第一東京弁護士会

日本の弁護士会

第一東京弁護士会(だいいちとうきょうべんごしかい)は、東京都にある日本弁護士会の一つである。略称は「一弁」(いちべん)。弁護士会館の11・12・13階に拠点を置く。

第一東京弁護士会
弁護士会館
略称一弁
所在地東京都千代田区霞が関1丁目1-3
弁護士会館11~13階
支部多摩支部
創立1923年5月8日
法人番号4010005003968 ウィキデータを編集
会長寺前隆
会員数
弁護士
(うち女性)
5766[1]
(1185)
外国特別会員137
公式サイト
2020年4月1日現在
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概要 編集

東京弁護士会第二東京弁護士会と並ぶ東京都にある弁護士会。日本弁護士連合会関東弁護士会連合会に所属している。委員会の他、総合法律研究所を設置し、人権の擁護と能力の向上に努めている。

渋谷町田の2か所に公設事務所を設置しているほか、霞が関新宿に東京三弁護士会で共同で運営する法律相談センターを設けている。

歴史 編集

明治末年、東京弁護士会の役員選挙で主流派であった「桃李倶楽部」が母体。1922年の役員選挙がきっかけとなって原嘉道花井卓蔵岸清一らが中心となって1923年5月8日創立。当時の社会的な背景として、東京大学の卒業者等一定の資格を有していた者に無試験で資格を付与することを廃止し、これに代わって試験資格者として高等学校卒業者に限るとの制限を課する高等試験令の改正をきっかけに、それまで行われていた弁護士試験(受験資格として学歴不要)に暫定措置を導入したため、東京弁護士会の弁護士の数が急増し、会内の統一的な意思形成が不可能になったことがあるとされている。

組織 編集

役員 編集

  • 会長は1名。日本弁護士連合会の副会長を兼務する。初代会長は、原嘉道
  • 副会長は5名。
  • 監事は2名。
  • 常議員は46名。

歴代会長

氏名在任期間
原嘉道1923年(大正12年) - 1926年(大正15年)
岸清一1927年(昭和 2年) - 1928年(昭和 3年)
岩田宙造1929年(昭和 4年) - 1930年(昭和 5年)
鵜沢総明1931年(昭和 6年) - 1932年(昭和 7年)
堀江専一郎1933年(昭和 8年) - 1935年(昭和 9年)
平松市蔵1935年(昭和10年) - 1936年(昭和11年)
有馬忠三郎1937年(昭和12年) - 1938年(昭和13年)
山内確三郎1939年(昭和14年) - 1940年(昭和15年)
松本烝治1941年(昭和16年) - 1942年(昭和17年)
名川侃市1943年(昭和18年) - 1944年(昭和19年)
豊原清作1944年(昭和19年) - 1946年(昭和21年)
長谷川太一郎1947年(昭和22年)
島田武夫1947年(昭和22年) - 1948年(昭和23年)
伊勢勝蔵1949年(昭和24年)
井本常作1950年(昭和25年)
木村篤太郎1951年(昭和26年)
山崎佐1951年(昭和26年) - 1952年(昭和27年)
福井盛太1953年(昭和28年)
小林一郎1954年(昭和29年)
小野清一郎1955年(昭和30年)
大山菊治1956年(昭和31年)
酒巻弥三郎1957年(昭和32年)
荻野定一郎1958年(昭和33年)
毛受信雄1959年(昭和34年)
江川六兵衛1960年(昭和35年)
橋本武人1961年(昭和36年)
成富信夫1962年(昭和37年)
阿比留兼吉1963年(昭和38年)
井原邦雄1964年(昭和39年)
秋山賢三1965年(昭和40年)
富田喜作1966年(昭和41年)
横地秋二1967年(昭和42年)
梶谷丈夫1968年(昭和43年)
長野清1969年(昭和44年)
大塚喜一郎1970年(昭和45年)
浅沼澄次1971年(昭和46年)
兼藤栄1972年(昭和47年)
磯部靖1974年(昭和49年)
吉本英雄1975年(昭和50年)
天野憲二1975年(昭和50年)
谷川八郎1976年(昭和51年)
堀田勝二1977年(昭和52年)
入江正男1978年(昭和53年)
小林蝶一1978年(昭和53年)
小屋敏一1979年(昭和54年)
和田良一1980年(昭和55年)
佐藤庄市郎1981年(昭和56年)
設楽敏男1982年(昭和57年)
落合修二1983年(昭和58年)
長野法夫1984年(昭和59年)
竹内桃太郎1985年(昭和60年)
島田徳郎1986年(昭和61年)
岡村勲1987年(昭和62年)
平井博也1988年(昭和63年)
尾崎行信1989年(平成元年)
磯邉和男1990年(平成2年)
松家里明1991年(平成3年)
高橋勇次1992年(平成4年)
梶谷玄1993年(平成5年)
大下慶郎1994年(平成6年)
児玉公男1995年(平成7年)
山崎源三1996年(平成8年)
中川了滋1997年(平成9年)
梶谷剛1998年(平成10年)
竹内洋1999年(平成11年)
城山忠人2000年(平成12年)
丹羽健介2001年(平成13年)
山本孝宏2002年(平成14年)
軍司育雄2003年(平成15年)
東谷隆夫2004年(平成16年)
星徳行2005年(平成17年)
奈良道博2006年(平成18年)
加毛修2007年(平成19年)
村越進2008年(平成20年)
田中等2009年(平成21年)
江藤洋一2010年(平成22年)
木津川迪洽2011年(平成23年)
樋口一夫2012年(平成24年)
横溝髙至2013年(平成25年)
神洋明2014年(平成26年)
岡正晶2015年(平成27年)
小田修司2016年(平成28年)
澤野正明2017年(平成29年)
若林茂雄2018年(平成30年)
佐藤順哉2019年(平成31年)
若林茂雄2019年(平成31年)
寺前隆2020年(令和2年)

