プリティ・リーグ

アメリカの映画作品

プリティ・リーグ』(原題: A League of Their Own)は、1992年に製作されたアメリカ映画。1943年に創設され54年まで存在した全米女子プロ野球リーグを題材として、女性差別が激しかった時代に自分たち自身(Their Own)の人生の目標を実現しようとする女性たちの姿を描く。

プリティ・リーグ
A League of Their Own
監督ペニー・マーシャル
脚本ババルー・マンデル
ローウェル・ガンツ
原案キム・ウィルソン
ケリー・キャンディール
製作ロバート・グリーンハット
エリオット・アボット
製作総指揮ペニー・マーシャル
出演者トム・ハンクス
ジーナ・デイヴィス
マドンナ
音楽ハンス・ジマー
主題歌マドンナ「マイ・プレイグラウンド
撮影ミロスラフ・オンドリチェク
編集ジョージ・バワーズ
アダム・ベルナルディ
配給コロンビア・トライスター映画社
公開アメリカ合衆国の旗 1992年7月1日
日本の旗 1992年10月10日
上映時間128分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$40,000,000[1]
興行収入$132,440,069[1]
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主題歌の「マイ・プレイグラウンド」(This Used To Be My Playground)をマドンナが担当し、選手の1人として出演もしている。エンドロールでのクレジットではトム・ハンクス が先頭であるが、ハンクスは助演的役割を担っている。

あらすじ 編集

1988年のこと。ドティ・ヒンソンは野球殿堂で開催される全米女子プロ野球リーグの回顧展の開会式に出席する。彼女は多くの元チームメイトや友人に会い、1943年当時への回想を始める。

第二次世界大戦に選手の多くが出征したことによりメジャーリーグの中断が危ぶまれる中、シカゴ・カブスのオーナーであるウォルター・ハーヴィーは仲間のオーナーたちに女子リーグ設立のために資金を提供するよう説得を始める。アイラ・ローウェンスティーンがその担当者となる。スカウトのアーニー・カパディーノはオレゴン州で行われている産業リーグのソフトボールの試合を観戦し、乳業チームの捕手であるドティに注目する。しかし彼女は興味を示さない。彼女は夫のボブが戦争から戻るのを待ちながらの自分の生活に満足している。一方、彼女の妹のキット・ケラーは、今の生活から抜け出して何かをやり遂げることを渇望している。カパディーノはキットの打撃に感心せず、投球も見なくて良いと言うが、ドティを変心させればキットも一緒に連れて行くことに同意する。ドティは妹のためにカパディーノと一緒に行くことに同意する。

ドッティとキットはトライアウトのためにシカゴのハーヴィー球場に行く。2人は、タクシーダンサー(注:ダンスホールなどで客から金を貰ってダンスの相手をする女性)のメイ・“オール・ザ・ウェイ・メイ”・モーダビトと彼女の親友でダンスホールの用心棒のドリス・マーフィー、穏やかな口調の右翼手イヴリン・ガードナー、読み書きが出来ない左翼手シャーリー・ベイカー、投手兼遊撃手で元ミス・ジョージア州のエレン・スー・ゴットランダー、左翼手兼救援投手ベティ・"スパゲッティ"・ホーン、二塁手のマーラ・フーチ、一塁手ヘレン・ヘイリー、アリス・"スキーター"・ギャスパーズと会う。ドティ、キットと他の5人がロックフォード・ピーチズに所属し、他の48人がラシーン・ベルズ、ケノーシャ・コメッツ、サウスベンド・ブルーソックスに所属することとなる。

ピーチズは元カブスの花形スラッガーで、今や皮肉屋でアルコール依存症となっているジミー・デューガンが監督である。彼は最初は全てのことを冗談として扱い、無理矢理ドティを監督代行にしてしまう。また、デューガンは選手たちを邪険に扱っている。チームは、イヴリンの甘やかされて育った生意気な息子スティルウェルと、チームの付き添い婦のミス・カスバートと共に移動する。ローウェンスティーンは、女子リーグが殆ど注目を集めていないため、ライフ誌のカメラマンが観客席にいる時に、選手たちに何か派手なことをするよう頼む。ドティはそれに従い、ファウルのキャッチャーフライを大股開きで捕球し、その写真がライフ誌の表紙を飾る。宣伝活動により、より多くの人が球場に集まるようになったが、オーナーらは依然として納得しない。

