佐藤拳太郎

日本の短距離走選手

佐藤 拳太郎(さとう けんたろう、1994年11月16日 - )は、埼玉県出身の陸上競技選手。専門は400mで、自己ベストは日本記録の44秒77。男子4×400mリレーリオデジャネイロオリンピック日本代表東京オリンピック日本代表

佐藤 拳太郎Portal:陸上競技
選手情報
フルネームさとう けんたろう
ラテン文字Kentaro Sato
国籍日本の旗 日本
競技陸上競技 (短距離走)
種目400m
所属富士通陸上競技部
大学城西大学
生年月日 (1994-11-16) 1994年11月16日(29歳)
出身地埼玉県
身長173cm
体重63kg
成績
世界選手権4x400mR 予選2組8着(2017年
地域大会決勝アジア選手権
400m 1位(2023年
国内大会決勝日本選手権
400m 2位(2015年2017年
4x400mR 4位(2013年)
自己ベスト
200m20秒70(2023年)
400m44秒77(2023年)日本記録
獲得メダル
陸上競技
日本の旗 日本
アジア競技大会
2022 杭州400m
アジア選手権
2015 武漢400m
2023 バンコク400m
ユニバーシアード
2015 光州4x400mR
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経歴 編集

所沢市立狭山ヶ丘中学校、埼玉県立豊岡高等学校城西大学(経営学部)卒業。富士通在籍。

高校生時代まで 編集

中学時代は野球部に所属し、陸上は高校から始める[1]

高校3年時の4月末には肺気胸のため1週間ほど入院し、インターハイ県大会の出場が危ぶまれた。しかし、無事に出場したインターハイ県大会の200mで優勝、400mで2位に入ってインターハイ北関東大会初出場を決めると、北関東大会でも200mで優勝、400mで2位に入ってインターハイ初出場を決めた[1]インターハイは両種目で準決勝まで進出した。

大学生時代 編集

2013年 - 2014年 編集

2013年、城西大学に進学。1年時は主要大会の個人種目で入賞することはできかったが、アンカーを務めた4×400mリレーでは日本インカレで7位、日本選手権リレーで4位という成績を残した。

2014年、5月に関東インカレの400mで5位入賞を果たすと、6月には日本学生個人選手権の400mで2位に入り、全国大会で初の表彰台に上った。シーズン前半は好調だったが、9月に左脚ハムストリングスの肉離れを起こしたため[2]、後半の日本インカレや国民体育大会などを欠場することになった。

2015年 編集

4月、出雲陸上の300mで3位に入ると、世界リレーの日本代表選考会となった織田記念国際の400mでは46秒21の自己ベスト(当時)で優勝し、主要大会を初めて制した。

5月、世界リレーの4×400mで初めて日本代表を経験。予選で日本チーム(小林直己、佐藤、ウォルシュ・ジュリアン北川貴理)の2走を務め、チーム最速のスプリットタイム(47秒71)を記録する活躍を見せたが、結果は組6着で決勝には進出できなかった[3]。関東インカレでは400mを制して初のインカレタイトルを獲得すると、3走を務めた4×400mリレーでは城西大学初の決勝進出と優勝に貢献した[4]

6月、アジア選手権の400mで国際大会の個人種目に初出場を果たすと、決勝では46秒09の自己ベスト(当時)を記録し、アブドーラ・ハルーン(44秒68)、ユセフ・マスラヒ(45秒14)に次ぐ3位に入り銅メダルを獲得した。4×400mリレーにも出場予定だったが、直前のアップ中に腹痛に襲われ、急遽メンバーから外れた[5]。初出場となった日本選手権の400mでは、予選で自身初の45秒台となる45秒58をマークし、山崎謙吾が持つ46秒00の埼玉県記録を塗り替えた。決勝ではこの種目10連覇中の金丸祐三からリードを奪い、ゴール30m手前あたりで金丸に負けを意識させたが、惜しくもゴール直前にかわされて0秒02差の2位に終わった[6]

