ファンタジックチルドレン』(FANTASTIC CHILDREN)は、日本アニメーション制作による日本のテレビアニメ2004年10月4日から2005年3月28日までテレビ東京系列で放送された[1]。全26話。

ファンタジックチルドレン
ジャンル冒険活劇ファンタジー
アニメ
原作なかむらたかし
監督なかむらたかし
脚本なかむらたかし、三井秀樹
キャラクターデザインなかむらたかし
音楽上野耕路
アニメーション制作日本アニメーション
製作博報堂DYメディアパートナーズ
日本アニメーション
FC製作委員会
放送局テレビ東京
放送期間2004年10月4日 - 2005年3月28日
話数全26話
漫画:ファンタジックチルドレン 時計じかけの旅人たち
原作・原案などなかむらたかし(原案)
作画宮野将一
出版社メディアファクトリー
掲載誌月刊コミックフラッパー
レーベルMFコミックス
発表号2004年7月号 - 2005年5月号
巻数全2巻
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

概要

本作は、原作キャラクターデザイン監督を務めたなかむらたかしと日本アニメーションの企画によるオリジナル作品[1][2]。なかむらは『AKIRA』の作画監督や『未来警察ウラシマン』『世界名作劇場ピーターパンの冒険』のキャラクターデザイン、『パルムの樹』『ハーモニー』の監督などで知られる日本を代表するアニメーターで、彼にとってはこれが初のテレビアニメ監督作品となる[3][4]

美術監督としてスタジオジブリ背景美術を担当した山本二三が、音楽戸川純とともに音楽ユニットゲルニカで活動し、アニメのほか映画テレビドラマなどの劇伴も数多く手掛ける上野耕路が参加している[1][5]

昔懐かしい謎と冒険のジュブナイル作品のティストを持った、少年少女も楽しめる本格的で正統なファンタジックアドベンチャーを目指した作品で、放映前の番組宣伝でも「胸踊る冒険ファンタジー」というキャッチコピーが使われていた[1][2]。しかし、結果的には「謎が謎を呼ぶ幻想ミステリー」といった不思議な雰囲気の作品が出来上がった[1]冒険活劇でありながらSFファンタジーミステリーラブストーリー、愛憎劇、政治劇といった様々な要素を盛り込み、転生というテーマを伏線を張り巡らせた謎の多い展開の中に描いていている[6]

あらすじ

時は2012年、南の島・パパン島で両親と暮らす少年・トーマは、ある日島の遺跡でヘルガという少女と出会う。無口で、どことも知れぬ場所の絵を描いては、そこに行きたいと言う彼女の願いに、トーマはヘルガを慕う少年・チットと共に、ヘルガを“行きたい場所”へ連れていこうとする。

同じ頃、謎の黒衣の少年少女たちが、ある一人の人物を探していた。"ベフォールの子供たち"と呼ばれる彼らは、何十年かおきに世界各地に現れ、長い年月の間、ティナという女性を追い続けていた。

少年少女の連続失踪事件を追う刑事・クックスは、捜査の過程で"ベフォールの子供たち"の存在に辿り着く。

追い求めるほどに深まる子供たちの謎、不可解な現象、そして現れる謎の青年。一体、失踪した子供たちにどんな秘密が隠されているのか...

登場人物

( )は2012年時点での地球人としての年齢、〔 〕はティナを巡る惨劇が起こった時のギリシア人としての年齢、〈 〉は2012年時点でのギリシア人としての年齢を示す。

