科学救助隊テクノボイジャー

科学救助隊テクノボイジャー』(かがくきゅうじょたいテクノボイジャー、TechnoBoyger)は、1982年4月17日から9月11日まで、フジテレビ系列(一部除く)で放送されたテレビアニメ。全18話で、日本未放送回が6話ある[1]

科学救助隊テクノボイジャー
Thunderbirds 2086
アニメ
原作サンダーバード
監督長谷川康雄
キャラクターデザイン早田光茂、宇田川一彦
メカニックデザイン青井邦夫、石津泰志
音楽羽田健太郎
アニメーション制作グリーン・ボックスAIC
製作フジテレビ、じんプロダクション
放送局フジテレビ系列
放送期間1982年4月17日 - 9月11日
話数全18話
その他日本での未放送回が6話ある。
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

概要

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日本国外版のタイトルは『Thunderbirds 2086』。そのタイトルの示す通り、『サンダーバード』のリメイクのような特撮人形劇として企画され[1]、パイロット版アニメを制作しスポンサーを募った。パイロット版では金田伊功がレイアウトを担当し、当時スタジオ・ライブに所属していたわたなべひろし西島克彦が原画を担当した。わたなべと西島はこのことを紹介した『アニメージュ』の記事中で「大ファンだった金田さんのレイアウトで原画を担当できたのは嬉しかった」とコメントしていた。

しかしスポンサーがポピーに決定した際、メインメカであるTB-1号〜5号のデザインはポピー側案に一新され、キャラクター設定も見直されたためパイロット版の本編転用は不可能となり、本編制作スタッフは総入れ替えとなった。

また直前のサンダーバード再放送の視聴率が悪く、この時ポピーから発売された玩具(ポピニカ)があまり売れなかったために、問屋、小売がサンダーバード商品を嫌がった。そのため、サンダーバードの名前を国内で使用することに難色を示しタイトルが変更された。国外放送版との兼ね合いもあってか「TB」という短縮名称に合う形の名称を考案した結果、Techno+Boy+Voyagerの造語で「TechnoBoyger」となっている。他のタイトル案として「テキサスボンバー (TexasBomber)」も挙がっていたという。

本家「サンダーバード」とは異なり主人公チームは家族ではなく組織の仲間として描かれている。組織名「IRO」に因み、「了解」の際は「アイロス!」と応える。

第10話「恐怖のSOS細胞」は、本作品の監修を務めていた石黒昇率いるアートランドグロス請けとして制作を担当しており、ゲストキャラデザインと作画は当時まだ無名だった美樹本晴彦が手がけた。この回のゲストキャラである女性科学者・花岡咲子の髪型は、後の『超時空要塞マクロス』のヒロイン・早瀬未沙の特徴だった通称“デンデン虫ヘア”に先駆けており、このことは『マクロス』の放送開始後にアニメ雑誌で話題とされた。

本放送時は他局番組が強い時間帯だったため人気が伸び悩み、2クールに達しない全18話で打ち切られたが、国外セールス対応のため日本未放送6話を追加製作し現在では全24話扱いとなっている。追加エピソードは国外要望が反映され宇宙題材が多く、UFO地球外知的生命が登場する。後に日本国内でも『Thunderbirds 2086』のタイトルで国外版がビデオ化された。なお、日本で放送されたものとは内容がかなり改変されている。

ポピーからは、TB-1号・2号・3号のセットで合体が再現できる「ポピニカ DXテクノボイジャー」他、多数の玩具が発売される予定だったが、番組が打ち切られたことで全て中止され未発売となった[2]

2014年8月27日にはバンダイビジュアルからDVD-BOXが発売。上述の未放送6話分やパイロットフィルム、最終回(第24話)のβ版も収録された。ジャケットデザインは越智一裕が担当。

