シングルファザーとして生きていく方法

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近年、父母どちらかだけで子供を養育しているひとり親世帯、いわゆるシングル世帯が増え続けています。その数は2016年時点で140万世帯を超え、そのうち13%にあたる約19万世帯がシングルファザー世帯だという報告がされています。育児に家事に仕事、ひとりで全部をこなすのは並大抵のことではないでしょう。とりわけ育児や家事の大変さに直面するのは、慣れないシングルファザーの方が多いのではないでしょうか?もちろん、悩みは育児や家事だけではありません。ここではそんなシングルファザーにスポットを当て、その実情に迫ってみましょう。

方法 1
方法 1 の 3:

現状を知ろう

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    シングル世帯数を知ろう シングル世帯数は2016年までの23年強の間に約1.5倍、実数にして47万世帯以上のプラスという増加傾向にあります。少し意外なことに、このうちシングルファザー世帯の割合はさほど増減していませんが、決して減少傾向にあるとは言えないようです。[1] 
    • 近年の傾向として、シングル世帯になった理由のうち「死別」の割合が大きく減少し、約8割は「離婚」となっています。[2] 離婚の場合にはどちらの親も親権者になり得ますから、離婚率が上昇した影響を受けて、シングルマザー・シングルファザー世帯数の割合は同じように推移しているという見方が有力です。
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    世帯年収を知ろう 多くの場合、シングルファザーは育児と家事をこなしつつ働かなければなりません。シングルマザーに比べて正規社員として働いている・あるいは働きやすい事が多い傾向がありますので、収入面の不安は比較的小さいと言えるかもしれません。しかし、仕事だけに専念することが難しい状況になった今、少しも安心はできないというのが心情ではないでしょうか。
    • 就労年収は約360万円で、これは一般世帯の男性に比べ70%程の金額です。このうち非正規雇用は175万円であり、就労による収入だけで生活と養育を賄うのは非常に厳しいと言わざるを得ません。公的な支援を上手に活用することが重要でしょう。
    • 育児・家事のために残業などによる手当てが減ることも、収入減の理由のひとつにあげられるかもしれません。
    • 忙しいシングルファザーにとって、副業をするための時間を取る事も容易ではないでしょう。副業によって収入を得ているのは全体の6%程に留まります。
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    転職事情を知ろう 厚生労働省の調査では、シングルファザーになったことを契機に4人に1人の人が転職をしているという結果が出ました。そのほとんどが、幼稚園の送り迎えなど育児のために必要な時間が勤務時間と折り合いがつかないことが原因のようですから、これも早い段階で考慮すべき問題と言えるかもしれません。
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方法 2
方法 2 の 3:

状況と課題を知ろう

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    親権について知ろう 親権とは、平たく言うと「未成年の子が成人するまで守り育てる権利と義務」を指します。父母のどちらが親権を取るかについては、当事者間で合意ができない場合は訴訟となりますが、現在の我が国では親権は母性優先と判断されることが通例となっています。そのため、離婚時に父親が親権を得る確率は2割未満に過ぎません。[3]
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    保育施設について知ろう ひとり親にとって最も大きな心配事は、自分が仕事をしている間の保育に関することではないでしょうか。他の家族と同居していれば子供の面倒を見てもらえる場合もあるかもしれませんが、一般的には保育所や託児所を利用することが多いでしょう。保育所や託児所に関する話題はニュースなどでもよく取り上げられていますね。[4]
    • 仕事の時間が遅かったり早かったりする場合には、朝晩の保育時間延長を行っている保育所を利用する方法もあります。
    • 子供が2人以上いる場合、同じ保育園に入園できなかった場合には勤務時間に支障が出るかもしれません。1人目の子供が入園する際、特に留意しておくべきでしょう。
    • 子供が小学校に入学した際は、ほとんどの自治体で学童保育を受けることができます。ただし、施設の場所や保育時間などは事前に十分確認しておいたほうがよいでしょう。
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    勤務条件について知ろう 近年、男女平等の観点から、男性の育児参加が社会的にも推進されてきています。正確に言うと育児休業などは元々男女関係なく取得できる権利なのですが、2017年の育児・介護休業法改正によって「雇用者側もこれらを推進すべき」という内容に見直されています。[5]
    • 育児・介護休業法では、育児や看護をしている労働者に対する労働条件の制約事項が細かく定められています。それぞれ、対象となる子供の年齢などの条件が異なりますので注意しましょう。
    • 小学校未就学の子供を養育している労働者には、月間24時間を超える残業や午後10時を超える深夜残業を課すことが禁じられています。
    • 3歳に満たない子を養育している場合は、1日の勤務時間が原則として6時間と定められています。
    • その他、雇用者側が育児休業等を理由として労働者に不利益な取り扱いをすることを禁止することはもちろん、いわゆるパタハラのような嫌がらせ等が起こらないよう措置を講じることも義務付けられています。
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    家事について知ろう ひとことで家事と言っても、炊事に洗濯に掃除、それぞれの準備から整理整頓まで、やることが山のようにあります。思わず悲鳴を上げたくなりますが、仕事から帰ってきて一人ですべてを完璧にこなせるシングルファザーは多くないでしょう。家事には終わりがないと言われますが、どうしてもやらなければならないことを見極め、できることをやっていくしかなさそうです。
    • 時短家電を活用しましょう。例えば食器洗い乾燥機です。食器洗いが苦手な男性には強力な助っ人となるでしょう。ロボット掃除機も魅力的な製品ですね。
    • どうしても手が回らないと感じたら、無理をせず家事代行サービスを利用するのもよいでしょう。週に1日だけの契約をして、普段行き届かない掃除や洗濯を週末にすっきり済ませてもらえば大助かりですね。
    • 子供に対しては「母親のようにちゃんとしてやりたい」と意識しすぎるよりも、自然体で精いっぱいのお世話をしてあげることが大切です。
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方法 3
方法 3 の 3:

