長田拓也

日本の陸上競技選手

長田 拓也(ながた たくや、1994年6月14日 - )は、愛知県田原市出身の陸上競技選手。専門は短距離走で、100mの自己ベストは10秒14。2015年北京世界選手権男子4×100mリレーの日本代表。

長田 拓也Portal:陸上競技
選手情報
フルネームながた たくや
ラテン文字Takuya Nagata
国籍日本の旗 日本
競技陸上競技 (短距離走)
種目100m, 200m
所属富士通陸上競技部
大学法政大学
生年月日 (1994-06-14) 1994年6月14日(29歳)
出身地愛知県田原市[1]
身長182cm
体重70kg
成績
世界選手権4x100mR: 予選1組4着 (2015年)
国内大会決勝日本選手権
100m : 5位 (2015年, 2016年)
200m : 4位 (2015年)
4x100mR : 優勝 (2014年, 2015年, 2016年)
自己ベスト
100m10秒14 (2018年)
200m20秒57 (2015年)
獲得メダル
陸上競技
日本の旗 日本
ユニバーシアード
2015 光州4x100mR
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経歴 編集

血液型はB型。田原市立野田中学校、豊川高等学校法政大学(経済学部)卒業。富士通所属。

小学生時代まで 編集

小学生になる前は両親の趣味でもあるスキーを経験。小学校に入学してからはサッカー水泳を習い始めたが、サッカーは自分には合わないと感じて1年ほどでやめてしまった。陸上は1年時に体育の授業の徒競走で負けて悔しかったことがきっかけとなり[注 1]、家の近くで練習していた田原陸上クラブに入って始めた。しかし、4年時からは苦手な長距離の練習が入ってきたため練習も徐々にサボるようになり、気が向いた時に通う程度になっていった。その一方で3年時から始めた野球に夢中になっていた。小学生時代はこの他にも、4年時から6年時までバスケットボール、1年時から4年時まで習字、1年時から6年時までそろばんを習っていた[2][3]

中学・高校生時代 編集

中学校に進学後は野球部に入部[注 2]。小学生時代と変わらず、足が速いことから1番・センターを任されていた。中学生になっても野球中心の生活だったが、それでも中学3年時には全日本中学校選手権200mに出場した[4]。結果は予選敗退に終わったが、初めて全国の舞台を経験し、高校では本格的に陸上をすることを決意した[2]

高校は愛知県の強豪である豊川高等学校に進学。本格的な練習をするのは初めてだったため当初は戸惑ったが、徐々に練習にもついていけるようになると、2年時に日本ユース選手権男子100mで7位入賞を果たした。3年時にはインターハイの個人種目(男子100m)に初出場を果たすも、大会前のハムストリングス肉離れの影響で準決勝敗退に終わった[2]。高校時代の100mの自己ベストは10秒65[4]

大学生時代 編集

2013年 編集

大学は法政大学に進学。同期には大瀬戸一馬をはじめ、長田より速い選手がいたため、1年生の頃はあまり目立たなかったと同大学陸上部監督の苅部俊二は当時を振り返っている[2]

2014年 編集

8月下旬に行われた東海選手権男子100mにおいて10秒42(-0.7)の自己ベスト(当時)をマークするも、肉離れを起こして9月上旬の日本インカレには出場できず[4]。しかし、10-11月の日本選手権リレー男子4×100mではアンカーを務め、大会新記録(当時)となる38秒81の好タイムをマークして優勝に貢献した。

2015年 編集

5月に関東インカレ(1部)に出場すると、男子100m予選で10秒36(0.0)の自己ベストをマーク。準決勝は10秒39(-0.1)、決勝で再び10秒35(+1.0)の自己ベスト(当時)をマークするも、優勝したケンブリッジ飛鳥と0秒02差の2位で優勝を逃した。男子200mでは大会前の自己ベストが20秒99(-1.9)だったが、準決勝で20秒83(+1.6)、決勝で20秒69(+0.8)と自己ベスト(当時)を更新し、2位に0秒21差をつけて初優勝を果たした[4]

