ジムボタン』は、ミハエル・エンデ(ミヒャエル・エンデ)著の児童文学『ジム・ボタンの冒険[1]』を原作とするテレビアニメである。毎日放送エイケンの共同製作。1974年10月4日から1975年3月28日までNET系列局で放送された。全26話。

ジムボタン
アニメ
原作ミハエル・エンデ
キャラクターデザイン小林勝利
音楽越部信義
アニメーション制作エイケン
製作毎日放送、エイケン
放送局NET系列
放送期間1974年10月4日 - 1975年3月28日
話数全26話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

概要 編集

母を邪悪な魔神にさらわれ、恋人も小鳥にされるという悲劇に見舞われながらも挫けず、母を救うために戦う主人公のハードなドラマを描いている。原典の『ジム・ボタンの冒険』と違っていわゆるヒーローものの作品となり、大幅なアレンジが加えられている。

ストーリー 編集

どこかの海上に浮かぶ島「ナンデモランド」。そこに洋裁の達人である母ニーナと2人きりで住む少年ジム。ジムは正義感は強いが、暴れん坊で学校嫌いが玉に瑕。いつも学校をサボっては、発明家のルーカスが作った、笛で操る蒸気機関車「エマ」に乗せてもらっている。だが、ルーカスがエマを作ったのにはそれなりの理由があった。というのは、ナンデモランドの遥か北方の山奥に住み、ナンデモランドはおろか、世界中の人々を不幸のどん底に叩き込もうとする悪の帝王・魔神ドリンガーに対抗するためだったのだ。何事も無ければいいのだが…。

だが、その予感は的中した。ドリンガー軍団第1の刺客・海賊キャプテンキット(下半身が飛行海賊船となっている海賊)が部下ブラックを連れて、ナンデモランド上空に現れ、石化爆弾でルーカスを始めとするナンデモランドの大人達を石に変え、ブラックが魔法銃で子供達を動物に変え、ガールフレンドのポッコも小鳥になってしまった。さらにドリンガーはニーナの腕に目をつけ、ニーナに妖力を発生出来る服を作らせるべく、配下のコウモリ男爵にニーナをさらわせた。かくてジムは、自分の家に代々伝わるボタンを胸に、ポッコと自我を持つ機関車エマとともに、母親を取り戻すための旅に出る。だが行く手には、次々とドリンガー軍団の刺客が襲い掛かる。ジムは、ボタンを握り締めて発動する「ボタンパンチ」と、ボタンを投げつける「ボタンシュート」を武器とし、ドリンガー軍団の刺客と戦う。果たしてジムはドリンガーを倒し、母を助けることができるのか…?

声の出演 編集

ジム
- 太田淑子
主人公。母・ニーナと二人暮らし。学校嫌いなわんぱく坊主だが、勇敢で正義感が強い。
母を誘拐してボッコを小鳥に変えた魔神ドリンガーを倒すべく、直前に付けてもらった武器と言うべきボタンを胸に、意志を持つようになった機関車エマで旅立つ。

ポッコ
声 - 松尾佳子
ジムのガールフレンド。子供を動物に変える魔法銃によって小鳥に姿を変えられる。
可愛く清楚だが芯も強く、自らジムの旅に同行する。

ドリンガー
声 - 観世栄夫
本編のラスボスと言える魔神。人々を不幸にしようと目論んでおり、ジムの母・ニーナをさらう。

ニーナ
声 - 北浜晴子
ジムの母。仕立て屋として女手ひとつでジムを育て上げた。優しく、芯の強い性格。
その洋裁の腕には定評があるが、それ故にドリンガーにつけ込まれ、誘拐されてしまう。

作品設定 編集

ジムの装備 編集

ボタン
ジムの家の代々伝わるボタンで、付けている者の潜在能力を高める力がある。必殺技は、ボタンを握り締めてパンチを繰り出す「ボタンパンチ」と、ボタンを手裏剣の如く投げつける「ボタンシュート」の2つ。
エマを呼ぶ時に使う。吹くと汽笛のような音がする。ルーカスが作った。
エマ
ルーカスが作った蒸気機関車。元は笛で動くだけの物だったが、ブラックがジムを機関車に変えようと発射した魔法銃の弾がうっかり命中し、自我を持つようになった。ジムの笛や叫びで動くほか、フロントからの火炎攻撃など、様々な能力を秘めている。