7月、ユニバーシアードの400mと4×400mリレーに出場。400mは準決勝敗退に終わったが、4×400mリレーでは日本チーム(ウォルシュ・ジュリアン、加藤修也、北川貴理、佐藤)のアンカーを務めて銀メダルを獲得した(当初は4位だったが、上位2カ国が失格になり2位に繰り上がった)[7]

8月、北京世界選手権の4×400mリレー日本代表に選出されたが、大会では出番なしに終わった。

2016年 編集

6月、日本選手権の400mは46秒30の5位で表彰台は逃したが、大会後にリオデジャネイロオリンピックの4×400mリレー日本代表候補に選出(日本が出場権を獲得すれば日本代表となる)。日本は最終的に出場権を獲得したため、晴れて日本代表となった[8]

8月、リオデジャネイロオリンピックの4×400mリレーは補欠として出番なしに終わった。

社会人時代 編集

2017年 編集

4月、富士通に入社し、同社陸上競技部に入部[9]

6月24日、日本選手権400m決勝では最後の直線でトップに躍り出たが、予選を全体1位(45秒48)で突破した北川貴理にかわされ、45秒95の2位(1位と0秒19差)で初優勝を逃した[10]

2021年 編集

8月6日、東京オリンピック4×400mリレーに伊東利来也、川端魁人、鈴木碧斗とともに出場し、日本記録に並ぶ3分0秒76のタイムを出したが、予選2組5着となり決勝には進出できなかった[11]

2023年 編集

7月13日、アジア選手権男子400mで優勝し金メダルを獲得。

8月20日、ブダペスト世界選手権の男子400m予選で高野進(当時東海大学教員)が1991年の日本選手権決勝にてマークした44秒78[注 1]を32年ぶりに更新する44秒77の日本新記録を樹立した[12]

人物・エピソード 編集

  • 大学1年時は日本インカレと日本ジュニア選手権の200mに出場するなど200mへのこだわりが強かったが、城西大学陸上部コーチの千葉佳裕から勧められ400m専門となった[13]。2015年は「ユニバーシアードに行ければいいな」(千葉佳裕)と言われていた程度だったが[2]、ユニバーシアードはおろか、世界リレーや世界選手権といったシニアの世界大会日本代表に選出されるまでの選手となった。
  • ゲン担ぎとして大会前には100%系のジュースを飲む。座右の銘・好きな言葉は「才能は天から降ってくるものじゃないなら、自分で作れば良い。[14]」「道を選ぶということは、必ずしも歩きやすい道を選ぶという事ではない[15]」。

自己ベスト 編集

記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目記録年月日場所備考
200m20秒70(−1.0)2023年9月24日 岐阜市
400m44秒772023年8月20日 ブダペスト日本記録

主要大会成績 編集

備考欄の記録は当時のもの

国際大会 編集

大会場所種目結果記録備考
2015世界リレー (en ナッソー4x400mR予選2組6着3分06秒38(2走)
アジア選手権 武漢400m3位46秒09自己ベスト
ユニバーシアード (en 光州400m準決勝2組3着46秒36
4x400mR2位3分07秒75(4走)
2017世界選手権 ロンドン4x400mR予選2組8着3分07秒29(1走)
デカネーション アンジェ400m5位48秒18

日本選手権 編集

4x400mRは日本選手権リレーの成績

大会場所種目結果記録備考
2013日本選手権横浜市4x400mR4位3分11秒36(4走)
2015日本選手権新潟市400m2位46秒12予選45秒58:自己ベスト
2016日本選手権名古屋市400m5位46秒30
2017日本選手権大阪市400m2位45秒95

