船舶昇降機 (せんぱくしょうこうき、英語: boat lift, ship lift, lift lock) は異なる標高にある水面間で船舶を移動する装置ボートリフト運河エレベータともいう。閘門、船舶用インクラインの代替の1つである。

ストレピ=ティウ船舶昇降機 (ベルギー)
ファルカーク・ホイール
カナダ、ピーターバラのリフトロック
クラスノヤルスクダム船舶昇降機
クラスノヤルスクダム船舶昇降機

ドイツベルギーフランスポーランドイングランドにある垂直と斜面(引き上げ船台)に移動するものと、スコットランドファルカーク・ホイールのように回転するものがある。

歴史

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初めてのものは、ドレスデン近くのフールプリンツ運河 (Churprinz) にある、2トン半の昇降機である。ケーソンを用いること無く7メートル持ち上げた。これは、1789年から1868年まで運用した[1]。フールプリンツの昇降機の初期は実験的に運用され、ジェイムス・グリーン技師 (James Green) は1796年から1830年にまで5基建設した。彼は、エジンバラのジェイムス・アンダーソン博士 (Dr. James Anderson) の発明であるとしている[2]エラズマス・ダーウィンの1777年から1778年にかけての本「皆の広場」の58ページから59ページには水で満たされたケーソンの、平衡錘による運河昇降機の案が記されている[3]

初期の例には、ドーセット・アンド・サマーセット運河 (Dorset and Somerset Canal) のメル (Mells) に造られたものがある[2]。1835年に運用した、グランド・ウェスタン運河 (Grand Western Canal) のものは、イギリスで実用的に用いられた最初のものである[4]

1904年には、リチャード・ロジャース (Richard Birdsall Rogers) がピーターボロ・リフトロック (Peterborough Lift Lock) をカナダで設計した。このリフトは重力のみで運用した。上部の槽に30センチ深く水を入れることで重くして運用された。

2016年現在、三峡ダムの昇降機が昇降高さ113mで世界一である。

主な船舶昇降機 — 大きさ順
名称位置開業年 (年)排水量 (トン)寸法 (メートル)垂直昇降高さ (メートル)繰り返し周期 (分)備考
三峡ダム船舶昇降機 中華人民共和国20163000280 x 35 x 511330–40
Henrichenburg boat lift英語版ドイツ196290 x 12 x 314
クラスノヤルスクダム船舶昇降機ロシア1982150090 x 18 x 2.210490
Ronquières inclined plane lift英語版ベルギー1968135091 x 12 x 3.767.7322 [5]
ストレピ=ティウ船舶昇降機ベルギー20021350112 x 12 x 3.3573.157
Scharnebeck twin ship lift英語版ドイツ19741350105.4 x 15.8 x 3.4383
Niederfinow boat lift英語版ドイツ193485 x 12 x 2.53620
Peterborough lift lock英語版カナダ1904130042.7 x 10.1 x 2.119.810
Kirkfield Lift Lock英語版カナダ1907130042.7 x 10.1 x 2.114.910
Rothensee boat lift英語版ドイツ1938100085 x 12.2 x ?1620
ファルカーク・ホイールイギリス200260021.33 x 6.0 x 1.37244
Henrichenburg boat lift英語版ドイツ196260067 x 8.2 x 21425
Danjiangkou Dam英語版中華人民共和国?450
Geheyan Dam ship lift英語版中華人民共和国1987300
Longtan Dam ship lift英語版中華人民共和国2009?25040 x 10.8 x 1.868.5「世界最速の船舶昇降機である」と主張されている
サントル運河の船舶昇降機ベルギー1888–1917360 / 35040.1 x 5.06 x 216.93 - 15.4高さ 16.93 m の昇降機が3基、高さ 15.4 m の昇降機が1基
Fontinettes boat lift英語版フランス1881–8830039 x 5.2 x 213.135
アンダートン船舶昇降機イギリス187525022.9 x 4.7 x 2.915.25

参考文献

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  1. ^ Hadfield (1986), p. 71.
  2. ^ a b Hadfield (1985), p. 104.
  3. ^ revolutionaryplayers.org.uk
  4. ^ Hadfield (1985), p. 109.
  5. ^ The inclined plane of Ronquières”. 2016年9月1日閲覧。
  • Hadfield, Charles (1985). The Canals of Southwest England. Newton Abbot: David & Charles. ISBN 0-7153-8645-X 
  • Hadfield, Charles (1986). World canals: inland navigation past and present. Newton Abbot: David & Charles. ISBN 0-7153-8555-0 

外部リンク

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