パリマラソン

パリマラソン(Marathon de Paris)は、フランスパリで毎年4月に開催されるワールドアスレティックスゴールドラベルのフルマラソンレース。世界のトップ選手が競う国際公認大会であるとともに、140近い国籍から50,000人がエントリーし25万人が応援するという一大祭典でもある(数字は2014年)。主催はアモリ・スポル・オルガニザシオン (ASO, Amaury Sport Organisation)。

パリマラソン
2014パリマラソンのスタート(シャンゼリゼ大通り)
開催地フランスの旗 フランスパリ
開催時期4月
種類ロードコース
距離マラソン
最高記録男子:  ケネニサ・ベケレ (ETH) 2:05:04
女子:  ボル・タデセ (ETH) 2:21:06
創立1976年
スポンサーシュナイダーエレクトリック
公式サイトサイト

概要 編集

2013年パリマラソン

1976年に創設[1]。1991年大会が湾岸戦争のため中止されたのを除き、毎年4月に開催されてきたフランス最大のマラソン大会であり、ゴール人数において世界でニューヨークシティーマラソンに次ぐ2番目の規模を持つ大会でもある(2013年)[2]。2014年は、50,000人(男子79%、女子21%)のエントリーがあり、43,124人がスタートし、39,115人がゴールした。国際色が強く、2014年は138か国からエントリーがあり、その三分の一はフランス国外からのものであった。

大会記録は、男子が2時間05分04秒(ケネニサ・ベケレ、2014年)、[3]女子が2時間21分06秒(ボル・タデセ、2013年)である。[4]

コース 編集

2005年以降のコースは、凱旋門を背にしてシャンゼリゼ通りをスタートし、コンコルド広場リヴォリ通りテュイルリー庭園ルーブルバスチーユ広場ヴァンセンヌの森ノートルダム寺院ポン・ヌフエッフェル塔を望むセーヌ河畔、ブーローニュの森などを通り、凱旋門を正面に見ながらフォッシュ通りにてフィニッシュする42.195kmである。世界遺産パリの文化的名所・街並みと自然を満喫できるコースのため、主催者は「42.195km dans la plus belle ville du monde (世界一美しい街をゆく42.195km)」と謳っている。[5]また、2014年で102か所と、非常に多くの応援演奏・ダンスが沿道にあり、祭典としても盛り上がる。[6]セーヌ川沿いのトンネル通過時に若干の起伏があるが、おおむね起伏は多くないコースである。シャンゼリゼ通り、トロカデロ付近、ブーローニュの森の一部などに石畳の部分がある。

タイム 編集

ゴールタイム(ネットタイム)は、2014年大会では、31人が2時間半未満でのゴール、842人(2.15%)が3時間未満でのゴール(サブスリー)、5,253人(13.43%)が3時間半未満でのゴール、15,376人(39.31%)が4時間未満でのゴール(サブフォー)、33,584人(85.86%)が5時間未満でのゴールであった。(%は対ゴール人数比率)[7]