公的支援を知ろう

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    経済的支援制度を知ろう 前述のように、シングルファザーの年収は一般男性よりも低い傾向にあります。生活を安定させ経済的自立を図っていくためには、公的支援が欠かせないと言っても過言ではありません。
    • 子供が18歳になるまでの間は児童扶養手当を受給することができます。所得条件があり、本人だけでなく同一生計者の所得も条件に含まれるので注意が必要です。
    • 民間の賃貸集合住宅に住んでいる等の条件を満たせば、住宅費の助成を受けることができます。毎月の固定費を抑えられる非常にありがたい制度と言えます。
    • 年間の合計所得金額が500万円以下のとき、所得税の寡夫控除を受けることができます。以前は寡婦にのみ適用されていましたが、2020年の税法改正により「ひとり親控除」に移行し、男女差がなくなりました。[6]
    • 自治体によっては母子家庭は受けられるが父子家庭は受けられない支援がある場合があります。反対に、「父子家庭では受けられない」と思い込んでいる制度があるかもしれません。住所地の市町村役場で確認しておきましょう。
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    生活支援制度を知ろう 経済的支援の一種ともいえますが、色々な生活シーンでシングルファザーをサポートしてくれる制度があります。
    • 所得条件を満たせば、親子とも「ひとり親家庭等医療費助成制度」を利用でき、病院にかかった際の医療費を低減することができます。
    • 自治体によっては市バスの乗車料金優待や水道料金の割引などを行っている場合があります。
    • 所親の病気や冠婚葬祭への出生などのやむを得ない理由がある際に、一時的に家事ヘルパーを派遣したり、子供を預かってくれる事業を展開している自治体もあります。市町村役場のホームページや窓口で確認してみましょう。
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    就労支援制度を知ろう 各都道府県および政令市・中核市では、ひとり親が安定した職業に就くための就業支援サービスを提供しています。初めて就職しようとするシングルマザーの利用が中心でしたが、男女関係なく利用することができます。
    • 就業支援の窓口では、就職相談や就職セミナーの実施、養育費等の相談も受け付けています。ひとり親に特化したハローワーク(公共職業安定所)をイメージすればわかりやすいかもしれません。
    • 看護師や保育士、作業療法士などの資格取得講座を受講する際、高等職業訓練促進給付金という支援制度が用意されています。非課税世帯であれば月額10万円を最長2年間受給できます。
    • 最終学歴が中学卒の人向けに、高等学校卒業程度認定試験の合格を支援する制度もあります。この制度では受講費用の最大6割が支給されます。
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注意事項

  • シングルファザーの場合、母親の経済力などの問題で養育費を受け取っていないか、取り決めをしていない場合が少なくありません。しかし親には子供に対する「生活保持義務」がありますので、子供の生活水準が自分よりも低くならないよう助けなければなりません。そのことを踏まえた上で、しっかり話し合いをしておきましょう。
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