犬の疥癬を見分ける方法

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疥癬は炎症性皮膚疾患の一種で、犬に付いた寄生ダニによって引き起こされます。疥癬にはヒゼンダニ症と毛包虫症の2種類あり、それぞれ原因と症状が異なります。それぞれのサインを識別して違いを見極めることが重要です。疥癬は命に係わるケースはほとんどなく、この迷惑な病気は長い目で見ると、早期に発見するほど治療が簡単に済みます。

パート 1
パート 1 の 4:

疥癬の症状を知る

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 激しい痒みに注意する 
    ヒゼンダニ症は通常激しい痒みを引き起こします。犬は休みなく皮膚を掻いたり噛んだりして痒みを和らげようとするでしょう。過度に引っ掻いたり噛みついた皮膚はすぐに感染症を引き起こします。痒みだけとっても非常に深刻で、食べたり飲んだりまた休んだりといった必要な行動ができなくなるほどになります。
    • 細菌や酵母菌による二次感染を起こした重度のヒゼンダニ症は、全てのケースではありませんが、犬の炎症を起こした皮膚の表面に白い硬化が見られます。[1] また、重度の二次感染にかかった犬は、多くの場合体重減少、発熱、リンパ節の腫大の症状が現れます。
    専門家からの回答
    Q

    ウィキハウ読者からの質問 「疥癬ダニはどのような外観をしていますか?」

    How.com.vn 日本語: Pippa Elliott, MRCVS

    Pippa Elliott, MRCVS

    獣医、Royal College of Veterinary Surgeons(王立獣医師会)
    Royal College of Veterinary Surgeons(王立獣医師会)のメンバーでもあるピッパ・エリオット獣医師は、30年以上にわたり、かかりつけ獣医師、そして獣医外科医として獣医療の実践に努めてきました。1987年にグラスゴー大学にて獣医科学と獣医外科学の学位を取得し、生まれ故郷の町にある動物診療所に20年以上勤務しています。
    How.com.vn 日本語: Pippa Elliott, MRCVS
    専門家からのアドバイス
    専門家 Pippa Elliott, MRCVSの回答:

    獣医、ピッパ・エリオットからのアドバイス: 「ヒゼンダニとニキビダニ(毛包虫症を引き起こす)は両方ともとても小さく、裸眼で見ることはできません。犬に何らかの虫を見つけた場合、 おそらくこのどちらのダニでもないでしょう。」

  2. How.com.vn 日本語: Step 2 抜け毛をチェックする 
    それほど重症ではない局部性の毛包虫症のケースでは、1、2箇所犬の毛が薄くなっていたり脱毛していたりします。通常この小さな円形脱毛に感染症や炎症は見られず、激しい痒みも伴いません。 [2]
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 円形脱毛や抜け毛の広がりに注意する 
    局部的な毛包虫症が自然と回復しない場合、犬の体にどんどん広がり、全身性の疾患になる可能性があります。こうなると毛が薄くなったり脱毛した箇所が体の至る所に見られます。円形脱毛は直径2.5センチほどのサイズになり、中の皮膚は赤くうろこ状もしくは硬化していることがあります。
    • この皮膚の炎症により、犬がさらに皮膚を掻くようになり、さらに深刻な感染症に繋がります。この二次感染にかかるとヒゼンダニ症と同様の発熱、体重減少、リンパ節の腫れ等の症状がみられます。 [3]
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 犬の足に腫れや炎症がないか調べる 
    毛包虫症の中には毛包虫足皮膚炎を起こすケースがあります。これは疥癬を引き起こすダニが、犬の足の取り除くのが困難な場所にに深く噛みつくことで発生し、腫れや足の炎症の中に存在することがほとんどです。通常、爪床の周りに起こると最悪のケースになり、二次感染を伴うことが多いでしょう。[4]
  5. How.com.vn 日本語: Step 5 飼い主とその家族の体に赤いブツブツがないかチェックする 
    犬の疥癬を検知する一つの方法として、飼い主の体のダニの刺咬傷を探す方法があります。疥癬を引き起こすダニが人間に寄生すると、蚊に刺された痕のような赤い腫れものができます。[5]症状が重症になるケースはほとんどありませんが、体を掻きむしる犬と接触した後にこういった症状が見られたら、ヒゼンダニ症の可能性が濃厚です。
    • 毛包虫症を引き起こすニキビダニ類が人間に寄生することはありません。
  6. How.com.vn 日本語: Step 6 疥癬の症状が他の深刻な病気の兆候である可能性を知る 
    痒みや斑点状の脱毛は、アレルギー、副腎皮質機能亢進症(クッシング病)、糖尿病、甲状腺機能亢進症、寄生虫病等の疾患に潜む症状でもあります。そのため、適切な診断と治療のために症状について獣医に相談することが大切です。[6]
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パート 2
パート 2 の 4:

