ジャック・ミラー (オートバイレーサー)

ジャック・ピーター・ミラー (Jack Peter Miller[1], 1995年1月18日 - ) は、オーストラリアクイーンズランド州出身のオートバイレーサー。2014年のMoto3クラス世界選手権でランキング2位になったことでよく知られ、脚光を浴びた[2]

ジャック・ミラー
国籍オーストラリアの旗 オーストラリア
生年月日 (1995-01-18) 1995年1月18日(29歳)
オーストラリアクイーンズランド州タウンズビル
現在のチームレッドブル・KTM・ファクトリーレーシング
ゼッケン43
レースでの経歴
ロードレース世界選手権 MotoGPクラス
活動期間2015年-
マニファクチャラーホンダドゥカティKTM
2022年 順位5位 (189 pts)
出走回数勝利数表彰台PPFL総ポイント
14542323993
ロードレース世界選手権 Moto3クラス
活動期間2012年-2014年
マニファクチャラーホンダ, FTR ホンダ
2014年 順位2位 (276 pts)
出走回数勝利数表彰台PPFL総ポイント
4961081403
ロードレース世界選手権 125ccクラス
活動期間2011年
マニファクチャラーアプリリア, KTM
2011年 順位NC (0 pts)
出走回数勝利数表彰台PPFL総ポイント
600000

経歴

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国内での活動

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ミラーはオーストラリアクイーンズランド州タウンズビルで生まれ、都市の郊外で成長した。熱帯の都市で彼はモーターバイクとクアッドバイク、水上スキーやフェンシング、牛の世話の手伝いに楽しみを見いだした。両親と兄弟は彼のレース活動を初期の段階からサポートし、世界選手権を目指した。ミラーは8歳の時からレース活動を行い、勝利を収めていた。彼はダートレースを始め、2003年にはオーストラリア・ダートバイク選手権65ccカテゴリーのタイトルを獲得した。2005年、2006年、2007年と彼は5つのオーストラリア選手権タイトルを獲得し、ダートレースやモトクロスで数多くの地域や州のタイトルを獲得した。

ヨーロッパで

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2011年はヨーロッパでのブレイクアウトの年であった。一連の強力なパフォーマンスで彼は16歳にしてドイツのIDM125ccカテゴリーのタイトルを獲得した。この結果、イタリアのフォワード・レーシングから注目され、2012年に同チームからMoto3世界選手権に出場することとなった。

Moto3

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Moto3参戦初年の2012年、ミラーはカレッタ・テクノロジー・フォワード・レーシングからホンダ・NSF250Rを走らせた。マシンの競争力は低く、ミラーは来たるべき年に競走するサーキットを学ぶ機会を与えられた。その年のランキングは23位に終わり、最高位はザクセンリンクで行われたドイツグランプリでの4位であった。

2013年はレーシングチーム・ジャーマニーに移籍し、FTRホンダに乗ることとなる。この年ミラーは13回ポイントを獲得し、最終順位はランキング7位であった。最高位は5位で、サンマリノとオーストラリアの2回で記録した。

2014年はKTMのファクトリーチーム、レッドブル・KTMアジョに移籍する。この年ミラーは初のファステストラップ、ポールポジション、表彰台および勝利を記録した。最終的に彼は6勝を挙げ、アレックス・マルケスに次ぐランキング2位となった。タイトルを獲得したマルケスとは2ポイント差であった[2]

MotoGPへのステップアップ

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2015年シーズン、ミラーはMotoGPクラスにステップアップし、2台体制に拡大したチーム・LCRカル・クラッチローのチームメイトとなった。ミラーはオープンクラスのホンダ・RC213V-RSを駆り、最高位はカタルーニャでの11位であった。イギリスグランプリでは序盤先頭を走ったが、3周目にチームメイトのクラッチローと衝突した[3]

