男性不妊の治療の一環としてメンタルセラピーを取り入れている施設もあります。[13]
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    夫婦で取り組む 不妊は、夫と嫁、どちらか一方の問題ではなく、夫婦の問題です。検査で男性だけに問題があると診断されても、女性も一緒に取り組むことが大切です。とくに精神面のサポートを意識しましょう。
    • 男性にとって自分に問題があることは精神的なダメージを受けるものです。何気ないひと言が男性の心を傷つけることもあるので、そのようなことがないように注意しましょう。もし自分に問題があると言われたら……と想像し、相手の気持ちを思いやることが大切です。
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パート 3
パート 3 の 3:

男性が不妊症の治療を受ける

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    男性不妊の治療を理解する 男性不妊の治療は、原因に応じて内科的治療(薬物療法)や外科的治療(手術)が行われます。[14] また子作りは夫婦で行うものですが、夫婦で行う不妊治療としては一般不妊治療と高度生殖医療があります。[15]
    • 治療の一環として、喫煙、アルコール過剰摂取などの男性不妊の原因になりうると考えられるものを可能な範囲で中止することもあります。
    • 一般不妊治療には「タイミング法」と「人工授精」があります。
    • 「タイミング法」は、妊娠しやすいとされる排卵日の2日前から排卵日までに性交のタイミングを合わせる方法です。
    • 「人工授精」は採取した精液中から動きのよい精子(運動良好精子)を取り出して濃縮し、妊娠しやすいタイミングで子宮内に直接注入する方法です。妊娠成立のプロセスは自然妊娠と同じです。
    • 「高度生殖医療」には「体外受精」と「顕微授精」があります。
    • 「体外受精」は、卵子と精子を同じ培養液のなかで培養して受精させ、得られた受精卵を子宮に戻す方法です。
    • 「顕微授精」は、動きがよく形の正常な1個の精子を卵子の中に細い針で注入する方法です。
    • 「人工授精」「体外受精」「顕微授精」は健康保険の対象外で、1回あたりの費用として「人工授精」は2〜3万円、「体外受精」「顕微授精」は30万〜60万円がかかります(施設などによって異なります)。
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    治療を受けられる施設を探す 男性不妊の治療を受けられる施設は「男性不妊 治療 ○○市(○○は自分が住んでいる市町村)で見つけることができます。検査を受けた施設で治療を受けてもよいですし、「自分には合わない」と思ったら、治療は別のところで受けるのも選択肢の一つです。
    • 知人に不妊治療を受けたことがある人がいれば、そのときの状況を聞きましょう。体験談は施設選びなどに役立ちます。
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    不妊症の治療を受ける 治療を受ける施設を決めたら、その施設の担当の専門家の指導や助言をもとに治療を進めていくことになります。わからないこと、疑問に思うことは専門家に尋ねて、しっかりと納得したうえで取り組みましょう。
    • 状況によっては外科的治療(手術)を行ったほうがよいケースもあります。男性不妊の外科的治療(手術)は健康保険の対象とそうでないものがあります。[16] また、ほとんどの場合、手術をしても、「必ず子どもを授かることができる」という保証はないのが現状です。担当の専門家やパートナーとしっかりと相談したうえで判断しましょう。
    • 性機能障害に対して内科的治療(薬物療法)を行うこともあります。また、性機能障害の治療を行っても無効な場合、あるいは希望しない場合や高齢の夫婦で妊娠を急がなければならない場合は「人工授精」などを行うこともあります。[17]
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ポイント

  • 少子高齢化が社会問題になっていることもあり、行政は不妊に関するさまざまなサポートを実施しています。例えば国は不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成しています。[18]
  • 早期不妊検査について検査費用の助成をしている地方自治体もあります。地方自治体が実施している不妊に対してのサポートの情報は地方自治体の公式サイトに掲載されています。
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注意事項

  • 不妊は特別な問題ではありません。誰かに責任があるかのような偏見は持たないようにしましょう。
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このHow.com.vn記事について

How.com.vnは「ウィキ」サイトの一つであり、記事の多くは複数の著者によって共著されています。 この記事は、著者の皆さんがボランティアで執筆・推敲を行い、時間をかけて編集されました。
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