2015年イギリス総選挙

2015年イギリス総選挙(2015ねんイギリスそうせんきょ、英語: United Kingdom general election, 2015)は、2015年5月7日イギリスで行われた議会庶民院)議員の総選挙である。

2015年イギリス総選挙
United Kingdom general election, 2015
イギリス
2010年 ←
2015年5月7日
→ 2017年

内閣第1次キャメロン第2次改造内閣
解散日2015年3月30日
公示日2015年3月30日
改選数650
選挙制度単純小選挙区制
有権者選挙制度を参照
有権者数46,354,197
選挙後の党派別勢力図

庶民院 全650議席
投票率66.2%(増加 1.1%)
 第1党第2党第3党
 
党首デーヴィッド・キャメロンエド・ミリバンドニコラ・スタージョン
政党保守党労働党スコットランド国民党
党首就任2005年12月6日2010年9月25日2014年11月14日
党首選挙区ウィットニー北ドンカスター不出馬
前回選挙3072586
獲得議席33123256
議席増減増加 24減少 26増加 50
得票数11,334,2269,347,2731,454,436
得票率36.9%30.4%4.7%
得票率増減増加 0.8%増加 1.5%増加 3.1%

 第4党
 
党首ニック・クレッグ
政党自由民主党
党首就任2007年12月18日
党首選挙区シェフィールド・ハラム
前回選挙57
獲得議席8
議席増減減少 49
得票数2,415,916
得票率7.9%
得票率増減減少 15.2%

選挙区別獲得議席

選挙前首相

デーヴィッド・キャメロン
保守党

選出首相

デーヴィッド・キャメロン
保守党

概要 編集

この選挙最大の争点は、イギリスがEU(ヨーロッパ連合)から離脱するかどうかであり、デーヴィッド・キャメロン首相はこの総選挙で再選されれば、2017年までにEU離脱の是非を問う国民投票を実施することを公約した[1]。最大野党イギリス労働党エド・ミリバンド党首は「EUの一員であるべきかどうかを政治のゲームに使うのはイギリスや輸出産業にとって最悪だ」と述べ、政権交代の必要性を訴えた[2]。また、イギリスからの独立を目指すスコットランド国民党が急速に支持を伸ばし、EU離脱を訴えているイギリス独立党も一定の支持を得ている[2]。ただ、BBCの報道では「選挙後に発足する政権の構成が「全く予測不可能」な混戦」になりそうだと伝えられた[3]

キャメロン首相はこの総選挙に勝利すれば、3期目は目指さないとBBCテレビのインタビューに答えている[4]

この選挙は、依頼された候補者や陣営を勝たせることをビジネスとする選挙アドバイザーたちの主戦場ともなった。保守党は「オズの魔法使い」と呼ばれるオーストラリア人のリントン・クロスビー、2012年にオバマ米大統領の選挙対策本部長を務め、再選に導いたインターネット選挙のプロ、ジム・メッシーナを雇った。労働党はオバマの2度の選挙戦で首席アドバイザーを務めたデビッド・アクセルロッドを雇った[5]

スコットランド国民党のM・ブラックが労働党のダグラス・アレクサンダーを下して当選し、1667年以来最年少で下院議員に選出された[6]

選挙データ 編集

内閣 編集

解散日・公示日 編集

  • 2015年3月30日

投票日 編集

  • 2015年5月7日

改選数 編集

  • 650

選挙制度 編集

投票方法
秘密投票、単記投票、1票制
選挙権
18歳以上のイギリス国籍を有する男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で一定の欠格要件(刑務所に服役中など)に該当しない市民で、居住地域の自治体で選挙人登録をした者。
被選挙権
18歳以上のイギリス国籍を有する男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で一定の欠格要件(刑務所に服役中など)に該当しない市民で、居住地域の自治体で選挙人登録をした者。
有権者数
46,354,197