主要人物

トーマ
- 皆川純子
両親と共にパパン島で暮らす少年(11歳)。パパン拳法の達人。遺跡でヘルガと出会い、彼女の不思議な雰囲気に惹かれ、彼女の行こうとしている場所を一緒に探すことになる。
セス
声 - 後藤哲(少年時代 - 進藤尚美
トーマの前世の姿。ティナの幼なじみで婚約者である青年〔20歳〕。ソランとは親友。
ヘルガ
声 - 河原木志穂
本作の主人公[7]児童施設に預けられている少女(11歳)。無口で物静か。自分の心に不思議な世界を抱いており、そこへ行こうとチットと施設を抜け出したところ、トーマと出会う。
ティナ
声 - 河原木志穂
ヘルガの前世の姿。惑星ギリシアの王女〔15歳〕。タイタスの一人娘でデュマの姉。性格は明るいが、お転婆で少し気が強い面がある。
セラフィーヌ
声 - 河原木志穂
ヘルガの前世の姿。1859年生まれ。ヘルガが描くのと同じ絵を描き続けた画家。1901年、ベフォールの子供たちが一足遅れで探し当てる前にクレルモン療養施設で亡くなる。
クリスティーナ
声 - 河原木志穂
ヘルガの前世の姿。1721年生まれ、1759年没。孤児院で子供たちの面倒を見ており、ヘルガが描くのと同じ絵を刺繍したハンカチを子供たちに渡していた。
チット
声 - 小林希唯
ヘルガと同じ施設に暮らす少年(8歳)。ヘルガとは仲が良く、彼女と一緒に施設を抜け出して捕まりそうになったところをトーマに助けられ、それ以降はトーマとも行動を共にする。

ベフォールの子供たち

1478年からの500年間、前世の記憶を保ったまま同じ姿で転生を繰り返し、歴史の中に幾度も現れる白髪碧眼の謎めいた子供たち[1]

アギ / イアン
声 - 浦田優
真面目でリーダー的な存在である少年(11歳)。本来の使命と現世の家族の挟間で、思い悩んでいる。2012年時点での地球人名はイアン。
ソレト / フロー
声 - 高口幸子
冷静で仲間思いな性格の少女(11歳)。アギのことが気になるらしい。2012年時点での地球人名はフロー。
ヒースマ / トーマス
声 - 原沢勝広
ギリシアへ帰ることを強く願っている少年(11歳)。鼻が高い。冷淡かつ皮肉屋で自信家。2012年時点での地球人名はトーマス。
ハスモダイ / テオ
声 - 松本さち
繊細で大人しい性格の少年(11歳)。2012年時点での地球人名はテオ。
タルラント / カリエ
声 - 矢口アサミ
子供っぽいところがあるがしっかり者な少年(11歳)。ベフォールの子供たちのペット・ワンダーの製作者。2012年時点での地球人名はカリエ。
メル
声 - 坂本真綾
1901年にクレルモン療養施設でデュマに捕まり、脱落する。パルザとは恋人同士だった。
ゲルタ・ホークスビー
声 - 甲斐田ゆき(少女時代 - 坂本真綾)
メルの転生した姿。ゲド機関の責任者。1985年、25歳の時にデミアンと出会い、フラグメントの記号を解読して謎の機械を作った。
デミアンになぜか強い恐怖をいだき、またルーゲンに少女時代から強い関心をいだき続ける。
パルザ
声 - 鈴木千尋
最初に脱落する。メルとは恋人同士だった。
コンラート・ルーゲン
声 - 鈴木千尋(少年時代 - 進藤尚美)
脱落時のパルザ。もとはパルザとしての記憶を保っていたが、1853年に他の子供たちとの同行を拒否してルーゲン家の家族の許にとどまり、記憶を失う。25歳の時から物理学者への道を歩んで、1896年にX線を発見する。

刑事

クックス
声 - 辻親八
州警察の刑事。元は失踪したフローの捜索が任務であったが、それにからんで脱線気味にベフォールの子供たちについて調べ回っている。新聞記者だった祖父が子供たちと関わって彼らの写真を残し、またフラグメントを見つけていた。
アリス・ホリンワース
声 - 住友優子
連邦警察本局の監査報告員。クックスにつきあわされて相棒になる。

ゲド機関

ラドクリフ
声 - 松山鷹志
クックスの祖父からフラグメントを入手し、その謎の解明のためゲド機関を設立した科学者。ベフォールの子供たちの謎を追い続けた末に錯乱し、機関を追われた。
キルヒナー
声 - 成田剣
シベールの兄。3年前に事故で死亡したことにされていたが、実はゲド機関の実験によって年老いた姿になっていた。機関から逃げ出して妹・シベールの前に現れる。
デュマ / デミアン
声 - 花輪英司
ティナの異父弟である少年〈18歳〉。惑星ギリシアより姉・ティナを探しに父・ゲオルカと共に地球へやって来た。地球人の間ではデミアンと名乗る。
ゲド機関の影の実力者で、王室保安局に属し、皇太子と親しくしている。

