太陽有限責任監査法人

日本の東京都港区にある監査法人

太陽有限責任監査法人(たいようゆうげんせきにんかんさほうじん、英語: Grant Thornton Taiyo LLC)は、日本における準大手監査法人である。

太陽有限責任監査法人
Grant Thornton Taiyo LLC
赤坂Kタワー(本部・東京事務所)
種類有限責任監査法人
本社所在地日本の旗 日本
107-0051
東京都港区元赤坂1-2-7
赤坂Kタワー22階
設立1971年昭和46年)9月
業種サービス業
法人番号4010405002470 ウィキデータを編集
事業内容会計監査
その他サービス
代表者山田茂善(総括代表社員)
資本金5億3050万円(2023年6月期)
売上高168億3099万円(2023年6月期)
営業利益27億1916万円(2023年6月期)
経常利益27億8320万円(2023年6月期)
純利益18億9954万円(2023年6月期)
純資産66億5612万円(2023年6月期)
総資産132億4468万円(2023年6月期)
従業員数社員・特定社員95名
公認会計士職員335名
公認会計士試験合格者等262名
その他613名
(2023年12月31日現在)
決算期6月30日
会計監査人誠栄有限責任監査法人
外部リンクhttps://www.grantthornton.jp/
特記事項:法人概要及び業務及び財産の状況に関する説明書類より。
テンプレートを表示

世界第6位の会計事務所であるグラントソントン・インターナショナルと提携している[1]

概要 編集

法人の系譜は大きく太陽とASGに分かれ、提携先のグローバルファームや税務業務・コンサルティング業務を行う組織はASG側から引き継いだものである。両者の合併以降はこれらの組織をまとめて「太陽ASGグループ」と称していたが、2014年(平成26年)10月1日にはグローバルファームの名称を押し出して「太陽グラントソントン」となった[2]。同時に法人名称も改められ、ASGの名称は見られなくなっている。2013年(平成25年)に中堅の霞が関監査法人を合併して以降は、業務収入・人員数・クライアント数ともに4大監査法人(ビッグ4)以外で最多となった。

2018年(平成30年)7月1日に準大手の優成監査法人と合併したことにより上場クライアント数は200社を超え、その後も大手法人からの異動やIPO受嘱の伸長に伴い大手であるPwCあらた有限責任監査法人と並ぶクライアント数を擁し、特に上場クライアント数は2倍以上となっている。優成との合併により地方事務所の拡充がなされ、PwCグループが未進出の札幌・仙台への拠点開設がなされた。2015年度の業務収入は60億円と準大手法人の中でやや多い程度であった[3]が、本合併前後より規模が大きく伸長しており現在は倍以上の業績(他の準大手法人の3倍程度)となっている。クライアントは中堅規模が中心だが、直近では大規模クライアントを他法人から獲得する動きが多くみられる。新規の顧客はもともと「ビッグ4」の監査を受けていた会社が多く、採算重視になり監査先を減らしている「ビッグ4」とは対照的に、顧客数を増やしている。現CEOの山田茂善は「もちろんある程度の"すみ分け"もあります。例えば「トヨタ自動車の監査をやれ」と言われても、私どもでは物理的に無理です。(中略)ビッグ4だけが監査法人だと思われていた中で、例えば私どもがトヨタ系の1次下請けの監査をやらせていただくと、「太陽さんもできるんだ」と思っていただける。それが今、業種ごとに広がっていると思っています。」[4]と述べている。人件費比率が比較的低く、海外の提携先に払う「上納金」や業務費用も低く抑えていることから、2022年時点における利益率(収益力)は4大・準大手の中で最も高い[5]。監査証明業務が大幅増収となる一方で非監査証明業務(コンサルティング業務、アドバイザリー事業等)は減収となっていて、他の大手会計事務所と比較して「本業重視」の姿勢が際立っている[6]

公認会計士・監査審査会の分類では「準大手監査法人」であるが、「ビッグ4」に匹敵する法人規模に成長し、「もうビッグ4ではなく、「ビッグ5」と呼んでもいいのではないでしょうか。」[4]と評されている。もっとも山田は「うちは、決してビッグ4を目指しているわけじゃない。一定の規模が必要なのは、デジタル化や人材への投資を行うためです。」[4]としている。

一方で、急拡大のひずみを受け、2023年12月26日に株式会社ディー・ディー・エスの監査証明について、金融庁より新規の契約締結に関する3か月間の業務停止と業務改善命令を内容とする行政処分を受けた。これは、適切な連結財務諸表等が作成されるはずとの思い込みやその後の表示方法が適切であるかどうかについての未確認、監査補助者への適切な指示と査閲の未実施が原因であると指摘されている[7]。初歩的な確認ミスであるが、受け入れ能力以上に監査クライアントを抱えていた実態が明らかになった[8]

  • 本部 - 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 赤坂Kタワー22階(アンダーソン・毛利・友常法律事務所が入っていたオフィスを居抜きで利用している[5]
  • 大阪事務所 - 大阪市北区中崎西二丁目4番12号 梅田センタービル25階
  • 名古屋事務所 - 名古屋市中村区名駅四丁目6番23号 第三堀内ビル7階
  • 北陸事務所 - 金沢市広岡一丁目1番18号 伊藤忠金沢ビル6階
  • 人員 - 社員・社員95名、職員929名(うち公認会計士335名、会計士補・試験合格者262名)、契約職員281名、計1,305名(2023年12月31日時点)
  • クライアント数 - 金商法クライアント381社を含む1,153社(2023年12月31日時点)

