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物理学において、張力はロープやひも、ケーブルなどの物によって、物体にかかる力です。ロープやひも、ケーブルなどに引っ張られる、引っかけられる、支えられる、吊られるなどしている物は何でも張力を受けています。[1] 他の全ての力と同様に、張力は物体を加速させたり変形させたりすることができます。張力の計算ができることは物理を学ぶ生徒だけでなく、技術者や建築家にとっても安全な建物を建てるために大切な技術であり、歪んだり壊れたりする前に、ロープやケーブルの張力が物体の重量による力に耐えられるかがわからなければなりません。ステップ1に進み、いくつかの物理の系における張力の計算方法を学びましょう。

方法 1
方法 1 の 2:

1本のひもにかかる張力を求める

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 ひもの両端の力を明らかにしましょう。
    与えられた糸やロープなど、ひもにかかる張力は両端からロープを引っ張ることにより生じる力です。力 = 質量 × 加速度であったことを思い出しましょう。ロープがピンと張っていると仮定すると、ロープが支持している物体の加速度や質量に変化があれば、ロープの張力にも変化が生じます。重力により常に加速度がかかっていることを忘れないようにしましょう。系が止まっていたとしても、系を構成している物体には常にこの力がかかっています。「g」をロープが支持している物体の重力加速度、「a」をロープが支持している物体のそれ以外の要素による加速度とすると、与えられたロープにかかる張力はT = (m × g) + (m × a)と考えることができます。[2]
    • ほとんどの物理の問題を解く際には、ひもは「理想的なひも」であると仮定します。これはつまり、細く、質量はなく、伸びたり壊れたりしないロープやケーブルです。
    • 例として、重りが1本のロープで材木に吊られている系を考えてみましょう(イラスト参照)。重りもロープも動いておらず、系全体が静止しています。これにより、重りは平衡状態にあるため、張力は重りにかかる重力と同じはずであるとわかります。つまり、張力(Ft) = 重力(Fg) = m × gです。
      • 10 kgの重りと仮定すると、張力は、10 kg × 9.8 m/s2 = 98 ニュートンです。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 力がわかったら加速度についても考えましょう。
    重力だけがロープの張力に影響する力ではありません。ロープが触れている物体の加速度に関わる全ての力の影響を受けます。例えば、もし吊り下げられている物体がロープやケーブルに力で加速度を与えられていたら、加速力(質量 × 加速度)が物体の重力による張力に加わります。
    • 先ほどの例で、10 kgの重りが木材に固定されているのではなくロープに吊るされ、ロープが上に向かって1 m/s2で引っ張られているとしましょう。この場合、重力だけでなく加速力も考慮しなければならず、以下のように解きます。
      • Ft = Fg + m × a
      • Ft = 98 + 10 kg × 1 m/s2
      • Ft = 108 ニュートン
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 回転加速度を考慮しましょう。
    ロープによって(振り子のように)中心点の周りを回転する物体は、向心力(求心力)によってロープに力をかけます。向心力は物体が線上ではなく円弧上を動き続けるように、内側に向かって引っ張る追加の張力です。物体が速く動くほど、向心力は大きくなります。「m」を質量、「v」を速度、「r」を物体が運動する孤を含む円の半径とすると、向心力(Fc)はm × v2/r と等しくなります。[3]
    • ロープ上の物体が動き、速さが変わると、向心力の方向と大きさも変わるため、ロープにかかる合計の張力も変わります。この張力は、常に中心に向かってロープと平行に引っ張ります。一方で重力は常に下方に向かって物体に働く力であったことも思い出しましょう。ですから、もし物体が鉛直平面上で回転したり揺れたりしている場合には、張力の合計は円弧の最下点(振り子の場合、これを均衡点と呼びます)で物体が最も速く動いている時に最も大きくなり、円弧の最上点で最も遅く動いている時に最も小さくなります。[4]