6月の日本学生個人選手権男子100mに出場し、予選で追い風参考記録ながら10秒27(+2.6)、準決勝で10秒32(+1.3)の自己ベストをマークすると、決勝では日本歴代11位タイ・日本学生歴代8位タイ(ともに当時)の記録となる10秒19(+0.4)をマーク[5]2015年北京世界選手権2016年リオデジャネイロオリンピックの参加標準記録(10秒16)に迫るタイムで優勝し、個人種目で初の全国タイトルを獲得した。初出場となった日本選手権は男子100mで5位、男子200mは20秒63(+0.8)の自己ベスト(当時)で4位に入り、両種目で入賞を果たした。

怪我のため辞退した橋元晃志に代わり、7月の光州ユニバーシアード日本代表に選出され[6]、男子200mと男子4×100mリレーに出場した。男子200mは6位に終わったが、男子4×100mリレーでは日本チーム(大瀬戸一馬、長田、諏訪達郎、谷口耕太郎)の2走を務め、金メダル獲得に貢献した。

8月4日に北京世界選手権男子4×100mリレー日本代表に追加で選出された[7]。当初は控えだったが、出場予定の高瀬慧が脚を痛めた影響で出番が回ってきて、29日の北京世界選手権男子4×100mリレー予選では日本チーム(大瀬戸一馬、藤光謙司、長田、谷口耕太郎)の3走を務めた。組3着までに入れば着順で決勝進出を決められたが、谷口とのバトンパスが上手くいかず、38秒60の組4着(全体10位)で決勝進出を逃した[8]

9月の日本インカレに初出場を果たすと、男子200m決勝を20秒57(-0.6)の自己ベストで制し、この種目で初の全国タイトルを獲得した。

2016年 編集

5月の関東インカレ(1部)に出場するも、20日の男子100m準決勝で脚を痛め[9][10]、決勝は10秒73(-1.4)の6位、アンカーを務めた男子4×100mリレー決勝は39秒66の3位に終わった。前回大会で優勝した男子200mは予選を棄権した。

6月には2連覇のかかった日本学生個人選手権の男子100mに出場し、11日の予選を10秒25(+1.0)で突破したが、同日の準決勝でけいれんを起こし途中棄権に終わった[11]日本選手権は前回大会に続いて男子100mと男子200mの両種目で決勝に進出し、25日の男子100m決勝は10秒45(-0.3)をマークして前回大会と同じ5位に入ったが、このレース中に脚を痛めたため26日の男子200m決勝は棄権した[12]

9月の日本インカレ男子100mでは10秒28(+1.1)で2位に入り2大会連続の表彰台に上ったが、アンカーを務めた男子4×100mリレーは39秒51の4位に終わり表彰台を逃した。前回大会で優勝した男子200mは先月に肉離れを再発した影響で予選を棄権した[13][14]

10月の国民体育大会に出場すると、今季日本ランク上位3人が不在という混戦模様の男子100m決勝を10秒35(+0.8)で制し[注 3]、シニアの全国大会個人種目で初のタイトルを獲得した。愛知チームのアンカーを務めた男子4×100mリレーも優勝に貢献し、大会2冠を達成した。

社会人時代 編集

2017年 編集

4月1日に富士通に入社し、同社陸上競技部に入部[15]

人物・エピソード 編集

  • 大学で同期の大瀬戸一馬の動きを参考にスタートなどを改善した結果、2015年にブレイク[1][4]。2015年の目標は「インカレで個人種目の入賞」だった[3]。中盤からの加速が持ち味[16]
  • 尊敬する選手は体格やフォームなどが似ている高瀬慧[17]
  • 趣味はゲームや漫画、ドライブなど。特技は習字[3][2]
  • 母は元サッカー選手。現役時代は日本女子サッカー史上初のクラブチームであるFCジンナンで活躍し、1977年にはAFC女子選手権(現・AFC女子アジアカップ)に出場した実績を持つ[2]

自己ベスト 編集

  • 記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
種目記録年月日場所備考
100m10秒14 (+1.5)2018年7月21日 平塚市
200m20秒57 (-0.6)2015年9月13日 大阪市