上記のDXポピニカ発売中止に伴い本作品のメカニックモデル(完成玩具、プラモデルなど)が市場販売されることはなかったが、放映より40年を経過した2023年GOOD SMILE COMPANY社の「MODEROID」シリーズより「MODEROID テクノボイジャー」としてTB-1号・2号・3号のセットで組み立てキットの発売決定が発表され[3]同年9月9日に発売[1]。当番組キャラクター初の市販キットとなった。

ストーリー

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西暦2066年、科学文明が高度に発展した地球圏では、その弊害として大事故・凶悪犯罪・自然破壊などが増加していた。世界連邦はこれらに対処すべく国際救助機構「IRO」と科学救助隊テクノボイジャーを設立。世界中から選び抜かれたエキスパート5人が17機のマシンを操り、人類の危機を救うため出動する。

登場人物

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火鷹 雷児
- 武岡淳一
TB-1号のパイロット[1]。18歳。危険を顧みず独断行動する勇敢な青年。
サミー・エドキンス・ジュニア
声 - 中尾隆聖
TB-2号のパイロット[1]。20歳。陽気な黒人で、元NFLのスター選手。
エリック・ジョーンズ
声 - 富山敬
TB-2号のナビゲーター[1]。20歳。ケンブリッジ大学首席卒業のハンサムな英国紳士。
グラン・ハンセン
声 - 青野武
TB-3号のパイロット[1]。28歳。巨漢だが冷静沈着。チーフとして隊員の信頼を集めている。離婚した妻との間に幼い娘を持つ[1]
キャサリン・ヘイワード
声 - 伊藤真奈美
TB-4号のパイロットだが、TB-1号のパイロットを務めることもある[1]。18歳。海洋学の権威である父がいる[1]。ブロンド美人だが、男勝りの優秀な隊員。スレンダーなナイスバディが魅了で、第2話と第8話ではビキニの水着姿を披露した。
ジェラード・シンプソン
声 - 小林清志
科学救助隊の総司令官[1]。優秀な科学者・軍人。
ポール
声 - 丸山裕子
マスコットボーイ的な少年。6歳。腕白でメカに詳しく、隊員に可愛がられている。

登場メカ

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TB-1号~6号がメインメカで、7号~17号はそれらに搭載される支援メカである。ただしメインメカ中、TB-5のみコンテナで運ぶ。TB-1号・2号・3号は合体して長距離宇宙船・テクノボイジャーとなり、火星軌道までの往復が可能となる(TB-1号,2号,3号はTB-6号,17号に搭載される)。

