金鯱賞

日本の中央競馬の重賞競走

金鯱賞(きんこしょう)は、日本中央競馬会(JRA)が中京競馬場で施行する中央競馬重賞競走GII)である。

金鯱賞
Kinko Sho[1]
第59回金鯱賞
(優勝馬・プログノーシス、鞍上:川田将雅
開催国日本の旗 日本
主催者日本中央競馬会
競馬場中京競馬場
創設1965年11月7日
2024年の情報
距離芝2000m
格付けGII
賞金1着賞金6700万円
出走条件サラ系4歳以上(国際)(指定)
負担重量別定
出典[2][3]
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競走名は名古屋城のシンボル「金の鯱」に由来する。鯱は水を呼び、火を防ぐといわれている[4][3]

概要 編集

1965年に別定重量の重賞競走として中京競馬場の砂1800mで創設された[5]。その後、施行コースは1970年から芝コースでの施行に変更[5]。負担重量は1966年から1995年までハンデキャップとされたが、1996年から再び別定となるかつ、宝塚記念へのステップレースにもなり、あわせて距離も2000mに変更された[5]2012年から2016年は11月末~12月開催となり、有馬記念へのステップレースにもなっていたが、2017年からは開催時期を3月に変更し、本競走の1着馬に同年からGIに昇格した大阪杯への優先出走権が付与される[6]

外国産馬は1996年より出走が可能になった[7]。2000年からは外国馬も出走可能な国際競走となり[7]、2012年からは地方競馬所属馬も出走可能になった[8]

競走条件 編集

以下の内容は、2024年現在[2][3]のもの。

出走資格:サラ系4歳以上

  • JRA所属馬
  • 地方競馬所属馬(後述)
  • 外国調教馬(優先出走)

負担重量:別定

  • 57kg、牝馬2kg減
    • 2023年3月11日以降のGI競走(牝馬限定競走を除く)1着馬2kg増、牝馬限定GI競走またはGII競走(牝馬限定競走を除く)1着馬1kg増
    • 2023年3月10日以前のGI競走(牝馬限定競走を除く)1着馬1kg増(2歳時の成績を除く)

大阪杯のステップ競走に指定されており、地方競馬所属馬は大阪杯の出走候補馬(3頭まで)に優先出走が認められている。また、地方競馬所属馬は本競走で2着以内の成績を収めた馬に大阪杯の優先出走権が与えられる[9]

賞金 編集

2024年の1着賞金は6700万円で、以下2着2700万円、3着1700万円、4着1000万円、5着670万円[2][3]

歴史 編集

  • 1965年 - 4歳以上の馬による重賞競走として創設、中京競馬場の砂1800mで施行[5]。正賞は愛知県知事賞(〜1969年、1971年)[10]
  • 1970年 - この年のみ、名称を「博多ステークス(はかたステークス・第6回金鯱賞)」に変更して施行[7]
  • 1972年 - 正賞を名古屋市長賞に変更(当年と翌年の2年のみ)[10]
  • 1974年 - 名称を「東海テレビ杯 金鯱賞」に変更[7]
  • 1984年 - グレード制導入によりGIII[注 1]に格付け[5]
  • 1996年
    • GII[注 1]に格上げ[7]
    • 施行距離を芝2000mに変更。同年GIに昇格した高松宮杯→高松宮記念の施行条件を事実上引き継ぐ。
    • 混合競走に指定され、外国産馬が出走可能になる[7]
  • 1997年 - 名称を「金鯱賞」に変更。
  • 2000年 - 国際競走に変更され、外国調教馬が5頭まで出走可能となる[7]
  • 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格を「3歳以上」に変更。
  • 2004年 - 「日本中央競馬会創立50周年記念」の副称をつけて施行[7]
  • 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、外国調教馬の出走枠が9頭に拡大[11]
  • 2012年
    • 開催時期を11月末~12月に変更。
    • 特別指定交流競走に指定され、地方競馬所属馬が2頭まで出走可能となる[8]
  • 2013年 - 「サイレンススズカメモリアル」の副称をつけて施行[12]
  • 2017年
    • 開催時期が3月に、それに伴い出走資格を「4歳以上」に変更。
    • この年から1着馬に大阪杯の優先出走権を付与。
    • 指定交流競走に変更、JRAに認定されていない地方所属馬も出走可能になる。
  • 2018年 - 施行日を中山牝馬ステークスと交換。
  • 2020年 - COVID-19の流行により、「無観客競馬」として実施[13]
  • 2024年 - 「JRA70周年記念競走」の副称をつけて施行[14]

歴代優勝馬 編集

コース種別を記載していない距離は、芝コースを表す。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

競走名は第6回が「博多ステークス」[7]