惑星ギリシアの人々

ソラン
声 - 羽多野渉(少年時代 - 皆川純子)
王宮を警護する近衛兵の隊長を務める青年。幼い頃、迷子になったティナを助けた。5歳の頃、反乱軍の砲撃で重傷を負い、左半分が義手義足仮面の身となる。
タイタス
声 - 大木民夫
ティナの父。惑星ギリシアの王。
ゲオルカ
声 - 小村哲生
タイタスの弟。ティナの叔父でデュマの父。タイタスに対して反乱を起こす。
ゴトー
声 - 上別府仁資
セスの父。タイタスの重臣。
レダ
声 - 浅野まゆみ
ティナとデュマの母。ティナは母が自分の幼少時に死んだと聞かされていたが、実はタイタスと別れた後にゲオルカと再婚してデュマを生んでいた。

その他の人物

とうちゃん
声 - 大川透
トーマの父(42歳)。パパン寺院の住職で、パパン拳法の達人。あまり表情を表に出さないが、実は恐妻家。
かあちゃん
声 - 甲斐田ゆき
トーマの母(36歳)。ナツナ島で占い師をしているが、的中率は不明。
ベル
声 - 天神有海
イアンの妹。
院長
声 - 平田広明
ヘルガとチットが暮らす児童施設「チカオ児童学園」の院長。施設を何度も抜け出す2人に手を焼き、そのたびに連れ戻そうとするが、たまたまゲド機関の妨害を受けたのを機に2人のことを放棄する。
シベール
声 - 木村亜希子
キルヒナーの妹。

スタッフ

各話リスト

話数サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督放送日
1闇の果てから三井秀樹
なかむらたかし
なかむらたかし古川順康中村深雪2004年10月4日
2彷徨う想い鏑木宏丸山宏一2004年10月11日
3行きたい場所伊藤裕之石川慎吾2004年10月18日
4シノン古川順康中村深雪2004年10月25日
5コックリ島鏑木宏丸山宏一2004年11月1日
6コックリ島(2)伊藤裕之青木哲朗2004年11月8日
7ベフォールの子供なかむらたかし西田健一近藤優次
佐久間康子
2004年11月15日
8温かい家庭古川順康清水健一垪和等2004年11月22日
9オエセル鏑木宏長沼範裕2004年11月29日
10ゲド機関西田健一丸山宏一2004年12月6日
11大切な人伊藤裕之鏑木宏北山修一2004年12月13日
12閻魔杉山正樹津田義三佐久間康子2004年12月20日
13ギリシアの記憶福富博清水健一垪和等2004年12月27日
14軌跡-なかむらたかし-2005年1月3日
15追憶三井秀樹
なかむらたかし
杉山正樹鏑木宏長沼範裕2005年1月10日
16回帰、霧の中へ寺東克己西田健一丸山宏一
初見浩一
2005年1月17日
17ティナ福富博清水健一北山修一2005年1月24日
18惨劇なかむらたかし津田義三佐久間康子2005年1月31日
19誓い中西伸彰三家本泰美牧内ももこ2005年2月7日
20巡る命寺東克己鏑木宏長沼範裕2005年2月14日
21デュマ福田道生濁川敦北山修一2005年2月21日
22飛来福富博西田健一佐久間康子2005年2月28日
23ゲルタ杉山正樹津田義三牧内ももこ2005年3月7日
24トーマの真実寺東克己鏑木宏長沼範裕2005年3月14日
25ゾーンへなかむらたかし北山修一
佐久間康子
長沼範裕
2005年3月21日
26終焉そして始まりなかむらたかし2005年3月28日

放送局

放送地域放送局放送期間放送日時放送系列
関東広域圏テレビ東京2004年10月4日 - 2005年3月28日月曜 25:00 - 25:30テレビ東京系列
大阪府テレビ大阪2004年10月5日 - 2005年3月29日火曜 25:30 - 26:00
愛知県テレビ愛知火曜 26:28 - 26:58
北海道テレビ北海道火曜 26:30 - 27:00
福岡県TVQ九州放送2004年10月9日 - 2005年4月2日土曜 25:55 - 26:25
岡山県香川県テレビせとうち土曜 26:00 - 26:30