諸元
TB-1号
全長62m[1]
速度マッハ5[1]
TB-1号
初期救助用の高速偵察ロケット[1]。大気圏内外を自由に飛行する。1万度の高温に耐える機体とフェザー砲、大型マジックハンドを武器に持つ[1]サンダーバード1号に相当。同機とは異なり、水平離陸する。合体時は機首下を左右に開き、2号を挟む形になる。
諸元
TB-2号
全長83m[1]
TB-2号
大型宇宙ロケットで、コンテナを機体後部に備える輸送機[1]。コクピットはテクノボイジャーの合体時にも使用される[1]。四方に4基のエンジンブロックを展開して大型コンテナを運ぶことも可能だが、その際はテクノボイジャーの合体が不可能となる[1]。ブースター付きで衛星軌道まで上昇可能。サンダーバード2号に相当。同機とは異なり、垂直離陸する。
諸元
TB-3号
全長46m[1]
重量90t
TB-3号
地上専用大型輸送車[1]。分析装置や透視装置を搭載している移動基地のような役割も持つ[1]。戦車並みの装甲を持ち、短時間ならば飛行も可能。テクノボイジャーの合体時や飛行時にはタイヤが収納される[1]。さらに連結バーを展張させ左右に分離する他、後部カバーと車輪がスライド移動して中腹部が開口するギミックを有する。
諸元
TB-4号
全長45m[1]
速度50ノット
TB-4号
多機能潜水艦[1]。救助作業艦(Aパーツ)と巡航戦闘艦(Bパーツ)が合体する設定だが、本編では分離しない。サンダーバード4号に相当。IRO基地底部より直接発進する。
TB-5号
地上用特殊作業車[1]。頑丈な車体に障害物粉砕用のドリル、大型ハッチを側面に備える[1]。ジェットモグラに相当。TB-2号コンテナに搭載空輸される。
諸元
TB-6号
全長3.4km
TB-6号
スペースターミナル[1]。テクノボイジャーの中継基地で、地球全域を監視する。サンダーバード5号に相当。
TB-7号
一人乗りの高速連絡機[1]。伸縮式の機体と可変式の後退翼を備える[1]。TB-1号,2号に搭載されている。
TB-8号
悪路走破用のエアーダンプ[1]。ドーザーショベルと後部に危険物を積載するバケットを備える[1]。TB-1号に搭載されている。
TB-9号
一人乗りの機動性に優れる宇宙作業用ビークル[1]。リモコン操作も可能で宇宙空間での船体修復などに使用される。TB-2号,3号に搭載されている。
TB-10号
TB-2号に搭載される高速連絡ロケット[1]。高速時には超高速ブースター4基を展開する。TB-2号,6号,17号に搭載されている他、基地から直接発進も行われる。
TB-11号
TB-3号に搭載される地上用高速連絡車[1]。悪路でも時速300km以上で疾走する。本編未登場。
TB-12号
TB-3号に搭載される万能作業車[1]。安定用の補助輪を後部に、ショベルを前部に備え、アームで平たい車体上部をリフトできる[1]。高速エレベーターカーとジェットブルドーザーに相当。TB-1号,3号に搭載されている。
TB-13号
「サブマリン」とも呼ばれるTB-4号に搭載される一人乗りの小型高速潜水艇[1]。飛行能力も有し、固定用吸着アームを備える[1]。水中速度100ノット以上。
TB-14号
TB-4号に搭載される深海特殊作業艇[1]。海底に接地する際の脚とマジックハンドを装備する[1]。深度20,000mまで潜行可能。OPにのみ登場。
TB-15号
TB-5号に搭載される情報収集車[1]。上部が分離して無人探査機となる[1]。本編ではTB-3号に搭載されて登場した。
TB-16号
TB-5号に搭載される無人地底車[1]。前部のドリルで地中進行も可能。本編ではTB-3号に搭載されて登場した。
TB-17号
外宇宙進出用の宇宙空間用超遠距離救助ロケット[1]。高速プラズマエンジンで亜光速航行できる。本編ではスーパーブースターと合体できる。
突入カプセル
救出カプセルとも呼ばれる。TB-1号,3号に搭載されている。
リニア・サーフボード
自動で隊員の元に飛来する浮遊式のサーフボードで、TBメカへの搭乗時に使用される[1]

スタッフ

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主題歌

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オープニングテーマ - 「テクノボイジャー」
作詞 - 伊達歩 / 作曲・編曲 - 馬飼野康二 / 歌 - ハーリー木村 / レーベル - 日本コロムビア
エンディングテーマ - 「宇宙はひとつ」
作詞 - 伊達歩 / 作曲・編曲 - 馬飼野康二 / 歌 - ハーリー木村 / レーベル - 日本コロムビア

各話リスト

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話数放送日サブタイトル脚本演出
11982年
4月17日
TB発進・地球を救え!!加瀬高之長谷川康雄
24月24日アルル島に急行せよ!秋山勝仁
35月1日スペースコロニーの友情吉岡一夫又野弘道
45月8日超重力!! 宇宙ステーション石森史朗笠原達也
55月15日マグマの海からの脱出中原朗長谷川康雄
65月29日大森林に燃える命を救え!秋山勝仁
76月5日TB1号.死と対決!吉岡一夫小沢範久
86月12日粉砕! 地球乗っとり計画加瀬高之山寺昭夫
96月19日消えた月面都市中原朗笠原達也
107月3日恐怖のSOS細胞吉岡一夫石黒昇
117月10日宇宙ホスピタルの謎久保田圭司秋山勝仁
127月17日アルプスの大惨事!!吉岡一夫又野弘道
137月24日悪魔の難破船中原朗笠原達也
147月31日天駆けるエアポート石黒昇、石森史朗
首藤剛志(アイデア)
又野弘道
158月14日還ってきたスペースシップ中原朗笠原達也
168月28日脱獄のスペースチェイス!山寺昭夫
179月4日危うし! 惑星探査船吉岡一夫長谷川康雄
189月11日激流・ナイアガラの死闘!久保田圭司腰繁男
19日本未放送海の生命よ永遠に--
20ドロイド無人都市
21脱出! 危機のクリュセイス
22還れないU.F.O.
23眠りから覚めた奴ら
24海王星の試練