その他 編集

大会場所種目結果記録備考
高校生時代
2012インターハイ新潟市200m準決勝3組7着21秒84(+0.5)
400m準決勝1組5着48秒21
大学生時代
2013日本インカレ東京都200m予選5組4着21秒46(+0.8)
4x400mR7位3分11秒03(4走)
日本ジュニア選手権名古屋市200m準決勝2組5着21秒48(+0.7)
2014関東インカレ(1部)熊谷市400m5位47秒85
4x400mR予選1組5着3分12秒41(4走)
日本学生個人選手権平塚市400m2位47秒23自己ベスト
トワイライト・ゲームス東京都400m決勝2組7着48秒01
2015出雲陸上出雲市300m3位32秒83
織田記念国際広島市400m優勝46秒21自己ベスト
関東インカレ(1部)横浜市400m優勝46秒35
4x400mR優勝3分06秒05(4走)
2016静岡国際袋井市400m3位46秒77
ゴールデングランプリ川崎川崎市400m5位46秒75
関東インカレ(1部)横浜市400m2位46秒96
4x400mR4位3分06秒58(3走)
日本インカレ熊谷市400m予選2組6着47秒77
4x400mR予選1組1着3分07秒90(3走)決勝進出[注 2]
社会人時代
2017静岡国際袋井市400m2位46秒63
東日本実業団選手権秋田市400m優勝46秒69

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 高野が出した44秒78はその後破更新されることなく、2023年元日時点で陸上競技トラック種目で最古の日本記録となっていた。
  2. ^ 予選のみ出場。決勝の城西大学は3分06秒76で4位。

出典 編集

  1. ^ a b 「インターハイ地区大会 北関東」『月刊陸上競技』第46巻第9号、講談社、2012年8月号、107頁。 
  2. ^ a b 「日本GPシリーズ ホープ躍動④」『月刊陸上競技』第49巻第7号、講談社、2015年6月号、76頁。 
  3. ^ 経営学部佐藤拳太郎君がIAAFワールドリレーズ2015に出場”. 城西大学経営学部 (2015年5月6日). 2015年11月20日閲覧。
  4. ^ 「関東インカレ」『月刊陸上競技』第49巻第8号、講談社、2015年7月号、151頁。 
  5. ^ 陸連時報 2015年8月号(第21回アジア陸上競技選手権大会報告) 日本陸上競技連盟 (PDF, 7.4 MB) 2015年11月20日閲覧
  6. ^ 「日本選手権 男子400m」『月刊陸上競技』第49巻第9号、講談社、2015年8月号、16-17頁。 
  7. ^ 「第28回ユニバーシアード競技大会」『月刊陸上競技』第49巻第10号、講談社、2015年9月号、122-128頁。 
  8. ^ 1600mリレーで日本が出場権 ロシア参加禁止で”. 日刊スポーツ (2016年7月25日). 2016年7月26日閲覧。
  9. ^ 富士通陸上競技部 2017年度新加入選手について”. 富士通 (2017年4月3日). 2017年4月3日閲覧。
  10. ^ 佐藤拳太郎選手競技後コメント/2017日本陸上選手権”. 富士通陸上競技部・ブログ (2017年6月25日). 2017年6月25日閲覧。
  11. ^ “オリンピック 陸上男子1600mリレー 決勝進出ならず”. 日本放送協会. https://web.archive.org/web/20210806124536/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210806/k10013186521000.html 2021年8月6日閲覧。 
  12. ^ "男子主将・佐藤拳太郎が44秒77の日本新! 高野進の記録を32年ぶり0.01秒更新/世界陸上". 月陸ONLINE. 陸上競技社. 2023年8月20日. 2023年11月20日閲覧
  13. ^ 「Heat Up Athletes」『陸上競技マガジン』第65巻第11号、ベースボール・マガジン社、2015年6月号、22-23頁。 
  14. ^ 第15回世界陸上競技選手権 選手からのメッセージ”. 日本陸上競技連盟 (2015年). 2015年11月21日閲覧。
  15. ^ 第31回リオデジャネイロオリンピック 選手からのメッセージ”. 日本陸上競技連盟 (2016年). 2016年9月5日閲覧。

外部リンク 編集