猫ニキビを治療する方法

猫のあごの周りに黒く小さなゴマ粒のようなものが見られたら、それは猫ニキビ（ざ瘡）かもしれません。猫ニキビは、猫の年齢や種類に関係なくどの猫にも発症しますが、年齢の高い猫にできやすいと言われています。はっきりとした原因は解明されていませんが、ストレス、免疫力の低下、不適切なグルーミング、他の皮膚の問題などが引き金になると考えられています。^{[1]X出典文献}大抵の場合は軽い症状ですみますが、猫に不快感を与えることがあり、特に細菌感染を起こしている場合は痒み、痛み、腫れを伴うこともあります。軽い症状であれば、家庭でもできる治療法があります。

パート 1

パート 1 の 3:

猫ニキビの確認

PDF形式でダウンロード

1
ゴマ粒のような小さな黒い点を探す　猫ニキビは通常あごの周りに現れ、黒色で小さく硬いゴマ粒のように見えます。猫のあごに触れると、皮膚がザラザラとしているはずです。^{[2]X出典文献}
- 猫ニキビは一般的にあごにできますが、唇の上に発生する場合もあります。
2
猫ニキビの考えられる原因を知る　猫ニキビの明確な原因は分かっていませんが、グルーミングの減少、あごに付着した食べ物、加齢による免疫力の低下など、発症の引き金となるいくつかの要因があります。猫ニキビは大抵の場合は軽症ですみますが、細菌感染が起こると痛みや痒みを伴います。^{[3]X出典文献}
- 猫ニキビは、脂腺で分泌された皮脂が毛穴に詰まっている状態です。そのため、毛包が膨らんで皮膚が盛り上がって見えることがあります。
3
患部の細菌感染を調べる　細菌感染が起こると患部がさらに腫れてあごが肥大します。そのため、猫のあごが突き出ているように見えるかもしれません。また、それぞれのざ瘡から水っぽい、または臭いを伴う血のにじんだ膿のような分泌物が見られる場合があります。^{[4]X出典文献}
- 細菌感染は潰れたざ瘡や詰まった皮脂に、細菌が繁殖して起こります。こうなると、患部に痛みが伴うため、直ちに治療する必要があります。猫は感染した患部をさらに擦り、症状を悪化させてしまいます。
4
あごが硬くゴワゴワとしていないか調べる　飼い猫に繰り返し猫ニキビが現れる場合は、毛包に深刻なダメージをもたらす場合があります。瘢痕組織（傷が治癒して盛り上がった組織）ができ、あごには被毛が生えずに硬くゴワゴワとした状態になります。
- 飼い猫の皮膚がゴワゴワとしている、または硬くなっている場合は、医師の診察を受けましょう。食物アレルギーや腫瘍などの他の原因で皮膚が硬くなることもあり、その場合も治療が必要です。^{[5]X出典文献}^{[6]X出典文献}
広告

パート 2

パート 2 の 3:

猫ニキビの診断

PDF形式でダウンロード

1
獣医師の診察を受ける　猫ニキビを発症していても元気な場合は、おそらく消毒液で患部を拭いて清潔に保つように言われるでしょう。希釈したクロルヘキシジンなどの消毒液を使い、様子を見るように指示されるかもしれません。しかし、患部に傷み、腫れ、または細菌感染がある場合は、病状の検査とネコの全般的な健康診断が行われるかもしれません。^{[7]X出典文献}
- 免疫力の低下で猫ニキビ（軽症および重篤）が発症することもあります。血液を採取して貧血の検査をされるかもしれません。この検査で白血球の数値が判明し、内臓の状態も把握できます。
2
寄生虫の検査をする　毛包虫（ニキビダニ）などの寄生虫が猫の毛包に寄生していないかを調べる場合があります。毛包虫が寄生していると、猫ニキビに似た症状が現れます。^{[8]X信頼性の高い出典文献American Society for the Prevention of Cruelty to Animals出典を見る}毛包虫の検査では、潰れていないざ瘡から内容物を押し出し、スライドに載せて顕微鏡で寄生虫の有無を調べます。
- 寄生虫が見つかったら、獣医師に薬用のシャンプー、沐浴剤、スプレーなどを勧められる場合があります。
3
他の感染症を調べる　白癬などの他の感染症の有無を検査されるかもしれません。白癬は、皮膚に炎症や痛みを引き起こす感染症です。この検査は、殺菌済みの綿棒またはブラシを皮膚に擦りつけ、皮膚の表面から検体を採取して行います。採取した検体を培地に接種して培養し、白癬の原因となる真菌の有無を調べます。^{[9]X信頼性の高い出典文献American Society for the Prevention of Cruelty to Animals出典を見る}
- 培養検査をすると細菌の種類が判明するだけでなく、感染症の治療に用いる抗生物質を決めることができます。
4
組織検体を検査機関に送付する　猫ニキビの確定診断には、生体組織検査を行います。この検査をするには、患部から組織を小さく切り取って検体を採取します。そして、検体は病理医に送られ検査と診断が行われます。^{[10]X信頼性の高い出典文献American Society for the Prevention of Cruelty to Animals出典を見る}
- この検査ではまた、ダニ（皮膚内に潜り込んで猫ニキビと似た症状を起こす）、癌、または好酸球性肉芽腫と呼ばれる免疫性炎症疾患などの病因を除外できます。
5
治療は必ずしも必要ではないことを理解する　猫ニキビは、治療の必要がない場合もあります。飼い猫に1、2個のニキビ（黒い点）しかなく不快感がないようであれば、家庭で処置することができます。その場合は、患部を優しく洗浄し、食事後に口の周りをきれいに保ちましょう。^{[11]X出典文献}
- 過去に、猫ニキビが細菌感染を起こしたことがある場合は、獣医師による治療を受けるのが賢明です。
広告

