年間最優秀力士賞

年間最優秀力士賞(ねんかんさいゆうしゅうりきししょう)は、報知新聞社が制定する、その一年間に最も活躍した力士を顕彰する賞。年6場所制になった1958年(昭和33年)に制定され、報知年間最優秀力士賞(ほうち-)として表彰されている。

12月に行われる選考委員会において、勝星数、優勝回数、相撲内容等を総合的に審査して受賞者を決定する。翌年1月場所初日に表彰式が行われ、受賞者には副賞としてスポーツ報知杯と賞金50万円が贈られる。

なお、「年間最多勝(ねんかんさいたしょう)」と混同される場合もあるが、両者は全く別の表彰である(「年間最多勝」は相撲内容等は考慮せず、一年間の幕内での勝星数のみで受賞者を決定する)。本賞は年間最多勝力士がそのまま受賞することが多く、それ以外の力士が受賞する場合は最多勝力士を幕内での年間勝率(休場を除く)で上回った力士が大半を占めており、いずれにも該当しない力士の受賞は1972年の貴ノ花、1975年の三重ノ海、1977年の輪島、2016年の日馬富士、2019年の白鵬の5例のみである。

2023年は優勝2回、年間最多勝の大関霧島が初受賞。12月26日選出された。(下記外部リンク参照)