委員会・協議会 編集

60余りの委員会・協議会がある。

  • 資格審査会
  • 懲戒委員会
  • 綱紀委員会
  • 紛議調停委員会
  • 経理委員会
  • 弁護士推薦委員会
  • 人権擁護委員会
  • 司法制度調査委員会
  • 司法修習委員会
  • 刑事弁護委員会 
  • 弁護士業務改革委員会
    • 第1部会(税務)
    • 第2部会(カード相談)
    • 第3部会(業務拡充・拡大)
    • 第4部会(業務推進)
    • 第5部会(中小企業)
    • 第6部会(コンピュータ)
    • 第7部会(遺言センター)
    • 第8部会(23条照会)
    • 第10部会(国際関係)
  • 法曹人口等研究委員会
  • 若手会員委員会

総合法律研究所 編集

総合法律研究所は11部会に分かれている[2]

  • 倒産法部会
  • 会社法部会
  • 遺言信託法部会
  • 知的所有権法会
  • 金融商品取引法研究部会
  • 行政法研究部会
  • 租税訴訟実務研究部会
  • CSR(企業の社会的責任)研究部会
  • スポーツ法学研究部会
  • 中国法研究部会
  • 現代中近東法研究部会

会報 編集

  • 「ICHIBEN Bulletin」毎月1回発行。
  • 「いちべんNOW&Future」

支部 編集

多摩支部がある。

意見表明 編集

グーグルマップ改竄事件を受けて岡正晶会長は、被害にあった法律事務所所属の弁護士が同弁護士会に所属しているとした上で、「この弁護士に対しては、他にも、インターネット上での誹謗中傷、危害を加える旨の告知、その他種々の嫌がらせ(業務妨害行為)が続いており、過去に逮捕者も出ている」と状況を説明した。その上で東京第一弁護士会は「弁護士に対するこの種の業務妨害行為は、弁護士制度に対する重大な挑戦であり、当会は断固抗議する」と表明した[3][4][5]

なお、該当弁護士を巡っては2023年にも弁護士や所属法律事務所を名乗った架空請求爆破予告のメールなどが日本や大韓民国(韓国)で相次いでいるため、東京第一弁護士会が注意を呼び掛ける声明を同年7月に発表している[6][7][8][9]

参考文献 編集

  • 『われらの弁護士会史』(第一東京弁護士会、1971年)
  • 『新訂われらの弁護士会史』(第一東京弁護士会、2003年)

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ 弁護士会別会員数”. 日本弁護士連合会. 2020年5月2日閲覧。
  2. ^ 総合法律研究所
  3. ^ “「弁護士への業務妨害に断固抗議する」弁護士会が「グーグルマップ改ざん事件」で声明”. 弁護士ドットコム. (2015年12月2日). https://www.bengo4.com/internet/n_4016/ 2017年3月27日閲覧。 
  4. ^ 岡正晶『弁護士業務妨害に対する会長声明』(プレスリリース)第一東京弁護士会、2015年12月2日http://www.ichiben.or.jp/opinion/opinion2015/post_308.html2017年3月27日閲覧 
  5. ^ “Googleマップへのいたずらなど弁護士への業務妨害について第一東京弁護士会が声明”. ねとらぼ (ITmedia). (2015年12月3日). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/03/news075.html 2015年12月12日閲覧。 
  6. ^ 実在の法律事務所や弁護士名を騙った不審な連絡にご注意ください”. 第一東京弁護士会 (2023年7月6日). 2023年8月10日閲覧。
  7. ^ 「韓国野党代表殺害脅迫」電子メールに日本の法律事務所のアカウント使用…「盗用注意」”. 中央日報 (2023年8月9日). 2023年8月10日閲覧。
  8. ^ 桜井紀雄 (2023年8月9日). “「野党代表殺害せよ」日本の弁護士名で脅迫メール、ソウル市の公務員らに アカウント盗用とみて捜査”. 産経新聞. 2023年8月10日閲覧。
  9. ^ TBSテレビ (2023年8月9日). “韓国で日本大使館などを「爆破する」との脅迫メール メールは日本のアカウントから送信か 韓国警察”. TBS NEWS DIG. 2023年8月10日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集