    • 先ほどの例題において、物体が上方に加速しておらず、代わりに振り子のように揺れているとしましょう。ロープの長さが1.5 メートルで、重りが最下点を通る時に2 m/sで動いているとしましょう。円弧の最下点で最も大きい時の張力を計算したい場合、まずこの点での重力による張力は動きがなかった時に重りにかかる力、98 ニュートンと同じであることを理解しましょう。追加でかかる向心力を求めるには、以下のように解きましょう。
      • Fc = m × v2/r
      • Fc = 10 × 22/1.5
      • Fc =10 × 2.67 = 26.7 ニュートン
      • ですので、ここでの合計の張力は98 + 26.7 = 124.7 ニュートンとなります。
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 重力による張力は物体の揺れる軌道上で、場所により変化することを理解しましょう。
    既に触れた通り、物体が揺れるにつれ向心力の方向も大きさも変化します。 しかし、重力はいつも一定ですが、重力による張力も変化します。揺れている物体が円弧の最下点(均衡点)にない場合、重力は真下に向かって引っ張りますが、張力は斜めに引っ張り上げます。このため、張力は重力全てではなく、一部のみに逆って引っ張ることになります。
    • 重力を2つのベクトルに分けるとこの考えがわかりやすくなります。鉛直平面上で揺れる物体の軌道上のある点において、ロープが均衡点と回転の中心を結ぶ線と、角度「θ」をなすとします。振り子が揺れるにつれ、重力(m × g)は2つのベクトルに分解でき、mgsin(θ)が円弧の接線方向で均衡点に向かって働き、mgcos(θ)が張力と平行に逆向きに働きます。張力はmgcos(θ)に反する唯一の力、これに逆らって引っ張る力であり、(均衡点では張力と重力は等しくなりますが、均衡点以外では)重力全体に逆らうわけではありません。
    • 振り子が鉛直方向と15度をなし、1.5 m/sで動いているとしましょう。以下のように張力を求めることができます。
      • 重力による張力(Tg) = 98cos(15) = 98(0.96) = 94.08 ニュートン
      • 向心力(Fc) = 10 × 1.52/1.5 = 10 × 1.5 = 15 ニュートン
      • 合計の張力= Tg + Fc = 94.08 + 15 = 109.08 ニュートン
  5. How.com.vn 日本語: Step 5 摩擦を考慮しましょう。
    ロープで引っ張られ、別の物体(や液体)に対する摩擦により引きずられる力を受ける物体は、この力をロープの張力に変換します。2つの物体間で生じる摩擦による力は、他の状況の場合と同様に以下の等式で計算できます。muを2物体間の摩擦係数、Nを2つの物体間にかかる垂直抗力、つまりお互いを押し合う力として、摩擦(通常Frと書きます) = (mu)Nと計算できます。静止摩擦、つまり止まっている物体を動かそうとした時に生じる摩擦は、動摩擦、つまり動いている物体を動かし続けようとした時に生じる摩擦とは異なることに気をつけましょう。
    • 10 kgの重りがもう揺れておらず、地面をロープで横に引きずられているとしましょう。地面の動摩擦係数は0.5であり、重りは一定の速度で動いていますが、1 m/s2で加速させたいとしましょう。この新しい問題では今までと2つの重要な違いがあります。1つは、ロープは重りを支えてはいないので重力による張力を計算する必要がないことです。もう1つは、重りを加速させるために生じる張力に加え、摩擦による張力を考えなければいけないことです。以下のように解くことができます。
      • 垂直抗力(N) = 10 kg × 9.8 (重力加速度) = 98 N
      • 動摩擦力(Fr) = 0.5 × 98 N = 49 ニュートン
      • 加速力(Fa) = 10 kg × 1 m/s2 = 10 ニュートン
      • 合計の張力= Fr + Fa = 49 + 10 = 59 ニュートン
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方法 2
方法 2 の 2:

複数のひもにかかる張力を計算する

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  1. How.com.vn 日本語: Step 1 滑車を使って、垂直方向で並列の積荷を持ち上げる場合を考えましょう。
    滑車は円盤が吊されてできている単純な機械で、ロープの張力の方向を変えることができます。単純な滑車の配置では、ロープやケーブルが吊された重りから滑車へと上に続き、滑車を通ってもう一つの重りへと下がって、滑車からひもが2本出ている形になっています。しかし、例えロープの両端が違う大きさで引っ張られていたとしても、それぞれのロープの張力は同じです。垂直な滑車から2つの重りが吊り下げられている系では、 "g"を重力加速力、"m1"を物体1の質量、"m2"を物体2の質量とすると、張力は2g(m1)(m2)/(m2+m1)となります。[5]
    • 通常、物理の問題では「理想の滑車」とし、質量がなく、摩擦もなく、壊れたり変形したり、支えている天井やロープなどから外れたりしない滑車であると仮定することに注意しましょう。
    • 2つの重りが平行なひもで垂直に吊されているとしましょう。重り1は10 kg、重り2は5 kgの質量があるとします。この場合、張力は以下のように求められます。
      • T = 2g(m1)(m2)/(m2+m1)
      • T = 2(9.8)(10)(5)/(5 + 10)
      • T = 19.6(50)/(15)
      • T = 980/15
      • T = 65.33 ニュートン
    • 片方の重りがもう一方よりも重く、他の条件は全て同じですので、この系では10 kgの重りが下方、5 kgの重りが上方に加速し始めることに注意しましょう。
  2. 2
    垂直方向で並列ではない滑車を使って、積荷を持ち上げる場合を考えましょう。滑車はよく、上下方向ではない向きに張力を向けるのに使われます。例えば、重りがロープの一方の端に垂直に吊され、もう一方の端は斜めの坂道に置かれた別の重りにつながっている場合、 この並列でない滑車の系は1つ目の重り、2つ目の重り、滑車で三角形の形をなします。この場合、ロープの張力は、重りによる重力と、ロープの斜めの部分に平行方向の分力の引っ張る力の、両方の影響を受けます。[6]
    • 垂直に吊された10 kgの重り(m1)が、滑車によって60度の坂道(坂道に摩擦はないとします)に置かれた5 kgの重り(m2)につながれている系を考えてみましょう。ロープの張力を求めるには、まず重りを加速させる力の等式を立てるのが最も簡単です。以下のように進めましょう。
      • 吊されている重りの方が重く、摩擦は無視できるため、この重りは下方に加速することがわかります。しかしロープの張力はこれを上方に引っ張り上げますので、重りは正味の力F = m1(g) - T、つまり10(9.8) - T = 98 - Tにより加速します。
      • 坂道の重りは坂道を上ることがわかっています。坂道には摩擦はありませんので、張力が坂道上で重りを引っ張り上げ、重り自身の重さだけが引っ張り下げます。坂道を引き下げる方向の分力はsin(θ)で与えられるので、この場合、重りは正味の力F = T - m2(g)sin(60) = T - 5(9.8)(.87) = T - 42.63で坂道を上る方向に加速されると言えます。[7]
      • 2つの重りの加速度は同じですので、(98 - T)/m1 = (T - 42.63) /m2を得ることができます。あとは簡単にこの等式が解けて、最終的にT = 60.96 ニュートンと求められます。
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 吊された物体を支持するのに複数のひもが使われている場合を考えましょう。
    最後に、ロープで「Y字型」に吊された物体を考えてみましょう。天井からぶら下がっている2本のロープが1つに合流し、そこから重りが3本目のロープで吊るされています。3本目のロープの張力は明らかです。単純で、重力による張力、m(g)です。残りの2本のロープの張力は異なり、系が静止しているとすれば、鉛直上方向の合計は重力と等しくなり、水平方向はどちら側にもゼロと等しくなるはずです。ロープの張力は吊された重りの質量と、それぞれのロープと天井の角度によって左右されます。[8]
    • このY字の系で、下の重りの質量を10 kgとし、上のロープが天井とそれぞれ30度、60度の角度をなしているとしましょう。上のロープのそれぞれの張力を求めるには、それぞれの張力の鉛直方向、水平方向の分力を考える必要があります。しかし、この例題では2本のロープはたまたま直交しているので、以下のように三角関数の定義に従って計算すると簡単です。
      • T1やT2とT = m(g)の比はそれぞれのロープと天井の間の角度のサイン(正弦)と等しくなります。T1の場合は、sin(30) = 0.5で、T2の場合は、sin(60) = 0.87です。
      • 下のロープの張力(T = mg) にそれぞれの角度のサインをかけて、T1とT2を求めます。
      • T1 = .5 × m(g) = .5 × 10(9.8) = 49 ニュートン
      • T2 = .87 × m(g) = .87 × 10(9.8) = 85.26 ニュートン
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このHow.com.vn記事について

How.com.vn 日本語: Bess Ruff, MA
共著者 ::
環境科学者
この記事の共著者 : Bess Ruff, MA. ベス・ラフはフロリダ州立大学の地理学専攻博士課程の学生です。2016年にカリフォルニア大学サンタバーバラ校の環境科学専門学部にて環境科学と資源管理の修士号を取得後、カリブ海の海洋空間計画プロジェクトに関する調査研究を行い、大学院生としてSustainable Fisheries Groupの研究サポートを行っています。 この記事は29,717回アクセスされました。
カテゴリ: 物理学
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