チームメイトたちは団結を強める。マーラは遠征中の夜、街道沿いのバーで出会ったネルソンという男性と結婚し、シーズンが残っているにも拘わらずチームを去る。メイはシャーリーに読み方を教え、イヴリンはチームソングを書く。ローウェンスティーンはドティを女子リーグの顔として売り出すが、そのためにキットは憤慨する。この姉妹間の対立は激しくなり、その結果、キットはラシーン・ベルズにトレードされることになった。

ピーチズはリーグ最高の成績でシーズンを終え、ワールドシリーズへの出場権を得る。監督のジミーはベティに夫が太平洋戦線で戦死したことを知らせる電報を渡し、悲しみに打ちひしがれた彼女はチームを去る。その夜、負傷して陸軍を除隊した夫のボブが現れ、ドティは驚く。ジミーは、ドティがボブと一緒にオレゴンに戻ることを知る。ワールドシリーズに出場するよう彼女を説得出来なかったジミーは、ドティに自分の決断を後悔することになるだろうと言う。

ピーチズのワールドシリーズの相手はベルズで、勝負は最終第7戦までもつれ込む。ドティは第7戦でピーチズに復帰し、キットはベルズの先発投手となる。9回表、ベルズ1点リードの中、ドティが逆転打を放つ。キットは取り乱すが、9回裏2死で打席に立ち、名誉挽回の機会を得る。彼女はヒットを打ち、三塁コーチの制止を無視して、本塁上で姉のドティを倒し落球させ、サヨナラ・ホームインする。

満員の観衆はローウェンスティーンにオーナーとしての支援を与えるようハーヴィーを説得する。試合後、姉妹は和解し、ドティはボブと一緒にオレゴンへ向かう。

場面は現在に戻り、ドティはキットなどの元選手や、カパディーノ、ローウェンスティーンと再会する。彼女はジミーが1987年に亡くなったことを知る。存命のピーチズの元選手たちはイヴリンのチームソングを歌い、写真を撮る。エンドロールでは、彼女たちがダブルデイ球場で野球をするのが映る。

キャスト 編集

役名俳優日本語吹替
ソフト版日本テレビ
ジミー・デューガン(監督)トム・ハンクス大塚芳忠安原義人
ドティ・ヒンソン(捕手)ジーナ・デイヴィス高島雅羅塩田朋子
キット・ケラー(投手)ロリ・ペティ佐々木優子篠原恵美
メイ・モーダビート(中堅手)マドンナ深見梨加戸田恵子
ドリス・マーフィ(三塁手)ロージー・オドネル塩田朋子小宮和枝
マーラ・フーチ(二塁手)ミーガン・カヴァナー吉田美保喜田あゆみ
ベティ・ホーン(左翼手)トレイシー・ライナー伊倉一恵土井美加
エヴリン・ガードナー(右翼手)ビティ・シュラム叶木翔子高島雅羅
シャーリー・ベイカー(左翼手)アン・キューザック紗ゆり
ヘレン・ヘイリーアン(一塁手)アン・ラムゼイ佐藤しのぶ日野由利加
エレン・スー・ゴッドランダー(遊撃手、投手)フレディ・シンプソン松井菜桜子
アリス・ギャスパーズ(左翼手、控え捕手)ルネ・コールマン種田文子
ミス・カスバートポーリン・ブレイスフォード巴菁子さとうあい
アイラ・ローウェンスティーンデヴィッド・ストラザーン有本欽隆小川真司
ウォルター・ハーヴェイゲイリー・マーシャル筈見純坂口芳貞
アーニー・キャパディーノジョン・ロヴィッツ塚田正昭麦人
ボブ・ヒンソンビル・プルマン小室正幸田中正彦
チャーリー・コリンズドン・S・デイヴィス福田信昭
ラシーンの一塁手ティア・レオーニ
その他の出演N/A金野恵子
野沢由香里
大谷育江
宮寺智子
西村知道
長島雄一
宝亀克寿
秋元羊介
辻親八
星野充昭
寺内よりえ
神谷和夫
伊藤和晃
岩坪理江
大黒和広
棚田恵美子
永堀美穂
大坂史子
津村まこと
岡野浩介
日本語版制作スタッフ
翻訳たかしまちせこ
演出蕨南勝之
調整栗林秀年
効果山本洋平