2016年エストレラ・ガリシア 0,0 マルクVDSに移籍した[4]。開幕戦のカタールでは14位に入り、カタルーニャでは10位に入った。6月26日、アッセンで初勝利を挙げた。19番グリッドからスタートしたが、豪雨の後レースは赤旗が提示、中断された。再開されたレースは12ラップに短縮された。ロッシとドヴィツィオーゾがクラッシュ、リタイアした後、マルケスをパスして最高峰クラスでの初勝利を挙げた。オーストラリア人ライダーの勝利としては、2012年オーストラリアグランプリでケーシー・ストーナーが挙げた勝利以来であった。また、ファクトリーチーム以外の勝利は2006年ポルトガルグランプリのトニ・エリアス以来のことである。

2021年からドゥカティ・レノボ・チームに移籍。フランチェスコ・バニャイアとチームメイトを組む。この4年間度々表彰台を獲得するが、優勝に恵まれることはなかった。しかし、第4戦スペインで久々の優勝、次戦のフランスも続けて優勝した。結果、これらの優勝と表彰台3回を記録して総合ランキング4位につけ、チームタイトル獲得にも貢献した。

2022年6月9日に、2023年シーズンは4年間在籍しているドゥカティを離れ、KTMに2年契約で加入することが発表された。一時はチームLCRへ復帰する可能性も取り沙汰された。

エピソード

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2016年シーズンにMotoGPで初優勝をした際に、「シューイ」というレース中ずっと履いていた靴にシャンパンを入れて飲むという母国で人気の儀式をパフォーマンスとして行った。これが流行となり、多くのレーサーに影響を与えた。

2022年10月に婚約中だったルビー・アドリアーナ夫人との結婚をインスタグラムで発表した[5]

戦績

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ロードレース世界選手権

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シーズンクラス車両出走数優勝回数表彰台数ポールポジションファステストラップポイント順位
2011年125ccアプリリア600000NC
KTM
2012年Moto3ホンダ1400001723位
2013年Moto3FTR ホンダ1700001107位
2014年Moto3KTM18610812762位
2015年MotoGPホンダ1800001719位
2016年MotoGPホンダ711005718位
2017年MotoGPHonda1700008211位
2018年MotoGPドゥカティ1800109113位
2019年MotoGPドゥカティ1905011658th
2020年MotoGPドゥカティ1404011327位
2021年MotoGPドゥカティ1825001814th
2022年MotoGPドゥカティ1917111895位
2023年MotoGPKTM20010016311位
2024年MotoGP700004716位
合計21910331041527
  • * 現在進行中
クラス車両1234567891011121314151617181920順位ポイント
2011年125 ccアプリリアQATSPAPORFRACATGBRNEDITAGER
Ret
CZEINDNC0
KTMRSM
24
ARAJPN
16
AUS
23
MAL
16
VAL
Ret
2012年Moto3ホンダQAT
25
SPA
Ret
PORFRA
Ret
CAT
15
GBR
Ret
NED
DSQ
GER
4
ITA
21
IND
DNS
CZERSM
Ret
ARA
19
JPN
19
MAL
13
AUS
21
VAL
Ret
23位17
2013年Moto3FTR ホンダQAT
16
AME
6
SPA
Ret
FRA
12
ITA
10
CAT
7
NED
7
GER
7
IND
Ret
CZE
7
GBR
7
RSM
5
ARA
13
MAL
6
AUS
5
JPN
6
VAL
Ret
7位110
2014年Moto3KTMQAT
1
AME
1
ARG
3
SPA
4
FRA
1
ITA
Ret
CAT
4
NED
Ret
GER
1
IND
3
CZE
5
GBR
6
RSM
3
ARA
27
JPN
5
AUS
1
MAL
2
VAL
1
2位276
2015年MotoGPホンダQAT
Ret
AME
14
ARG
12
SPA
20
FRA
Ret
ITA
Ret
CAT
11
NED
Ret
GER
15
IND
Ret
CZE
19
GBR
Ret
RSM
12
ARA
19
JPN
Ret
AUS
15
MAL
17
VAL
21
19位17
2016年MotoGPホンダQAT
14
ARG
Ret
AME
DNS
SPA
17
FRA
Ret
ITA
Ret
CAT
10
NED
1
GER
7
AUT
DNS
CZEGBR
16
RSM
DNS
ARAJPN
Ret
AUS
10
MAL
8
VAL
15
18位57
2017年MotoGPホンダQAT
8
ARG
9
AME
10
SPA
Ret
FRA
8
ITA
15
CAT
Ret
NED
6
GER
15
CZE
14
AUT
Ret
GBR
16
RSM
6
ARA
13
JPNAUS
7
MAL
8
VAL
7
11位82
2018年MotoGPドゥカティQAT
10
ARG
4
AME
9
SPA
6
FRA
4
ITA
Ret
CAT
Ret
NED
10
GER
14
CZE
12
AUT
18
GBR
C
RSM
18
ARA
9
THA
10
JPN
Ret
AUS
7
MAL
8
VAL
Ret
13位91
2019年MotoGPドゥカティQAT
Ret
ARG
4
AME
3
SPA
Ret
FRA
4
ITA
Ret
CAT
5
NED
9
GER
6
CZE
3
AUT
Ret
GBR
8
RSM
9
ARA
3
THA
14
JPN
10
AUS
3
MAL
8
VAL
3
8位165
2020年MotoGPドゥカティSPA
4
ANC
Ret
CZE
9
AUT
3
STY
2
RSM
8
EMI
Ret
CAT
5
FRA
Ret
ARA
9
TER
Ret
EUR
6
VAL
2
POR
2
7位132
2021年MotoGPドゥカティQAT
9
DOH
9
POR
Ret
SPA
1
FRA
1
ITA
6
CAT
3
GER
6
NED
Ret
STY
Ret
AUT
11
GBR
4
ARA
5
RSM
5
AME
7
EMI
Ret
ALG
3
VAL
3
4位181
2022年MotoGPドゥカティQAT
Ret
INA
4
ARG
14
AME
3
POR
Ret
SPA
5
FRA
2
ITA
15
CAT
14
GER
3
NED
6
GBR
3
AUT
3
RSM
18
ARA
5
JPN
1
THA
2
AUS
Ret
MAL
6
VAL
Ret
5位189
2023年MotoGPKTMPOR
74
ARG
6
AME
Ret9
SPA
3
FRA
Ret
ITA
7
GER
6
NED
Ret
GBR
8
AUT
15
CAT
8
RSM
Ret
IND
14
JPN
6
INA
7
AUS
7
THA
16
MAL
8
QAT
9
VAL
Ret
11位163
2024年MotoGPQAT
21
POR
5
AME
13
SPA
Ret
FRA
Ret
CAT
Ret
ITA
16
NEDGERGBRAUTCATRSMKAZINAJPNAUSTHAMALVAL16位*27*
  • * 現在進行中