ヒゼンダニ症のテストをする

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 犬の耳を掴んで持つ 
    犬がいつもよりも痒がっていて、疥癬かどうか確信が持てないときは、このシンプルなテストが効果的です。まずは、犬の片耳を手で優しく取り、親指と人差し指で耳の垂れた部分を持ちます。
    • 犬の疥癬ダニに噛まれるのが心配な場合は、使い捨ての手袋を着用してテストしましょう。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 指で耳を挟んで優しく擦る 
    親指と人差し指で耳を挟んで両側から擦ります。きつくつまんだりせずに、静かにゆっくりと動かしましょう。こうしながら、擦っている側の後ろ脚を注意して見ます。
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 掻く素振りをチェックする 
    耳に脚を伸ばして掻こうとする素振りをするか見てみます。もし、そういった素振りを見せるようなら疥癬にかかっている可能性があるため、手をきれいに洗って犬を出来るだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
    • 疥癬ダニは耳の中や周りにいることがほとんどなので、このテスト(耳介ひっかき反射試験)が機能するというわけです。犬の耳を擦るとダニにより不快な痒みを感じ、反射的に掻こうとします。
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 耳介ひっかき反射試験で疥癬を確定診断できないことを認識する 
    試験で犬に痒みがあり敏感だということは確認できますが、原因を特定することはできません。ヒゼンダニ症を確定診断するのは非常に難しいのです。耳介ひっかき反射試験で疥癬を推定診断し、できるだけ早期に治療をスタートさせることができます。犬が治療にすぐに反応した場合は、疥癬と確定的に診断することができます。
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パート 3
パート 3 の 4:

疥癬の種類を理解する

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 ヒゼンダニ症と毛包虫症を識別する 
    犬が感染する疥癬にはヒゼンダニ症と毛包虫症の2種類あります。両方とも重症になることもあり、症状(パート1参照)と原因が異なります。ヒゼンダニ症は、特定のダニが寄生した動物からダニが移り感染します。毛包虫症は犬の皮膚に普通は存在しない種類のダニが原因で発生します。ほとんどの犬はこういったダニと上手くやっていきますが、ダニが急速に増殖して脱毛や炎症を引き起こすことがあります。[7]
    • ヒゼンダニ症と全身性の毛包虫症は痒みを伴いますが、2つの大きな違いとして、ヒゼンダニはすぐに激しい痒みを起こしますが、毛包虫は斑点状に炎症を起こし、それが広がって痒みを起こします。[8]
    • ヒゼンダニ症自体で犬が死に至ることはありませんが、重度の感染症や食べたり眠らなくなると、状態は急激に悪化します。このような場合は直ちに動物病院での治療が必要です。ヒゼンダニ症がひどくなると、明らかに不健康に見えるためすぐに分かるでしょう。
    • ヒゼンダニ症は疥癬と呼ばれることもあります。[9]
    • 毛包虫症はニキビダニ症とも呼ばれています。[10]
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 局部性と全身性の毛包虫症の違いを理解する 
    局部性の毛包虫症の特徴は、1、2箇所の脱毛が見られることです。放っておくと広がり、円形脱毛が無数にできて炎症や感染症を引き起こし、痒みや痂皮形成に繋がります。
    • 局部性の毛包虫症は子犬によく見られ、90%のケースが治療をせずに1、2ヶ月で消えます。[11]ただし、まれに病気が重篤な全身性の毛包虫症にまで悪化するケースもあります。
    • 犬の毛包虫症自体は遺伝しませんが、全身性の毛包虫症にまで悪化する犬は病気に対して弱く、その脆弱性は遺伝すると考えられています。[12]
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 毛包虫足皮膚炎の兆候を早期に発見する 
    3つめのタイプの毛包虫症として足皮膚炎が挙げられます。典型的な毛包虫症の症状を抱える犬がいる一方で、足の感染のみの犬もいます。足皮膚炎の治療は複雑かつ長期にわたり、抗生物質の投与とアミトラズ(商品名MITABAN®)という薬を足に頻繁に滴下して治療するのが一般的です。[13]治療が難しいため、早期発見がカギとなります。
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パート 4
パート 4 の 4:

