フェラーリ・モデューロ

フェラーリ PF 512 S モデューロ(Ferrari Modulo)1970年に発表されたフェラーリコンセプトカー。デザインはピニンファリーナが担当し、実際のデザインは当時ピニンファリーナにチーフスタイリストとして在籍していたパオロ・マルティンが行った。「モデューロ」は宇宙船パーツの意味の「モジュール」(module)のイタリア語

フェラーリ・モデューロ
フロント
リア
概要
デザインピニンファリーナ パオロ・マルティン
ボディ
乗車定員2名
ボディタイプクーペ
駆動方式MR
パワートレイン
エンジン5,000cc DOHC V型12気筒
最高出力550PS
変速機5速MT
ダブルウィッシュボーン
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース2,400mm
全長4,480mm
全幅2,048mm
全高935mm
車両重量935kg
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概要 編集

1970年3月のジュネーヴ・モーターショーで発表された。発表時は現在のカラーリングとは逆の黒をメインカラーに塗装されていたが、日本万国博覧会での公開までに白を基調としたカラーリングに変更された。

同時期にフェラーリのレース部門であるスクーデリア・フェラーリカナディアン-アメリカン・チャレンジカップに参戦するために製作したフェラーリ・612をベースに、ピニンファリーナが手がけたクーペボディを搭載している。

最大の特徴はルーフがドアとして機能するキャノピースタイルを採用した点で、ドアは前方にスライドして開閉するという、未来的デザインとなっている。またルーフ後方には24個の丸穴が開けられ、この下に5リットルV型12気筒エンジンを搭載する。前照灯は点灯時に起き上がる構造になっている。

ジュネーヴで発表された後に、日本に持ち込まれ、万博のイタリア館に展示された。この時、後にピニンファリーナのデザイナーとなる奥山清行も万博でモデューロを見学したという[1]日本万国博覧会で公開された際の説明には「未来の自動車 ピニンファリーナ1970 フェラーリ・シャシ512S」となっていたため、当時の自動車誌等は512S(レース用のグループ4カー)と説明されているものがほとんどだったが、実際にはCan-Am用に製作されるはずだった612Pの未完成シャーシを使用している[注釈 1]。現在の情報ではシャーシNo.0864の車体番号が確認されている。1980年代にはパイオニアカーオーディオカロッツェリア」の広告に登場し、実際に走行していたが、エンジンは掛かっておらず坂道の下りを利用して撮影されていた。その後は所有者であるピニンファリーナに戻され、本社にて長く展示されてきたが、2014年にオークションにかけられ、アメリカ合衆国の映画監督のジェームズ・グリッケンハウスが落札し自宅に持ち帰った。

注釈 編集

  1. ^ 当時のフェラーリは512Sのホモロゲーション取得のため1970年1月までに25台完成させなければならず、最新鋭の512Sをショーカーに回す余裕はなかった。

出典 編集

参考文献 編集