主な成績 編集

  • 備考欄の記録は当時のもの

国際大会 編集

大会場所種目結果記録備考
2015 (大3)ユニバーシアード (en 光州200m6位20秒90 (-2.5)
4x100mR優勝39秒08 (2走)
世界選手権 北京4x100mR予選38秒60 (3走)
2017 (大4)ニトロアスレチックス メルボルン150m2位15秒46 (NWI)
4x100mR2位42秒36 (3走)男女混合
60m3位6秒71 (+0.8)
4x100mR4位42秒54 (3走)男女混合
4x100mR4位42秒38 (3走)男女混合
2x300mR4位71秒45 (2走)男女混合

日本選手権 編集

大会場所種目結果記録備考
2014 (大2)日本選手権横浜市4x100mR優勝38秒81 (4走)大会記録
2015 (大3)日本選手権新潟市100m5位10秒42 (-0.9)
200m4位20秒63 (+0.8)自己ベスト
横浜市4x100mR優勝38秒79 (4走)大会記録
2016 (大4)日本選手権名古屋市100m5位10秒45 (-0.3)
200m決勝DNS予選20秒77 (-0.1)
横浜市4x100mR優勝38秒89 (4走)
2017 (社1)日本選手権大阪市100m予選DNS
200m予選21秒28 (-0.2)
2018 (社2)日本選手権山口市100m6位10秒30 (+0.6)

その他 編集

  • 主要大会を記載
大会場所種目結果記録備考
2009 (中3)全日本中学校選手権大分市200m予選22秒84 (0.0)
2010 (高1)インターハイ沖縄市4x100mR予選DNF (2走)
日本ユース選手権名古屋市4x100mR予選41秒76 (2走)
2011 (高2)インターハイ北上市4x100mR準決勝41秒28 (2走)
日本ユース選手権名古屋市100m7位10秒94 (-1.6)
4x100mR予選41秒66 (2走)
2012 (高2)日本ジュニア室内大阪市60m予選7秒03
2012 (高3)インターハイ新潟市100m準決勝10秒93 (+0.2)
4x100mR予選DNS (4走)
国民体育大会岐阜市100m準決勝10秒72 (+0.3)
4x100mR5位40秒18 (4走)
日本ジュニア選手権名古屋市100m予選10秒87 (-0.4)
2013 (大1)日本ジュニア選手権名古屋市100m準決勝10秒82 (+0.7)
200m予選22秒21 (-0.4)
2014 (大2)関東インカレ (1部)熊谷市
横浜市
100m準決勝10秒62 (+3.6)
200m準決勝21秒44 (+0.6)
4x100mR2位39秒31 (4走)
日本学生個人選手権平塚市200m準決勝21秒34 (+2.0)
トワイライト・ゲームス東京都4x100mR優勝39秒05 (4走)大会記録
2015 (大3)関東インカレ (1部)横浜市100m2位10秒35 (+1.0)
200m優勝20秒69 (+0.8)
4x100mR3位39秒37 (3走)
日本学生個人選手権平塚市100m優勝10秒19 (+0.4)大会記録
自己ベスト
オールスターナイト陸上平塚市100m優勝10秒23 (+1.0)大会記録
メドレーR2位1分50秒66 (1走)
トワイライト・ゲームス東京都100m2位10秒34 (+1.3)
4x100mR2位38秒96 (3走)
日本インカレ大阪市100m3位10秒33 (+0.5)
200m優勝20秒57 (-0.6)自己ベスト
4x100mR2位39秒23 (3走)
国民体育大会和歌山市100m2位10秒33 (-1.1)
4x100mR9位40秒55 (2走)
2016 (大4)織田記念広島市100m3位10秒43 (-2.5)
静岡国際袋井市200m4位20秒86 (+1.0)
ゴールデングランプリ川崎川崎市100m6位10秒39 (-0.4)
関東インカレ (1部)横浜市100m6位10秒73 (-1.4)
4x100mR3位39秒66 (4走)
日本学生個人選手権平塚市100m準決勝DNF予選10秒25 (+1.0)
オールスターナイト陸上平塚市100m6位10秒49 (+2.6)
日本インカレ熊谷市100m2位10秒28 (+1.1)
4x100mR4位39秒51 (4走)
国民体育大会北上市100m優勝10秒35 (+0.8)
4x100mR優勝40秒00 (4走)
田島直人記念山口市100m優勝10秒46 (-1.0)
2017 (社1)全日本実業団選手権大阪市100m6位10秒49 (+0.2)
200mB決勝DNS予選21秒31 (-0.3)
国民体育大会松山市100m6位10秒44 (0.0)
4x100mR準決勝39秒96 (4走)
2018 (社2)出雲陸上出雲市100m3位10秒41 (+0.7)
織田記念広島市100m5位10秒38 (+1.3)
静岡国際袋井市200m8位36秒69 (+0.3)
東日本実業団選手権熊谷市100m優勝10秒19 (+2.3)
200m予選DNF
布勢スプリント鳥取市100m6位10秒30 (-0.7)
オールスターナイト陸上平塚市100m優勝10秒14 (+1.5)自己ベスト
全日本実業団選手権大阪市100m7位10秒48 (0.0)
200m予選DNS
4x100mR3位40秒20 (1走)
4x400mR予選DQ (4走)
国民体育大会福井市100m4位10秒90 (-5.2)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ それまで負けなしだったが、授業の前日に熱を出したのも影響した。親にも「負けて当たり前」と言われたという。
  2. ^ なお、中学校に陸上部はなかった。
  3. ^ 日本ランク1位(10秒01)の桐生祥秀は大会自体を欠場。2位(10秒03)の山縣亮太は準決勝を棄権。3位(10秒10)のケンブリッジ飛鳥は予選を棄権。