放送局

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放送系列は放送当時、放送日時は個別に出典が掲示してあるものを除き、1982年8月中旬 - 9月上旬時点のものとする[4]

放送対象地域放送局放送日時放送系列備考
関東広域圏フジテレビ土曜 19:30 - 20:00フジテレビ系列製作局
北海道北海道文化放送
秋田県秋田テレビ
山形県山形テレビ[5]
宮城県仙台放送[5]
長野県長野放送
静岡県テレビ静岡
富山県富山テレビ
石川県石川テレビ
福井県福井テレビ
中京広域圏東海テレビ
近畿広域圏関西テレビ
島根県鳥取県山陰中央テレビ
岡山県・香川県岡山放送
広島県テレビ新広島
愛媛県愛媛放送現・テレビ愛媛。
福岡県テレビ西日本
佐賀県サガテレビ
長崎県テレビ長崎フジテレビ系列
日本テレビ系列
熊本県テレビ熊本フジテレビ系列
テレビ朝日系列
宮崎県テレビ宮崎フジテレビ系列
日本テレビ系列
テレビ朝日系列
沖縄県沖縄テレビフジテレビ系列
福島県福島テレビ木曜 16:50 - 17:20[6]TBS系列
フジテレビ系列
新潟県新潟総合テレビ土曜 17:55 - 18:25フジテレビ系列
テレビ朝日系列
現・NST新潟総合テレビ。
鹿児島県鹿児島テレビ金曜 17:30 - 18:00フジテレビ系列
日本テレビ系列
テレビ朝日系列

パイロット版スタッフ

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CS局での放送

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2005年にはAT-Xで、全18話が放送された。ホームドラマチャンネルでは、2008年に、日本での未放送6話分を含む全24話が放送されている。2022年2月にはスター・チャンネルで全24話の放送が予定された[7]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at フィギュア王300 2023, pp. 98–103, 「40年の時を超えてMODEROID発売決定! 『科学救助隊テクノボイジャー』設定集」
  2. ^ 「超合金・ポピニカ大図鑑」(グリーンアロー出版社)149頁 1997年
  3. ^ MODEROID テクノボイジャー”. www.goodsmile.info. 2023年2月2日閲覧。
  4. ^ 「全国放映リスト」『アニメージュ』1982年9月号、徳間書店、96 - 97頁。 
  5. ^ a b 『河北新報』1982年4月17日付朝刊、テレビ欄。
  6. ^ 『福島民報』1982年6月3日付朝刊、テレビ欄。
  7. ^ 科学救助隊テクノボイジャー #1|映画・海外ドラマのスターチャンネル[BS10]”. 2021年12月23日閲覧。

参考文献

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  • 『フィギュア王』No.300、ワールドフォトプレス、2023年2月28日、ISBN 978-4-8465-3289-5 
フジテレビ系列 土曜19:30 - 20:00
前番組番組名次番組
映像クイズ・ア!知ッテレビジョン
(1981年10月10日 - 1982年3月27日)
【30分繰り上げて改題】
科学救助隊テクノボイジャー
(1982年4月17日 - 9月11日)
【当番組よりアニメ枠
ぼくパタリロ!
(1982年10月9日 - 1983年3月26日)
木曜19:00枠から改題移動】