歴代優勝者 編集

凡例:      大会記録      French championship race

開催年男子優勝者国籍タイム (時間::)女子優勝者国籍タイム (時間::)実スタート人数ゴール人数
2021エリシャ・ロティッチ  ケニア2:04:21Tigist Memuye  エチオピア2:26:11
2020cancelled due to COVID-19 pandemic
2019Abrha Milaw  エチオピア2:07:05Gelete Burka  エチオピア2:22:47
2018ポール・ロンヤンガタ  ケニア2:06:25ベッツィ・サイナ英語版  ケニア2:22:56
2017ポール・ロンヤンガタ  ケニア2:06:10プリティ・リオノリポ  ケニア2:20:5543 75442 483
2016Cyprian Kotut  ケニア2:07:11ビシリン・ジェプケショ  ケニア2:25:5343 31741 708
2015Mark Korir  ケニア2:05:48Meseret Mengistu  エチオピア2:23:2643 31741 708
2014ケネニサ・ベケレ  エチオピア2:05:04フロメナ・チェイエチ  ケニア2:22:4243,12439,115
2013ピーター・ソメ  ケニア2:05:38ボル・タデセ  エチオピア2:21:0640,10838,690
2012Stanley Biwott  ケニア2:05:11Tirfi Beyene  エチオピア2:21:3934,29732,980
2011Benjamin Kiptoo  ケニア2:06:29Priscah Jeptoo  ケニア2:22:5132,09231,169
2010Tadesse Tola  エチオピア2:06:41Atsede Baysa  エチオピア2:22:0431,56630,976
2009Vincent Kipruto  ケニア2:05:47Atsede Baysa  エチオピア2:24:4231,37330,334
2008Tsegay Kebede  エチオピア2:06:40Martha Komu  ケニア2:25:3329,70628,883
2007Shami Mubarak  カタール2:07:17Askale Tafa  エチオピア2:25:0828,26126,879
2006Gashaw Asfaw  エチオピア2:08:03Irina Timofeyeva  ロシア2:27:1931,61630,772
2005Salim Kipsang  ケニア2:08:02Lidiya Grigoryeva  ロシア2:27:0028,857
2004Ambesse Tolosa  エチオピア2:08:56Salina Kosgei  ケニア2:24:3229,700
2003Michael Kosgei Rotich  ケニア2:06:33Beatrice Omwanza  ケニア2:27:4129,036
2002Benoît Zwierzchiewski  フランス2:08:18Marleen Renders  ベルギー2:23:0524,025
2001Simon Biwott  ケニア2:09:40Florence Barsosio  ケニア2:27:5322,343
2000Mohamed Ouaadi  フランス2:08:49Marleen Renders  ベルギー2:23:4327,596
1999Julius Rutto  ケニア2:08:10Cristina Costea  ルーマニア2:26:1117,544
1998ジャクソン・カビガ  ケニア2:09:37Nicole Caroll  オーストラリア2:27:06
1997John Kemboi  ケニア2:10:14Yelena Razdrogina  ロシア2:29:10
1996Henrique Crisostomo  ポルトガル2:12:18Alina Tecuta  ルーマニア2:29:32
1995Domingos Castro  ポルトガル2:10:06Judit Nagy  ハンガリー2:31:43
1994Saïd Ermili  モロッコ2:10:56谷川真理  日本2:27:55
1993Leszek Beblo  ポーランド2:10:46吉田光代  日本2:29:16
1992Luis Soares  フランス2:10:03Tatyana Titova  ロシア2:31:12
1991湾岸戦争のため中止
1990Steve Brace  イギリス2:13:10山本佳子  日本2:35:11
1989Steve Brace  イギリス2:13:03小島和恵  日本2:29:23
1988マヌエル・マティアス  ポルトガル2:13:53Aurora Cunha  ポルトガル2:34:56
1987Abebe Mekonnen  エチオピア2:11:09Elena Cobos  スペイン2:34:47
1986Ahmed Salah  ジブチ2:12:44Maria Rebelo  フランス2:32:16
1985Jacky Boxberger  フランス2:10:49Maureen Hurst  イギリス2:43:31
1984Ahmed Salah  ジブチ2:11:58Sylviane Levesque  フランス2:38:20
1984Additional women's raceLorraine Moller  ニュージーランド2:32:44
1983Jacky Boxberger  フランス2:12:38Jacqueline Courtade  フランス2:58:14
1982Ian Thompson  イギリス2:14:07Anne Marie Cienka  フランス2:56:14
1981Dave Cannon
Ron Tabb (ex-æquo)
 イギリス
 アメリカ
2:11:44Chantal Langlacé  フランス2:48:24
1980Sylvain Cacciatore  フランス2:25:50Gillian Adams  イギリス2:49:42
1979Fernand Kolbeck  フランス2:18:53Vreni Forster  スイス2:51:14
1978Gilbert Coutant  フランス2:34:55"Lawrence"  アメリカ3:26:15
1977Gérard Métayer  フランス2:30:41Not Held
1976Jean-Pierre Eudier  フランス2:20:57Not Held

日本人優勝者 編集

女子の部では過去に4人の日本人選手が優勝している。男子の優勝者はまだない。

車いすの部 編集

2003年には日本の廣道純が2位入賞している。(廣道は2011年にも6位入賞している)

一般ランナーの参加 編集

2015年参加者募集から、申し込みに抽選が導入されるようになった。申し込みはインターネット上でプレ申請し、抽選に当たったら払い込みとともに本申請を行う。この後も申し込みの機会があるが、後の申し込みになるほど参加費が高くなる方式を採っている。本申請後、ゼッケン受け取り(大会3日ほど前からランニングエキスポ会場において)には、規定された文言を含む医師による健康診断書と身分証明書が必要であるほか、一定SAS以上では、最高記録の証明書も要求される。

運営 編集

スタートは、申告自己最高記録(ネットタイム、正味のタイムで)ごとのSASに分かれたウェーブスタート形式で行われ、この数年、エリートランナーがスタートしてから、最後のウェーブがスタートするまでに1時間以上かかっている。ゼッケンと一体化したタイムチップにより、5キロごととハーフ地点、ゴール地点に設置されたゲートでネットタイム(正味のタイム)が計測され、大会ホームページおよび公式アプリにおいて速報される。[5]

2014年大会では、32人のペースメーカー、7つの救護ステーション、45個の体外除細動器、3,000人のボランティア、300人の整体マッサージ師、43万6,500本のペットボトル水、約23トンのバナナ、約16トンのオレンジ、41万2,500個の角砂糖、などが用意された。[5]ゼッケンとともに渡される景品の中には、例年、スタート前にかぶれる薄手のビニールポンチョが含まれ、ゴール後には、フィニッシャーズTシャツ・メダルと、厚手のビニールポンチョが支給されるのが通例である。荷物預かりはゴール地点付近に設置されている。

その他 編集

大田原マラソンの成績上位者が近年パリマラソンに派遣されている。

脚注 編集

  1. ^ L'Historique (2)”. 2008年2月23日閲覧。
  2. ^ Largest Marathons for 2007”. 2008年2月23日閲覧。
  3. ^ [1]
  4. ^ [2]
  5. ^ a b c [3]
  6. ^ [4]
  7. ^ [5]

外部リンク 編集