回数施行日競馬場距離優勝馬性齢タイム優勝騎手管理調教師馬主
第1回1965年11月7日中京砂1800mアオバ牡31:54.3沢峰次森末之助清水友太郎
第2回1966年8月28日中京砂1800mパシカリーム牝41:54.7高橋隆大久保亀治山本愼一
第3回1967年7月30日中京砂1800mクリバツク牡31:53.4田島良保谷八郎有馬静雄
第4回1968年8月4日中京砂1800mローエングリン牡31:53.6栗田勝武田文吾加藤吉朗
第5回1969年3月9日中京砂1800mハクセンショウ牡51:52.5増沢末夫尾形藤吉柏誠四郎
第6回1970年1月25日小倉1800mアリオーン牡41:50.7楠孝志橋田俊三加藤雅彦
第7回1971年7月11日中京1800mスインホウシュウ牡31:48.3安藤正敏上田三千夫上田清次郎
第8回1972年6月11日中京1800mシングン牡41:49.3飯田明弘坂口正二奈村信重
第9回1973年7月8日中京1800mサカエカホー牡41:47.9湯浅三郎加藤清一陳葉枝
第10回1974年7月7日中京1800mホウシュウミサイル牡31:52.9武田悟夏村辰男上田清次郎
第11回1975年7月13日中京1800mスズカハード牡51:52.6飯田明弘小林稔永井商事(株)
第12回1976年7月11日中京1800mヤマブキオー牡61:49.9徳吉一己森末之助清水一郎
第13回1977年7月10日中京1800mマチカネライコー牡41:49.0柴田光陽清田十一東豊産業(株)
第14回1978年7月9日中京1800mスリーファイヤー牝41:48.1岩元市三布施正永井商事(株)
第15回1979年7月8日阪神2000mニチドウアラシ牡32:00.8村本善之坂田正行山田敏夫
第16回1980年7月6日中京1800mマリージョーイ牝41:48.1岩元市三田中良平小田切有一
第17回1981年7月5日中京1800mオーバーレインボー牡41:51.9崎山博樹土門一美鳥居茂三
第18回1982年7月11日中京1800mテルノホープ牡51:47.6南井克巳安藤正敏中村照彦
第19回1983年7月10日中京1800mラブリースター牝41:50.0田原成貴領家政蔵山本信行
第20回1984年7月8日中京1800mトーワカチドキ牡51:52.8田島信行佐山優斉藤一郎
第21回1985年7月7日中京1800mキャノンゼット牡51:50.4内山正博小林稔角田哲男
第22回1986年7月6日中京1800mイズミスター牡41:51.8土肥幸広白井寿昭今泉淳
第23回1987年6月28日中京1800mノックアウト牡41:47.7南井克巳田中良平小田切有一
第24回1988年6月26日中京1800mパッシングパワー牡51:47.4高橋隆大久保石松山本菊一
第25回1989年6月25日中京1800mマルブツファースト牡71:48.0村本善之大久保正陽大沢毅
第26回1990年6月17日中京1800mマロングラッセ牝61:47.3角田晃一庄野穂積栗林英雄
第27回1991年6月16日中京1800mムービースター牡51:46.6武豊坪憲章吉田照哉
第28回1992年6月21日中京1800mイクノディクタス牝51:47.5村本善之福島信晴勝野憲明
第29回1993年6月20日京都1800mウィッシュドリーム牡41:46.7武豊坪憲章(株)日本ダイナースクラブ
第30回1994年6月19日中京1800mマーベラスクラウン騸41:48.1南井克巳大澤眞笹原貞生
第31回1995年6月18日中京1800mサマニベッピン牝51:48.3土肥幸広加藤敬二(有)関澤産業
第32回1996年6月9日中京2000mフジヤマケンザン牡82:01.4村本善之森秀行藤本龍也
第33回1997年5月24日中京2000mゼネラリスト牡42:02.3松永幹夫山本正司マエコウファーム(有)
第34回1998年5月30日中京2000mサイレンススズカ牡41:57.8武豊橋田満永井啓弍
第35回1999年5月29日中京2000mミッドナイトベット牡51:59.7河内洋長浜博之(有)社台レースホース
第36回2000年5月27日中京2000mメイショウドトウ牡41:58.5安田康彦安田伊佐夫松本好雄
第37回2001年5月26日中京2000mミッキーダンス牡51:59.9佐藤哲三服部利之三木久史
第38回2002年5月25日中京2000mツルマルボーイ牡41:58.3横山典弘橋口弘次郎鶴田任男
第39回2003年5月31日中京2000mタップダンスシチー牡61:58.9佐藤哲三佐々木晶三(株)友駿ホースクラブ
第40回2004年5月29日中京2000mタップダンスシチー牡71:57.5佐藤哲三佐々木晶三(株)友駿ホースクラブ
第41回2005年5月28日中京2000mタップダンスシチー牡81:58.9佐藤哲三佐々木晶三(株)友駿ホースクラブ
第42回2006年5月27日中京2000mコンゴウリキシオー牡41:58.8岩田康誠山内研二金岡久夫
第43回2007年5月26日中京2000mローゼンクロイツ牡51:57.2藤岡佑介橋口弘次郎(有)サンデーレーシング
第44回2008年5月31日中京2000mエイシンデピュティ牡61:59.1岩田康誠野元昭平井豊光
第45回2009年5月30日中京2000mサクラメガワンダー牡61:58.4福永祐一友道康夫(株)さくらコマース
第46回2010年5月29日京都2000mアーネストリー牡51:59.5佐藤哲三佐々木晶三前田幸治
第47回2011年5月28日京都2000mルーラーシップ牡42:02.4福永祐一角居勝彦(有)サンデーレーシング
第48回2012年12月1日中京2000mオーシャンブルー牡42:00.4C.ルメール池江泰寿青芝商事(株)
第49回2013年11月30日中京2000mカレンミロティック騸51:59.6池添謙一平田修鈴木隆司
第50回2014年12月6日中京2000mラストインパクト牡41:58.8川田将雅松田博資(有)シルクレーシング
第51回2015年12月5日中京2000mミトラ騸71:58.8柴山雄一萩原清吉田勝己
第52回2016年12月3日中京2000mヤマカツエース牡41:59.7池添謙一池添兼雄山田和夫
第53回2017年3月11日中京2000mヤマカツエース牡51:59.2池添謙一池添兼雄山田和夫
第54回2018年3月11日中京2000mスワーヴリチャード牡42:01.6M.デムーロ庄野靖志(株)NICKS
第55回2019年3月10日中京2000mダノンプレミアム牡42:00.1川田将雅中内田充正(株)ダノックス
第56回2020年3月15日中京2000mサートゥルナーリア牡42:01.6C.ルメール角居勝彦(有)キャロットファーム
第57回2021年3月14日中京2000mギベオン牡62:01.8西村淳也藤原英昭(有)社台レースホース
第58回2022年3月13日中京2000mジャックドール牡41:57.2藤岡佑介藤岡健一前原敏行
第59回2023年3月12日中京2000mプログノーシス牡51:59.8川田将雅中内田充正(有)社台レースホース
第60回2024年3月10日中京2000mプログノーシス牡61:57.6川田将雅中内田充正(有)社台レースホース