初期治療を行い悪化を食い止める

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 動物病院を受診する 
    犬が疥癬に感染している疑いがあるときは、動物病院に連れて行きましょう。訓練を受け経験のある獣医師だけが適切な診断テストを行い、疥癬のタイプと重度を診断することができます。診断に従い、疥癬を治療する適切な薬が処方されます。疥癬は症状が悪化する前に治療した方が簡単なため、早く回復させるには、できるだけ早く獣医師に診てもらうことが重要です。
    • ヒゼンダニ症は毛包虫症に比べて緊急に動物病院に連れていく必要があります。ヒゼンダニ症の激しい痒みで犬がひどい状態になるため(さらに重要なことには、すぐに健康問題へと発展するため)、早期診断と早期治療が非常に重要です。
    • この一般ルールの例外として、非常に狭い範囲の局部性毛包虫症があります。通常、自然に治癒し動物病院での診療を必要としないこともありますが、念のために獣医師に診てもらうと安心でしょう。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 犬の寝床、首輪等を洗うか交換する 
    疥癬に感染したら(特に接触感染性のヒゼンダニ症の場合は特に)、最近犬の毛や皮膚に触れた寝具、首輪、綱、ハーネス、犬小屋、ブラシ、入浴グッズ等、全ての物を洗うか交換しましょう。他にもペットを飼っていて疥癬に感染していない場合は特に洗浄を早急に行いましょう。
    • 布製品は、ブリーチやホウ砂を入れて洗濯機で洗い、乾燥は最も高い温度設定にしましょう。固いものや表面が固いものは、病院で使用するタイプの殺菌剤を使用しましょう。疥癬が治まるまで毎日必要に応じて繰り返しましょう。
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 毛包虫症の犬の交配はしない 
    上記で説明したように、重度の毛包虫症を患う犬は、親から遺伝した免疫システムの弱さを抱えていることがあります。そのため、治療が困難な、または長期間ひどい毛包虫症を患っていたりする犬の飼い主は、交配させないようにするのが通常です。毛包虫症が局所性で小さく、特に子犬の時に感染し自然に治癒した場合は、交配しても良いケースもあります。
    • しかし、注目すべき点は、毛包虫症に感染した犬は、状態がどうであれ交配を推奨しない獣医師もいるという事です。I[14]犬を繁殖させても良いか定かでないときは、かかりつけの獣医師に相談すると良いでしょう。かかりつけの獣医師なら、将来の子犬の健康と飼い主のニーズを考慮して、どのような行動を取るべきかをアドバイスしてくれるはずです。
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 ヒゼンダニ症の犬に他の動物を近づけない 
    ヒゼンダニ症は伝染性が高いため、他の動物やペットがこの困った病気に感染しないようにするには、隔離することが必須になります。飼い犬がヒゼンダニ症に感染したら、他の動物から直ちに隔離しましょう。[15]感染した犬の近くで寝かせたり、食事を与えたり遊ばせてはいけません。また、近所の犬がヒゼンダニ症に感染している恐れがあるときは、ペットを近づけてはいけません。疥癬が完全に消えたら、普通に他の動物と一緒にして構いません。
    • 毛包虫症は他の動物や人間に伝染性はないと考えられており、非常に稀に他の犬に感染することがあります。しかし、症状が重くても隔離策を取らないのが通常です。[16]
  5. How.com.vn 日本語: Step 5 ヒゼンダニ症に感染する危険因子を理解する 
    ヒゼンダニ症は伝染性が高く、感染した犬から他の動物へと伝染します。感染した犬は何らかの形で病気の兆候を現します。ヒゼンダニ症は母犬から子犬へと感染したり、またパピーミル(劣悪な環境の犬のブリーディング施設)やペットホテル、保護施設等の、犬の数が多すぎてケアが行き届いていない環境でよく起こります。[17]しかし、感染した動物と接触しなくても犬にダニが寄生することもあります。ダニは気温10~15℃では21日間、20~15℃では2~6日間ホストなしで生きることができます。
    • 毛布やタオル等、感染した動物が最近使用したばかりの物からダニが寄生することもあります。そのため、ハサミやタオル、ケージの衛生管理がされていないペット美容室では病気が蔓延する可能性があります。[18]
    • コヨーテやキツネ等の野生動物も疥癬に感染します。そのため、野生動物の生息域で遊ばせると犬が感染する可能性があります。
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注意事項

  • いかなる種類の疥癬であっても、放っておくと状態が深刻になります。飼い犬に疥癬の疑いがある場合、出来るだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
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このHow.com.vn記事について

How.com.vn 日本語: Ray Spragley, DVM
共著者 ::
獣医師
この記事の共著者 : Ray Spragley, DVM. レイ・スプラグレイ獣医師は、ニューヨークの動物病院「Zen Dog Veterinary Care PLLC」を経営する開業医です。複数の研究所や個人病院で経験を重ね、専門は頭蓋十字靭帯裂傷および椎間円板疾病(IVDD)の手術外治療、骨関節炎の疼痛管理。オールバニー大学で生物学学位を、ロス獣医学大学にて獣医学博士号を取得。ケーナイン・リハブ・インスティテュートにて認定犬リハビリテーションセラピスト (CCRT) 、チー大学にて認定動物鍼師 (CVA)資格を取得。 この記事は2,361回アクセスされました。
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