出典 編集

  1. ^ a b 【陸上】法大・長田、10秒19!桐生の領域に「入っていきたい」”. スポーツ報知 (2015年6月15日). 2015年8月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 「第13回HOPE 2020「東京」の期待と希望 長田拓也(法大)」『陸上競技マガジン』第67巻第7号、ベースボール・マガジン社、2017年4月号、98-101頁。 
  3. ^ a b c 「マイプライバシー」『月刊陸上競技』第50巻第1号、講談社、2016年1月号、157頁。 
  4. ^ a b c d e 「関東インカレSpecial Close-up」『月刊陸上競技』第49巻第8号、講談社、2015年7月号、149頁。 
  5. ^ 「日本学生個人選手権」『月刊陸上競技』第49巻第9号、講談社、2015年8月号、36頁。 
  6. ^ 代表選手の変更について (PDF, 44.4 KB) 日本学生陸上競技連合 2015年08月05日閲覧
  7. ^ 第15回世界陸上競技選手権大会(2015/北京) 追加日本代表選手 (PDF, 99.9 KB) 日本陸上競技連盟 2015年08月04日閲覧
  8. ^ サニブラウン外し“裏目”予選敗退 得意バトンパスで失敗”. スポーツニッポン (2015年8月29日). 2015年8月30日閲覧。
  9. ^ 2016年5月21日の本人のツイッターより
  10. ^ 【陸上競技】第95回関東学生陸上競技対校選手権大会 最終日 大瀬戸主将が自己ベスト更新で200m優勝!”. スポーツ法政 (2016年5月). 2016年6月11日閲覧。
  11. ^ 2016年6月11日の本人のツイッターより
  12. ^ 2016年6月26日の本人のツイッターより
  13. ^ 2016年9月3日の本人のツイッターより
  14. ^ 【陸上競技】天皇賜盃第85回日本学生対校選手権 2日目 100mで長田が2年連続の表彰台!総合入賞を射程圏内に!”. スポーツ法政 (2016年9月3日). 2016年9月5日閲覧。
  15. ^ 富士通陸上競技部 2017年度新加入選手について”. 富士通 (2017年4月3日). 2017年4月3日閲覧。
  16. ^ 出場選手 学生代表アンケート”. 2015オールスターナイト陸上 (2015年). 2015年11月21日閲覧。
  17. ^ 第28回ユニバーシアード競技大会(2015/光州)日本代表選手”. 日本学生陸上競技連合 (2015年). 2015年11月21日閲覧。

外部リンク 編集