歴代受賞者 編集

四股名受賞回数年間成績備考
1958(昭和33)年わかのはな かんし/若乃花幹士初受賞75勝14敗1分
1959(昭和34)年とちにしき/栃錦清隆初受賞77勝13敗
1960(昭和35)年わかのはな かんし/若乃花幹士2年ぶり2度目59勝13敗18休1月場所(0勝)と11月場所(5勝)を途中休場。年間最多勝は大鵬幸喜の66勝24敗。
1961(昭和36)年たいほう/大鵬幸喜初受賞71勝19敗
1962(昭和37)年たいほう/大鵬幸喜2年連続2度目77勝13敗
1963(昭和38)年たいほう/大鵬幸喜3年連続3度目81勝9敗史上初の年間80勝以上を記録。
1964(昭和39)年たいほう/大鵬幸喜4年連続4度目69勝11敗10休7月場所を途中休場(1勝)。
1965(昭和40)年さたのやま/佐田の山晋松初受賞74勝16敗
1966(昭和41)年たいほう/大鵬幸喜2年ぶり5度目69勝06敗15休1月場所を全休。年間最多勝は柏戸剛の71勝19敗。
1967(昭和42)年たいほう/大鵬幸喜2年連続6度目70勝06敗14休7月場所(2勝)と11月場所(11勝)を途中休場。年間最多勝は70勝20敗の柏戸剛と分け合う。
1968(昭和43)年たまのしま/玉乃島正夫初受賞69勝21敗のち玉の海。
1969(昭和44)年たいほう/大鵬幸喜2年ぶり7度目59勝16敗15休3月場所(3勝)と11月場所(6勝)を途中休場。年間最多勝は北の富士勝昭の63勝27敗。
1970(昭和45)年きたのふし/北の富士勝昭初受賞75勝15敗75勝15敗の玉の海正洋と最多勝を分け合う。
1971(昭和46)年たまのうみ/玉の海正洋3年ぶり2度目68勝07敗9月場所後に死去したため11月場所の成績は含まず、故人として受賞。年間最多勝は北の富士勝昭の73勝17敗。
1972(昭和47)年たかのはな/貴ノ花満初受賞58勝32敗年間最多勝は輪島大士の63勝27敗。
1973(昭和48)年わしま/輪島大士初受賞77勝12敗1休11月場所千秋楽を優勝決定後に休場(12勝)。
1974(昭和49)年きたのうみ/北の湖敏満初受賞73勝17敗
1975(昭和50)年みえのうみ/三重ノ海五郎初受賞62勝28敗年間最多勝は北の湖敏満の71勝19敗。
1976(昭和51)年わしま/輪島大士3年ぶり2度目77勝13敗
1977(昭和52)年わしま/輪島大士2年連続3度目75勝15敗年間最多勝は北の湖敏満の80勝10敗。
1978(昭和53)年きたのうみ/北の湖敏満4年ぶり2度目82勝8敗当時の年間最多勝記録。史上初の2年連続年間80勝以上を達成。
1979(昭和54)年きたのうみ/北の湖敏満2年連続3度目77勝13敗
1980(昭和55)年きたのうみ/北の湖敏満3年連続4度目77勝13敗
1981(昭和56)年ちよのふし/千代の富士貢初受賞65勝13敗12休9月場所を途中休場(1勝)。年間最多勝は北の湖敏満の69勝15敗6休。
1982(昭和57)年ちよのふし/千代の富士貢2年連続2度目74勝16敗
1983(昭和58)年たかのさと/隆の里俊英初受賞78勝12敗
1984(昭和59)年わかしまつ/若嶋津六夫初受賞71勝19敗
1985(昭和60)年ちよのふし/千代の富士貢3年ぶり3度目80勝10敗
1986(昭和61)年ちよのふし/千代の富士貢2年連続4度目68勝10敗12休3月場所を途中休場(1勝)。
1987(昭和62)年ちよのふし/千代の富士貢3年連続5度目71勝15敗4休9月場所を途中休場(9勝)。年間最多勝は北勝海信芳の74勝16敗。
1988(昭和63)年ちよのふし/千代の富士貢4年連続6度目70勝05敗15休3月場所を全休。年間最多勝は旭富士正也の73勝17敗。
1989(平成元)年ちよのふし/千代の富士貢5年連続7度目65勝10敗15休5月場所を全休。年間最多勝は北勝海信芳の72勝18敗。
1990(平成2)年あさひふし/旭富士正也初受賞70勝20敗
1991(平成3)年こにしき/小錦八十吉初受賞59勝17敗14休1月場所を途中休場(0勝)。年間最多勝は霧島一博の62勝28敗。
1992(平成4)年たかはなた/貴花田光司初受賞60勝30敗のち貴乃花。初の年間最高位が関脇以下での受賞。
1993(平成5)年あけほの/曙太郎初受賞76勝14敗
1994(平成6)年たかのはな/貴乃花光司2年ぶり2度目80勝10敗
1995(平成7)年たかのはな/貴乃花光司2年連続3度目80勝10敗2年連続で年間80勝以上を達成(史上2人目)。
1996(平成8)年たかのはな/貴乃花光司3年連続4度目70勝05敗15休11月場所を全休。
1997(平成9)年たかのはな/貴乃花光司4年連続5度目78勝12敗
1998(平成10)年わかのはな まさる/若乃花勝初受賞67勝23敗
1999(平成11)年むさしまる/武蔵丸光洋初受賞70勝20敗
2000(平成12)年あけほの/曙太郎7年ぶり2度目76勝14敗
2001(平成13)年むさしまる/武蔵丸光洋2年ぶり2度目73勝17敗
2002(平成14)年あさしようりゆう/朝青龍明徳初受賞66勝24敗
2003(平成15)年あさしようりゆう/朝青龍明徳2年連続2度目67勝18敗5休7月場所を途中休場(5勝)。
2004(平成16)年あさしようりゆう/朝青龍明徳3年連続3度目78勝12敗
2005(平成17)年あさしようりゆう/朝青龍明徳4年連続4度目84勝6敗当時の年間最多勝記録。
2006(平成18)年あさしようりゆう/朝青龍明徳5年連続5度目67勝11敗12休5月場所を途中休場(1勝)。
2007(平成19)年はくほう/白鵬翔初受賞74勝16敗
2008(平成20)年はくほう/白鵬翔2年連続2度目79勝11敗
2009(平成21)年はくほう/白鵬翔3年連続3度目86勝4敗現在の年間最多勝記録。
2010(平成22)年はくほう/白鵬翔4年連続4度目86勝4敗年間最多勝タイ記録。2年連続で年間80勝以上を達成(史上3人目)。
2011(平成23)年はくほう/白鵬翔5年連続5度目66勝09敗大相撲八百長問題で3月場所は中止。5月場所は技量審査場所として開催。
2012(平成24)年はくほう/白鵬翔6年連続6度目76勝14敗
2013(平成25)年はくほう/白鵬翔7年連続7度目82勝8敗年間80勝以上を通算3回達成(史上初)。
2014(平成26)年はくほう/白鵬翔8年連続8度目81勝9敗単独最多の受賞数(8度)を更新。年間80勝以上を通算4回達成(史上初)。
2015(平成27)年はくほう/白鵬翔9年連続9度目66勝12敗12休9月場所を途中休場(0勝)。
2016(平成28)年はるまふし/日馬富士公平初受賞67勝23敗年間最多勝は稀勢の里寛の69勝21敗。
2017(平成29)年(受賞者なし)年間最多勝は白鵬翔の56勝9敗25休。史上初の受賞者なし[1]
2018(平成30)年とちのしん/栃ノ心剛史初受賞59勝23敗8休7月場所を途中休場(5勝)。
2019(令和元)年はくほう/白鵬翔4年ぶり10度目51勝10敗29休1月・5月・9月場所を休場(10勝・全休・0勝)。歴代最少勝ち星での受賞。年間最多勝は朝乃山英樹の55勝35敗。
2020(令和2)年たかけいしよう/貴景勝光信初受賞51勝21敗3休日本出身力士として22年ぶりの受賞。新型コロナウイルス感染拡大で5月場所は中止。
2021(令和3)年てるのふじ/照ノ富士春雄初受賞77勝13敗
2022(令和4)年わかたかかげ/若隆景渥初受賞57勝33敗30年ぶりとなる年間最高位が関脇以下での受賞。年間皆勤力士としては歴代最少勝ち星での受賞。
2023(令和5)年きりしま/霧島鐵力初受賞62勝26敗2休7月場所を途中休場(6勝)。

