新鍋理沙

日本の女性バレーボール選手

新鍋 理沙(しんなべ りさ、女性、1990年7月11日 - )は、日本の元バレーボール選手[1][2]。2019-20シーズンまでV.LEAGUE DIVISION1の久光製薬スプリングス(現・久光スプリングス)に所属していた。

新鍋 理沙
Risa Shinnabe
基本情報
国籍日本の旗 日本
生年月日 (1990-07-11) 1990年7月11日(33歳)
出身地鹿児島県姶良郡福山町(現・霧島市
ラテン文字Risa Shinnabe
身長173cm
体重64kg
血液型B型
選手情報
愛称リサ
ポジションOH
指高225cm
利き手
スパイク295cm
ブロック287cm
獲得メダル
日本の旗 日本
オリンピック
2012 ロンドン女子バレーボール
グラチャン
2013女子バレーボール
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来歴

鹿児島県霧島市出身[3]。両親がバレーボールをしていた影響で、小学校1年生からバレーボールを始める[3]。中学時代の同級生には2020年東京オリンピック柔道女子78㎏級金メダリストの濱田尚里がいる[4]

鹿屋中央高等学校では2006年インターハイ優勝、2007年春高バレーベスト4などを経験し、2008年11月、久光製薬スプリングスの内定選手となる[5]

2009年、高卒1年目のプレミアリーグ2009-2010シーズンは、わずか2セットの出場に終わった[注 1]

2010年、オフシーズンにチームの主力選手の引退や退団が重なったこともあり、2年目の2010-2011シーズンは開幕からスタメンで出場。開幕戦のトヨタ車体戦では両チーム最多の31得点を挙げチームの勝利に貢献するなど[6]、このシーズンは大きく若返ったチームで、同期の岩坂名奈らと共にレギュラーとして活躍。チームも前シーズンを上回る3位の成績を残し、プレミアリーグ「最優秀新人賞」に選ばれた。

2011年3月、全日本女子チームにメンバー登録され、6月のモントルーバレーマスターズで国際試合デビューを飾った。同年11月に行われたワールドカップバレー[7]ではセッター対角[注 2]として起用され、ミドルブロッカーで同じく久光所属の岩坂と共に「最年少コンビ」として注目を集める。第3戦、フルセットの末敗れた中国[8]との試合後には悔し涙を流すなど、大会途中からは世界の壁にぶち当たる試合が続いたが、最終ラウンドのドイツ戦で途中出場すると、これまでの悔しさを吹っ切るような大活躍を見せ、この試合逆転勝利の立役者となった。

2012年ロンドン五輪世界最終予選にも出場。眞鍋政義監督にはサーブレシーブ力が評価されている[9]。日本の五輪出場が決まった最終試合第3セットの最後は、4回目のセットポイントが新鍋のスパイクだった[10]

2012年6月、ロンドンオリンピックの代表メンバーに選出された[11]。安定したサーブとレシーブでチームを支え、全日本女子28年ぶりの銅メダル獲得に貢献した。

2012/13Vプレミアリーグでは、チームの6年ぶり優勝に貢献。2013年5月の第62回黒鷲旗大会でも優勝にも貢献した。

2013/14Vプレミアリーグにおいては、チーム二連覇に大きく貢献し、自らもMVP・ベスト6・サーブレシーブ賞の栄に浴した[12][13]

2014年のワールドグランプリ[14]世界選手権[15]では眞鍋監督の戦術変更により、レフトのウイングスパイカーとして起用された。

2015年の全日本チームには、新鍋から怪我のための辞退の申し出があり、エントリーされず[16][17]2016年リオデジャネイロオリンピックの代表にも選出されなかった。

Vプレミアリーグにおける個人賞受賞回数が8回に達したことから、規定により2016/17シーズン終了後にVリーグ栄誉賞(傑出した個人記録)を受賞した[18]

2017年からは、中田久美監督のもと代表メンバーに再び登録され[19]、同年8月に開催されたアジア選手権では10年ぶり優勝の原動力となり、自らもMVPを獲得した[20]2018年世界選手権2019年ワールドカップにも出場[21][22]