鈴鹿8時間耐久ロードレース

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開催年バイクチームパートナー総合順位
2017年ホンダ・CBR1000RRMuSASHi RT HARC-PRO.高橋巧/中上貴晶4位

参照

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  1. ^ Campeonato de Espana de Velocidad, Circuito de Jerez - 7a Prueba: Clasificacion Final” (PDF). CEV Buckler. Dorna Sports (2010年11月21日). 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年5月10日閲覧。
  2. ^ a b “Marquez clinches title in third as Miller wins final race”. MotoGP.com (Dorna Sports). (2014年11月9日). http://www.motogp.com/en/news/2014/Moto3+Valencia+Race+Miller 2014年11月9日閲覧。 
  3. ^ “Miller apologises to Crutchlow for wipe out”. Crash.net (Crash Media Group). (2015年8月31日). http://www.crash.net/motogp/news/222509/1/miller-apologises-to-crutchlow-for-wipe-out.html 2015年10月25日閲覧。 
  4. ^ “Jack Miller joins the Marc VDS Racing Team for 2016”. MotoGP.com (Dorna Sports). (2015年10月15日). http://www.motogp.com/en/news/2015/10/15/jack-miller-joins-the-marc-vds-racing-team-for-2016/187078 2016年2月29日閲覧。 
  5. ^ Ducati Corse [@ducaticorse] (2022年10月8日). "We wish all the best to Jack and Ruby on their Wedding Day! 💍 Congratulations, guys! 🥳". Instagramより2022年11月9日閲覧

外部リンク

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