音楽作品

楽曲

オープニングテーマ「VOYAGE」
作詞 - 酒井ミキオ / 作曲 - 山崎ますみ / 編曲 - 江口貴勅 / 歌 - いのり
ビクターエンタテインメント、2004年11月21日発売
エンディングテーマ「水のまどろみ」
作詞 - 濱田理恵 / 作曲・編曲 - 梁邦彦 / 歌 - ORIGA
ビクターエンタテインメント、2004年11月21日発売
日本語版とロシア語版の歌詞があり、ギリシア編にはロシア語版が使われている。

サウンドトラック

  • 上野耕路『O.S.T. 〜ギリシアからの贈りもの』(ビクターエンタテインメント、2005年1月21日発売)

企画アルバム

  • 『コックリ島のひととき〜ボラボラ様からの贈りもの』(ビクターエンタテインメント、2005年3月2日発売)
    • 音楽は上野耕路。ショート・ドラマ、BGM、ポエム・リーディング他を収録。

映像作品

DVDおよびVHSバンダイビジュアルより、2005年3月25日から2005年9月23日にかけて発売された。VOL.7には約5分間の新作映像が追加されている。

巻数発売日収録話
VOL.12005年3月25日第1話 - 第2話
VOL.22005年4月22日第3話 - 第6話
VOL.32005年5月27日第7話 - 第10話
VOL.42005年6月24日第11話 - 第14話
VOL.52005年7月22日第15話 - 第18話
VOL.62005年8月26日第19話 - 第22話
VOL.72005年9月23日第23話 - 第26話

漫画

コミカライズ作品が『月刊コミックフラッパー』(メディアファクトリー)で連載され、MFコミックスより単行本が出版された。

  • 作画:宮野将一、原案:なかむらたかし『ファンタジックチルドレン 時計じかけの旅人たち』
    1. (2004年10月23日発売)ISBN 978-4-84-010983-3
    2. (2005年4月23日発売)ISBN 978-4-84-011302-1

ゲーム

ゲームボーイアドバンス用ソフト、発売:バンダイ、制作:インティ・クリエイツ、2005年5月19日発売。

オエセル隊

本作の声優である河原木志穂・松本さち・はらさわ晃綺・高口幸子・浦田優・矢口アサミによる声優ユニット。2022年時点も活動を継続。

脚注

  1. ^ a b c d e f サントラ千夜第78回 苦悩と救済の旅 〜ファンタジックチルドレン〜”. WEBアニメスタイル. 株式会社スタイル (2016年4月5日). 2022年2月10日閲覧。
  2. ^ a b ストーリー”. ファンタジックチルドレン公式サイト. 日本アニメーション. 2022年2月10日閲覧。
  3. ^ 伊藤計劃「ハーモニー」なかむらたかし、マイケル・アリアスW監督「虐殺器官」村瀬修功監督”. アニメ!アニメ!. イード (2014年11月27日). 2022年2月10日閲覧。
  4. ^ タツノコプロ創立60周年!ワクワクの周年企画がスタート”. アニメージュ. 徳間書店 (2021年10月19日). 2022年2月10日閲覧。
  5. ^ 山本 二三 アーティスト・クリエイターが彩る色彩の世界”. TOYO INK 1050+. 東洋インキSCホールディングス (2013年2月4日). 2022年2月11日閲覧。
  6. ^ タニグチリウイチ (2019年5月4日). “平成アニメ史1999-2008編:『∀ガンダム』から「ノイタミナ」、新海誠監督まで”. IGN Japan. 産経デジタル. 2022年2月10日閲覧。
  7. ^ なかむら監督談により。

外部リンク

テレビ東京 月曜25:00 - 25:30枠
前番組番組名次番組
純愛果実
(2004年4月5日 - 9月27日)
ファンタジックチルドレン
(2004年10月4日 - 2005年3月28日)
創聖のアクエリオン
(2005年4月4日 - 9月26日)