そして、東京五輪を迎える五輪イヤーとなった2020年も、代表メンバーに選出された[23]。しかし、2020年初めに右手人さし指の靱帯を痛めていて、それに五輪延期決定も重なり、絶望感が強まる。それでも、4月下旬に手術して1年後の五輪に向けてリハビリに励んだが、自分のプレーをイメージしづらくなり、納得できない状態で代表と久光でプレーを続けることに納得できず引退を決断。2020年6月30日、現役引退した[24][25][26]。また、同時に久光の運営会社である「SAGA久光スプリングス」と「所属アスリート」としてマネジメント契約を結んだ[25][26][27]

球歴

所属チーム

受賞歴

  • 2011年 - 2010/11 Vプレミアリーグ 最優秀新人賞
  • 2012年 - 2011/12 Vプレミアリーグ レシーブ賞[28]
  • 2012年8月 - 霧島市スポーツ栄誉賞[29]
  • 2013年 - 2012/13 Vプレミアリーグ レシーブ賞[30]
  • 2013年 - 第62回黒鷲旗全日本バレーボール選手権大会 ベスト6[31]
  • 2014年 - 2013/14 Vプレミアリーグ MVP・ベスト6・サーブレシーブ賞
  • 2015年
  • 2016年 - 2015/16プレミアリーグ サーブレシーブ賞[34]・レシーブ賞
  • 2017年
  • 2018年
  • 2019年
    • 2018-19 V.LEAGUE DIVISION1 サーブレシーブ賞
    • 2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 Vリーグ栄誉賞(試合出場が10シーズン以上で230試合以上出場)
  • 2020年
    • 2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 サーブレシーブ賞 
  • 2021年
    • Vリーグ功労賞[37]

個人成績

Vプレミアリーグレギュラーラウンドにおける個人成績は下記の通り[38]

シーズン所属出場アタックブロックサーブレセプション総得点備考
試合セット打数得点決定率効果率決定/set打数エース得点率効果率受数成功率
2009/10久光製薬272000.0%%00.00200.00%12.5%00.0%0
2010/112610199738939.0%%210.2123831.26%6.0%54275.5%413
2011/12218556824443.0%%150.1830582.62%8.5%45665.8%267
2012/132810397832633.3%%260.25483214.35%11.7%64570.5%373
2013/14269575125033.3%%360.38357195.32%13.1%46972.7%305
2014/15218179324631.0%%230.2833882.37%8.7%45574.7%277
2015/16218175527836.8%%300.37347205.76%14.8%29773.4%328
2016/17218279328435.8%%260.323198%8.7%19869.5%318
2017/18217233713540.1%%180.2529815%10.8%27063.0%168
2018/19186435515443.4%%330.5228310%9.7%22870.0%197交流戦含む
2019/20217345614431.6%%210.292689%9.1%24268.8%174交流戦含む
太字タイトル獲得