評価 編集

キャストのパフォーマンスが称賛され、批評家から好評を得た[2][3][4][5][6]レビュー・アグリゲーターRotten Tomatoesでは79件のレビューで支持率は81%、平均点は7.00/10となった[7]Metacriticでは21件のレビューを基に加重平均値が69/100となった[8]

製作エピソード 編集

スピンオフ 編集

1993年にスピンオフのドラマ『プリティ・リーグ (1993年のテレビドラマ)英語版』が制作された[10]

2022年にリブートとなるドラマ『プリティ・リーグ (2022年のテレビドラマ)英語版』が制作され、Amazon Prime Videoで配信された[11]。なお、シーズン2の製作も予定されていたが、全米脚本家組合並びに俳優組合(SAG-AFTRA)によるストライキの影響で2023年8月に中止となった[12]

脚注 編集

  1. ^ a b A League of Their Own” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年4月26日閲覧。
  2. ^ Kronke, David (1992年7月2日). “Penny Marshall pitches 'League of Their Own' agenda”. The Dispatch. Los Angeles Daily News (Lexington, NC): p. 4C. オリジナルの2021年5月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210515032546/https://news.google.com/newspapers?id=o-cbAAAAIBAJ&pg=6788%2C211871 2013年10月1日閲覧。 
  3. ^ White, Sue (2011年10月26日). “'A League of Their Own' brings former ballplayer to the Riverside Saginaw Film Festival”. MLive. 2021年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月1日閲覧。
  4. ^ Sidewater, Nancy (April 23, 2004). “DVD Q&A – Penny Marshall”. Entertainment Weekly (Entertainment Weekly Inc.) (761). オリジナルのOctober 4, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131004213526/http://www.ew.com/ew/article/0,,611682,00.html 2013年10月1日閲覧。. 
  5. ^ “A League of Their Own”. Fort-Worth Star-Telegram. (1992年6月30日). オリジナルの2018年9月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180930115724/http://nl.newsbank.com/nl-search/we/Archives?p_product=ST&s_site=dfw&p_multi=ST&p_theme=realcities&p_action=search&p_maxdocs=200&p_topdoc=1&p_text_direct-0=0EAF8E8AD889912E&p_field_direct-0=document_id&p_perpage=10&p_sort=YMD_date:D 2013年4月17日閲覧。 ( 要購読契約)
  6. ^ Rachlin, Jill (February 12, 1993). “A League of Their Own Review | Reviews and News”. Entertainment Weekly (Entertainment Weekly, Inc.) (157). オリジナルのOctober 4, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131004215406/http://www.ew.com/ew/article/0,,20207890,00.html 2021年10月1日閲覧。. 
  7. ^ A League of Their Own (1992)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月18日閲覧。
  8. ^ A League of Their Own (1992) Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年9月18日閲覧。
  9. ^ 鉄人ノンフィクション編集部『映画になった奇跡の実話』
  10. ^ TVguide.com. “A League of Their Own”. TV Guide. 2012年9月5日閲覧。
  11. ^ ドラマ『プリティ・リーグ』感想(ネタバレ)”. シネマンドレイク (2022年8月17日). 2022年9月18日閲覧。
  12. ^ アマプラ「プリティ・リーグ」がキャンセル ハリウッドのストライキが影響か?”. 映画.com (2023年8月22日). 2023年8月22日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集