主な金商法監査クライアント 編集

有価証券報告書より、最近の監査報酬上位15社を以下に示す。

順位会社名業種2022年度監査報酬前身所属ならびに監査継続期間
1RIZAPグループサービス2億6,900万円2019年3月期以降(東邦→太陽)
2Jトラストその他金融1億8,000万円2017年3月期以降(ひびき→優成)
3富士ソフト情報・通信1億3,700万円2008年3月期以降(みすず→太陽ASG)
4KYB機械1億3,500万円2023年3月期以降(あずさ→太陽)
5エクシオグループ建設1億3,400万円2022年3月期以降(清陽→太陽)
6レオパレス21不動産1億2,200万円2007年3月期以降(あずさ→太陽ASG)
7綜合警備保障サービス1億1,700万円1984年6月期以降(ASG系列)
8THK機械1億500万円2007年3月期以降(みすず→太陽ASG)
9ネットワンシステムズ情報・通信1億300万円2022年3月期以降(トーマツ→太陽)
10リンクアンドモチベーションサービス9,800万円2016年12月期以降(PwCあらた→優成)
11センコーグループホールディングス陸運9,600万円2021年3月期以降(大手前→太陽)
12アーレスティ金属9,500万円2023年3月期以降(トーマツ→太陽)
13いちご不動産9,300万円2009年2月期以降(新日本→太陽ASG)
13フェイス情報・通信9,300万円2022年3月期以降(EY新日本→太陽)
15栗田工業機械8,800万円少なくとも1972年以降(太陽系列)

沿革 編集

  • 1971年昭和46年)9月6日 - 太陽監査法人設立。
  • 1984年(昭和59年)5月25日 - 大阪事務所を開設。
  • 1985年(昭和60年)9月 - 元監査法人設立。
  • 1991年平成3年)4月 - アクタス監査法人設立。
  • 1994年(平成6年)10月 - 元監査法人がグラントソントン・インターナショナルへ加盟。
  • 1999年(平成11年)4月 - 元監査法人とアクタス監査法人の合併によりアクタス元監査法人となる。
  • 2001年(平成13年)
    • 4月2日 - 神戸事務所を開設。
    • 7月 - アクタス元監査法人からASG監査法人に名称変更。
  • 2006年(平成18年)
    • 1月1日 - 太陽監査法人とASG監査法人の合併により太陽ASG監査法人となる。同時に、永田オフィス(赤坂東急ビル)及び大阪南オフィス(大阪長和ビル)を新設。
    • 9月25日 - 本部・東京事務所を赤坂DSビル西館へ移転統合。
    • 11月20日 - 神戸事務所を大阪事務所へ統合。
  • 2008年(平成20年)
    • 7月15日 - 有限責任監査法人へ移行。
    • 7月31日 - 名古屋事務所を開設。
  • 2012年(平成24年)7月1日 - 永昌監査法人を吸収合併し、北陸事務所を開設。本部・東京事務所を赤坂王子ビルへ再移転。
  • 2013年(平成25年)10月1日 - 霞が関監査法人を吸収合併。
  • 2014年(平成26年)10月1日 - 太陽有限責任監査法人に名称変更。
  • 2018年(平成30年)7月1日 -
    • 準大手の優成監査法人(当時国内9位)を吸収合併[9][10]
    • 本部をNMF青山一丁目ビル(旧・赤坂王子ビル)から赤坂Kタワーへ移転[11]。同時に札幌事務所、東北事務所、新潟事務所、中国・四国事務所、九州事務所を優成監査法人から継承し開設。
  • 2023年(令和5年)12月26日-株式会社ディー・ディー・エスの重大な虚偽のある財務書類について、相当の注意を怠って重大な虚偽のないものとして証明し、金融庁より3か月の一部業務停止処分及び課徴金納付命令を受けた[7]

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ Top 20 International Networks 2019 - AccountancyAge
  2. ^ 社名変更のご案内(太陽グラントソントン)
  3. ^ 会社四季報 業界地図 2017年版より
  4. ^ a b c 「人気資格「豹変」の舞台裏」p.46
  5. ^ a b 「人気資格「豹変」の舞台裏」p.37
  6. ^ 「会計士の受難」週刊ダイヤモンド2024年3月23日号 p.48
  7. ^ a b 太陽有限責任監査法人に対する課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定について”. www.fsa.go.jp. 2024年2月3日閲覧。
  8. ^ 「会計士の受難」週刊ダイヤモンド2024年3月23日号 p.43
  9. ^ 太陽有限責任監査法人と優成監査法人の合併に向けた基本合意締結のお知らせ - 2017年10月3日、太陽有限責任監査法人
  10. ^ 中堅2監査法人が合併合意 太陽監査法人と優成監査法人が発表 - 2017年10月3日、産経新聞
  11. ^ 【移転】赤坂Kタワーに太陽有限責任監査法人 - 2018年4月2日、日経不動産マーケット情報

参考文献 編集

関連項目 編集

  • 船江恒平(将棋棋士、2022年より非常勤職員として勤務)

外部リンク 編集