パート 3

パート 3 の 3:

猫ニキビの治療

PDF形式でダウンロード

1
細菌感染のない箇所をを洗浄する　飼い猫にざ瘡があっても細菌感染を起こしていない場合は、ざ瘡を洗浄するだけで十分です。クロルヘキシジンなどの医薬用殺菌剤を使って患部を洗浄します。クロルヘキシジンはピンク色の濃縮タイプの殺菌剤で、5mlに対し水100mlで希釈します。コットンにクロルヘキシジン液を浸み込ませ、患部を1日2回拭きましょう。患部の様子を観察し、症状が悪化している場合は、獣医師の診察を受けましょう。^{[12]X出典文献}
- クロルヘキシジンは猫に無害で刺激もないため、猫ニキビの治療に適しています。細菌が付着した皮膚を洗浄し、毛包で増殖するのを防ぎます。
2
毛包洗浄作用のあるシャンプーを使う　猫のあごを洗浄するには、コットンを水で湿らせて過酸化ベンゾイル配合のシャンプーを1滴垂らします。そして、コットンであごを拭って5分間そのままおきます。その後、清潔なフランネル生地に水を浸してすすぎましょう。猫の体全体に使う場合は、シャンプーを希釈して濡れた被毛に擦り込み、お湯でよくすすぎましょう。この処置を午前と夕方に行います。皮膚に赤みや痛みが発生したら、治まるまで治療を中止します。その後、シャンプーをさらに薄く希釈して治療を再開しましょう。
- 過酸化ベンゾイルが配合されたペット用シャンプーは、猫ニキビの治療に効果的です。過酸化ベンゾイルが毛包に浸透して洗浄し、細菌を滅菌します。また、猫ニキビの原因となる余分な皮脂も除去します。^{[13]X出典文献}
3
患部に温湿布を施す　塩を溶かしたお湯をコットンに浸して温湿布を作ります。まず、お湯を沸騰させて小さじ1杯の塩を溶かし、体温より少し高めの温度まで冷まします。そして、コットンをお湯に浸して余分な水分を絞り、猫のあごに5分間当てましょう。ざ瘡が潰れるか小さくなるまで、この処置を1日に2、3回行います。
- 温湿布はざ瘡を小さくしたり、潰したりする効果があり、皮膚の不快感の原因となる毛包への圧力が減少されます。
4
獣医師の指示に従って抗生物質を投与する　皮膚の表面の細菌を殺すために、経口抗生物質を処方される場合があります。ざ瘡が治癒した後、さらに最低1週間、獣医師が処方した服用量を経口投与します。猫ニキビに処方される一般的な抗生物質は次のとおりです。
- セファレキシン：β-ラクタム系の第一世代の抗生物質で、細菌の細胞壁の成長を阻害して殺菌します。一般的に30～50mgを1日2回投与します。体重が5kgの猫であれば、50mgのセファレキシンを1日2回与えます。飼い猫の胃腸が過敏で、抗生物質の服用による嘔吐の心配がある場合は、抗生物質を食べ物と一緒に与えましょう。^{[14]X出典文献Plumbs Veterinary Drug Handbook. Donald Plumb. PharmaVet}
- クリンダマイシン：リンコマイシン系の抗生物質で、細菌の増殖を阻止します。一般的な服用量は、体重1kgに対して5～10mgを1日2回、または総投与量を一度に与えます。例えば、体重が5kgの猫であれば、25mgのカプセルを1日2回投与します。この抗生物質は、空腹時に服用するとさらに効果的です。
- アモキシリン・クラブラン酸カリウム合剤：この抗生物質は、細菌の代謝と細胞壁の合成を阻害します。服用量は体重5kgに対して50mgです。猫の体重が5kgであれば、50mgを1日に2回投与します。食事に関係なくいつでも投与できます。
5
猫ニキビを予防する　年齢の高い猫に猫ニキビが発生しやすいとされていますが（おそらく関節炎のためにグルーミングが困難で、あごに付いた食べ物を落とせないため）、ニキビの発生を抑える方法はあります。飼い猫が過去に猫ニキビを患ったことがある場合、食事後に湿った布であごを拭いた後、乾いた布で拭いて乾かします。こうすると、皮脂の蓄積を防ぐとともに、毛包に詰まった食べ物による細菌感染を防止します。^{[15]X出典文献}
- 猫の食器を数日おきに洗い、猫ニキビを引き起こす細菌の増殖を防ぐことも大切です。
広告

ポイント

ジェルタイプやクリームタイプの抗生物質が配合された軟膏は、毛包を詰まらせるため、通常猫ニキビの治療には使用されません。
プラスチックの食器類は、猫ニキビを患っている猫に使ってはいけません。プラスチックの容器には細菌が繁殖しやすいため、症状を悪化させる場合があります。また、プラスチックのアレルギーによって、猫ニキビが誘発されることもあります。金属、ガラス、陶器の食器を使い、頻繁（毎日または1日おき）に洗って細菌の増殖を防ぎましょう。