選考委員 編集

(下記の他、報知新聞社社長、編集局長も選考委員)

回数歴代選考委員
1回昭和33年(1958)酒井忠正石井鶴三尾崎士郎御手洗辰雄
2回34年(1959)酒井忠正・石井鶴三・尾崎士郎・御手洗辰雄
3回35年(1960)酒井忠正・石井鶴三・尾崎士郎・御手洗辰雄
4回36年(1961)酒井忠正・石井鶴三・尾崎士郎・御手洗辰雄
5回37年(1962)酒井忠正・石井鶴三(欠)・尾崎士郎・御手洗辰雄
6回38年(1963)酒井忠正・石井鶴三・尾崎士郎(欠)・御手洗辰雄
7回39年(1964)酒井忠正・石井鶴三・御手洗辰雄(欠)・高橋義孝
8回40年(1965)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝
9回41年(1966)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝
10回42年(1967)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝
11回43年(1968)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝(欠)
12回44年(1969)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝
13回45年(1970)酒井忠正(欠)・石井鶴三・御手洗辰雄・高橋義孝
14回46年(1971)石井鶴三(欠)・御手洗辰雄・高橋義孝  
15回47年(1972)御手洗辰雄・高橋義孝・安西浩
16回48年(1973)御手洗辰雄・高橋義孝・安西浩(欠)
17回49年(1974)高橋義孝(欠)・安西浩
18回50年(1975)高橋義孝・安西浩・山口瞳池田弥三郎
19回51年(1976)高橋義孝・安西浩・山口瞳・池田弥三郎
20回52年(1977)高橋義孝・安西浩・山口瞳・池田弥三郎
21回53年(1978)高橋義孝・安西浩・山口瞳・池田弥三郎
22回54年(1979)安西浩・山口瞳・上田英雄
23回55年(1980)安西浩・山口瞳・上田英雄
24回56年(1981)安西浩・山口瞳・上田英雄
25回57年(1982)安西浩・山口瞳・上田英雄
26回58年(1983)安西浩・山口瞳・上田英雄
27回59年(1984)安西浩・山口瞳・上田英雄
28回60年(1985)安西浩・山口瞳・上田英雄
29回61年(1986)安西浩・山口瞳・上田英雄
30回62年(1987)安西浩・山口瞳・上田英雄
31回63年(1988)安西浩・山口瞳・上田英雄
32回平成元年(1989)安西浩(欠)・山口瞳・上田英雄
33回2年(1990)山口瞳・上田英雄・平山郁夫 
34回3年(1991)山口瞳・上田英雄・平山郁夫 
35回4年(1992)山口瞳・上田英雄・平山郁夫 
36回5年(1993)山口瞳・平山郁夫・安西邦夫
37回6年(1994)山口瞳・平山郁夫・安西邦夫
38回7年(1995)平山郁夫・安西邦夫・有馬朗人
39回8年(1996)平山郁夫・安西邦夫・有馬朗人
40回9年(1997)平山郁夫(欠)・安西邦夫・有馬朗人
41回10年(1998)平山郁夫(欠)・安西邦夫・有馬朗人
42回11年(1999)平山郁夫・安西邦夫・有馬朗人
43回12年(2000)平山郁夫(欠)・安西邦夫・有馬朗人
44回13年(2001)平山郁夫(欠)・安西邦夫・有馬朗人
45回14年(2002)安西邦夫・有馬朗人(欠)・境川尚
46回15年(2003)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
47回16年(2004)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
48回17年(2005)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
49回18年(2006)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
50回19年(2007)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
51回20年(2008)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
52回21年(2009)安西邦夫・有馬朗人・佐田の山晋松
53回22年(2010)安西邦夫(欠)・有馬朗人      
54回23年(2011)安西邦夫・有馬朗人・奥島孝康
55回24年(2012)安西邦夫・有馬朗人・奥島孝康
56回25年(2013)有馬朗人・奥島孝康
57回26年(2014)有馬朗人・奥島孝康
58回27年(2015)有馬朗人・奥島孝康
59回28年(2016)有馬朗人・奥島孝康・能町みね子
60回29年(2017)有馬朗人・奥島孝康・能町みね子
61回30年(2018)有馬朗人・奥島孝康・能町みね子
62回令和元年(2019)有馬朗人・奥島孝康・能町みね子
63回令和2年(2020)有馬朗人(欠)・奥島孝康・能町みね子
64回令和3年(2021)宮田亮平刈屋富士雄・能町みね子
65回令和4年(2022)宮田亮平・刈屋富士雄・能町みね子
66回令和5年(2023)宮田亮平・刈屋富士雄・能町みね子

外部リンク 編集

脚注 編集

  1. ^ 報知年間最優秀力士賞、史上初「受賞者なし」 2017年12月26日6時0分 スポーツ報知