選挙結果 編集

事前の世論調査では、保守党と労働党の支持率は拮抗し、2010年総選挙に引き続いて両党ともに過半数議席を獲れないハング・パーラメントが再現されるのではないかとの見方も強かったが、保守党が過半数326を上回る331議席を獲得する結果となった。5年ぶりの政権交代を目指していた労働党は、スコットランドでSNP(スコットランド国民党)が躍進した影響もあって、232議席と低迷した。保守党と連立政権を組んでいた自由民主党は8議席と、前回選挙より50議席近く減らして惨敗した。スコットランドの地域政党であるSNPは、スコットランドに割り当てられた59議席中56議席を獲得して躍進した[7]。また、イギリス独立党は議席数こそ1議席にとどまったものの、全体の得票率ではそれまでを大幅に上回る12.6%で、保守党・労働党に次ぐ得票を集めた。

現行の選挙制度の下では全議席が小選挙区制となっているため、その地区での少数党は議席をまったく得ることができない。そのため、地域政党は有利な選挙戦を戦える。スコットランドの地域政党であるSNPは2014年スコットランド独立住民投票の勢いから支持を集め、前回の獲得議席と比べ50議席増となっている。

2015年イギリス総選挙2015年5月7日施行)
党派別獲得議席
政党議席数±得票数得票率±
保守党331 2411,334,92036.9 0.8
労働党232 269,347,32630.4 1.5
スコットランド国民党56 501,454,4364.7 3.1
自由民主党8 492,415,8887.9 15.2
民主統一党80184,2600.60.0
シン・フェイン党4 1176,2320.60.0
ブライド・カムリ30181,6940.60.0
社会民主労働党3099,8090.30.0
アルスター統一党2 2114,9350.40.0
イギリス独立党1 13,881,12912.6 9.5
緑の党101,157,6133.8 2.8
同盟党0 161,5560.2 0.1
諸派政党[8]00123,5860.30.0
無所属10164,8260.5 0.3
有効票--30,691,680
無効票・白票--
投票総数650±0100.0
有権者(投票率)--46,354,19766.2
出典:BBC News Election 2015 Results(2015年5月9日閲覧)。

脚注 編集

  1. ^ “研究機関「英はEUに残留し改革実現を」”. NHK. (2015年3月25日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150325/k10010027161000.html 2015年3月30日閲覧。 
  2. ^ a b “英議会下院が解散 選挙戦始まる”. NHK. (2015年3月31日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010033401000.html 2015年4月1日閲覧。 
  3. ^ ロンドン=柳沢亨之 (2015年3月31日). “政権構成「全く予測不可能」…英、選挙戦始まる”. 読売新聞. https://web.archive.org/web/20150402210708/http://www.yomiuri.co.jp/world/20150331-OYT1T50001.html 2015年4月1日閲覧。 
  4. ^ “アングル:英首相「3期目否定」は戦略ミスか、後任レース始動”. 朝日新聞. (2015年3月25日). https://web.archive.org/web/20150924151834/http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN0ML0DD.html 2015年3月30日閲覧。 
  5. ^ “「オズの魔法使い」は奇跡を起こせるか? 再選狙う保守党の選挙プロたち ”. (2015年5月3日). https://www.sankei.com/article/20150503-3QHMMQVZFFLOXIKBH33OW7ZPNQ/ 2015年5月15日閲覧。 
  6. ^ “20歳の女子大生、英最年少議員に 労働党「影の外相」破り当選”. (2015年5月8日). https://www.afpbb.com/articles/-/3047778 2015年5月15日閲覧。 
  7. ^ “保守党、単独過半数確保=キャメロン首相は続投-予想外の大勝・英総選挙”. 時事ドットコム. (2015年5月9日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015050800975 2015年5月9日閲覧。 
  8. ^ 当選者を出せなかった政党については、前回選挙で議席を得た政党を除き「諸派政党」として得票を合算して掲載。