脚注

  1. ^ 公式記録では31試合出場(ベンチ入りも試合数に数えるため)。
  2. ^ 全日本では当時、山口舞が同じポジションで起用された。

出典

  1. ^ 選手詳細”. Vリーグ機構. 2018年2月6日閲覧。
  2. ^ Player”. FIVB. 2018年2月6日閲覧。
  3. ^ a b 世界に輝く霧島の星 広報きりしまNo.146(7月号)参照[リンク切れ]
  4. ^ 五輪柔道で金 濱田選手の出身中学校も喜びに沸く”. MBC南日本放送. 2021年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
  5. ^ 久光製薬スプリングス 2009年内定選手のお知らせ (PDF) 久光製薬スプリングス トピックス 2008年11月12日付
  6. ^ 久光製薬スプリングスVSトヨタ車体クインシーズ 2010/11/27 プレミアリーグ試合速報
  7. ^ 日本の結果(女子)
  8. ^ 中国×日本 - FIVB 2011年ワールドカップバレーボール
  9. ^ 真鍋監督「ベストを尽くす」 五輪最終予選へ意気込み=バレー全日本女子 スポーツナビ
  10. ^ 日本の五輪切符瞬間最高31・6%! - スポーツ報知、2012年5月29日
  11. ^ 日本バレーボール協会. “女子日本代表選手12名決定! 第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)”. 2012年6月25日閲覧。
  12. ^ Vリーグ機構. “2013/14 V・プレミアリーグ”. 2014年4月14日閲覧。
  13. ^ Vリーグ機構. “2013/14V・プレミアリーグ女子レギュラーラウンド最終結果のお知らせ”. 2014年3月22日閲覧。
  14. ^ 試合結果 FIVBワールドグランプリ2014 日本バレーボール協会
  15. ^ 試合結果 2014女子世界選手権 日本バレーボール協会
  16. ^ KTS鹿児島テレビ. “バレー全日本に迫田さおり選手、兒玉康成選手ら選出”. 2015年6月8日閲覧。
  17. ^ バレーボールマガジン 2015年4月15日
  18. ^ 2016/17シーズン Vリーグ個人賞 受賞者一覧”. Vリーグ機構. 2018年2月6日閲覧。
  19. ^ 2017年度全日本女子チーム 選手・監督・スタッフ”. 日本バレーボール協会. 2017年3月24日閲覧。
  20. ^ BULLETIN #9”. AVC. 2017年8月18日閲覧。
  21. ^ 全日本チーム”. 2018女子バレーボール世界選手権. 日本バレーボール協会. 2020年7月4日閲覧。
  22. ^ 日本代表”. 【公式サイト】FIVBワールドカップバレーボール2019. 日本バレーボール協会. 2020年7月4日閲覧。
  23. ^ 2020年度女子日本代表チーム 選手・監督・スタッフ”. 日本バレーボール協会. 2020年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月4日閲覧。
  24. ^ 退団選手のお知らせ』(プレスリリース)久光製薬スプリングス、2020年6月20日https://saga-springs.co.jp/2020/06/20/taidan/2020年6月20日閲覧 
  25. ^ a b “新鍋理沙「絶望というか…」五輪延期が引き金に オンラインで引退会見”. サンケイスポーツ (産経新聞社). (2020年6月30日). https://www.sanspo.com/article/20200630-73KR66I2NJMYDJXXK7WLX2ZS3M/ 2020年7月4日閲覧。 
  26. ^ a b “新鍋理沙「1年はとても長く感じた」引退理由明かす”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年6月29日). https://www.nikkansports.com/sports/news/202006290000316.html 2020年7月4日閲覧。 
  27. ^ 「SAGA久光スプリングス株式会社」 設立のご報告”. 久光スプリングス. 2020年7月4日閲覧。
  28. ^ 古田敦也のスポーツ・トライアングル「バレーボール女子・新鍋理沙」NHK BS1、2012年5月13日放送
  29. ^ nikkansports.com. “女子バレー銅迫田&新鍋に市民栄誉賞”. 2012年8月22日閲覧。
  30. ^ Vリーグ機構. “2012/13V・プレミアリーグ女子 個人賞のお知らせ”. 2013年4月13日閲覧。
  31. ^ 大阪府バレーボール協会. “特別表彰選手(女子)”. 2013年5月10日閲覧。
  32. ^ Vリーグ機構. “2014/15V・プレミアリーグ女子大会V・レギュラーラウンド 最終結果のお知らせ”. 2015年2月23日閲覧。
  33. ^ AVC. “Bangkok Glass reign supreme in Asian Women’s Club Championship, winning berth to contest 2016 World Club Championship”. 2015年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月23日閲覧。
  34. ^ Vリーグ機構. “2015/16V・プレミアリーグ女子 V・レギュラーラウンド最終結果のお知らせ”. 2016年1月24日閲覧。
  35. ^ 【レポート】「V.LEAGUE AWARD」を開催! 最高殊勲選手は古賀紗理那とジョルジェフ,ニコラ!』(プレスリリース)Vリーグ公式サイト、2017年3月24日https://www.vleague.jp/topics/news_detail/196662021年2月22日閲覧 
  36. ^ 2017/18V・プレミアリーグ女子大会 V・レギュラーラウンド最終結果・個人賞受賞選手のお知らせ”. Vリーグ機構. 2018年2月6日閲覧。
  37. ^ 昨年引退の新鍋理沙さんに3人目のVリーグ功労賞”. 日刊スポーツ. 2021年2月22日閲覧。
  38. ^ Vリーグ機構. “選手別成績”. 2018年2月6日閲覧。

参考文献

  • 月刊バレーボール1月号臨時増刊 2010/11Vリーグ観戦ガイドブック(日本文化出版刊)

外部リンク