金鯱賞の記録 編集

レースレコード - 1:57.2(第43回優勝馬 ローゼンクロイツ、第58回優勝馬 ジャックドール)[注 2]

脚注・出典 編集

注釈 編集

  1. ^ a b 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。
  2. ^ ローゼンクロイツ号が記録したレースレコードは改修前の旧コースで記録したもの

出典 編集

  1. ^ IFHA Race Detail Kinko Sho”. 2016年11月28日閲覧。
  2. ^ a b c 重賞競走詳細(レース別・関西)” (PDF). 日本中央競馬会. p. 8 (2024年). 2024年3月4日閲覧。
  3. ^ a b c d 2024年第1回中京競馬番組” (PDF). 日本中央競馬会. 2024年3月4日閲覧。
  4. ^ 2024年度第1回中京競馬特別レース名解説(第2日)” (PDF). 日本中央競馬会. p. 1. 2024年4月29日閲覧。
  5. ^ a b c d e 歴史・コース:金鯱賞 今週の注目レース”. 日本中央競馬会. 2024年4月29日閲覧。
  6. ^ 2017年度開催日割および重賞競走について”. 日本中央競馬会. 2016年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月11日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i 中央競馬全重賞競走成績集【古馬関西編】
  8. ^ a b 重賞競走一覧(レース別・関西)” (PDF). 日本中央競馬会. p. 37 (2012年). 2016年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月12日閲覧。
  9. ^ [地]が出走できるGI競走等とそのステップ競走について【2024年度】” (PDF). 日本中央競馬会. 2024年4月29日閲覧。
  10. ^ a b 中央競馬ピーアール・センター/企画編集『中京競馬40年のあゆみ』日本中央競馬会中京競馬場、1993年、46頁。 
  11. ^ 第2回 中京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1663-1662. 2021年3月12日閲覧。(索引番号:15035)
  12. ^ 2013年の成績表参照。
  13. ^ 3月14日(土曜)、15日(日曜)の中央競馬の開催等について”. 日本中央競馬会 (2020年3月12日). 2020年3月12日閲覧。
  14. ^ JRA70周年記念事業の詳細日本中央競馬会、2023年12月11日配信・閲覧

各回競走結果の出典 編集

外部リンク 編集