スタッフ 編集

  • 原作(原案) - ミハエル・エンデ「ジムボタンの機関車大冒険」
  • プロデューサー - 渡邊米彦、小野辰雄(エイケン)
  • 総作画監督 - 角田利隆
  • キャラクターデザイン(チーフアニメーター) - 小林勝利
  • アートディレクター - 大隅敏弘
  • チーフディレクター - おのきよし
  • 音楽 - 越部信義
  • 企画/制作 - 毎日放送、エイケン

楽曲 編集

主題歌 編集

これらを収録したレコード日本コロムビアから、ソノシート朝日ソノラマから発売された。

オープニングテーマ「ジムボタンの歌」
作詞 - 保冨康午 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子こおろぎ'73
オープニングの映像は、第1話のハイライトシーン(ニーナがさらわれ、ポッコが鳥になる)を挿入したものと無いものの2種類がある。
エンディングテーマ「ポッコちゃんが好き」
作詞 - 保冨康午 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子

挿入歌 編集

以下の楽曲は、1974年12月25日に日本コロムビアから発売されたLPアルバム『みんなとうたおうジムボタン』(品番 - KKS-4130)にオープニングテーマやエンディングテーマとともに収録されている。単独でのCD化はされていないが、堀江歌唱曲については『堀江美都子 歌のあゆみ2 はつらつ青春時代』(品番 - 72CC-3094〜6)に収録されている。「わが名は魔神ドリンガー」は『青春ラジメニア30周年記念アルバム アニソン縦横無尽 ひねくれの帰還』でCD化

ジムボタン危機一髪
作詞 - 松岡清治 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子、こおろぎ'73
ナンデモランドはなつかしい
作詞 - 城山昇 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会
ボタンを握って
作詞 - 港大介 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子、こおろぎ'73
ゴー!ゴー!エマ号
作詞 - 港大介 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - こおろぎ'73
ポッコの空
作詞 - 辻真先 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子
きらい好き
作詞 - 松岡清治 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子
わが名は魔神ドリンガー
作詞 - 港大介、松岡清治 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - こおろぎ'73
はやく人間にもどりたい
作詞 - 城山昇 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子
おれたちゃ走る
作詞 - 松岡清治 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - こおろぎ'73
ママの夢
作詞 - 城山昇 / 作曲・編曲 - 越部信義 / 歌 - 堀江美都子

放映リスト 編集

サブタイトル脚本演出作画監督放映日
1海賊キャプテンキッド参上!辻真先りんたろう山岸弘1974年
10月4日
2機関車エマ号ばく進だ!国保誠10月11日
3怒りのボタンパンチ!!松岡清治高垣幸蔵金子勲10月18日
4命中! 燃えるボタンシュート!城山昇りんたろう角田利隆10月25日
5危うし! 死刑台のジム平谷寿敏山田勝久兼森義則11月1日
6エマ号連結体あたり作戦辻真先高垣幸蔵小林勝利11月8日
7砂漠のニセ巨人城山昇小林三男國保誠11月15日
8妖怪サタンをやっつけろ!松岡清治佐々木皓一石黒育11月22日
9ドリンガー城のひみつはなに?平谷寿敏りんたろう金子勲11月29日
10魔法のブーメランがとぶ!吉田喜昭福原悠一角田利隆12月6日
11がんばれエマ号追跡だ!松岡清治小林三男山岸弘12月13日
12ポッコの大ピンチ!松元力山田勝久兼森義則12月20日
13馬人ダマカスをだませ!城山昇小林三男-12月27日
14はばたけ白鳥! ジムの国へ松岡清治矢沢則夫金子勲1975年
1月3日
15謎のゆうれい船平谷寿敏佐々木皓一石黒育1月10日
16涙のボタンパンチ!松元力矢沢則夫角田利隆1月17日
17のびろよ! のびろ! 高い鼻吉田喜昭りんたろう山岸弘1月24日
18ゴー! ゴー! エマ号大脱走城山昇山田勝久兼森義則1月31日
19海賊キャプテンキッド空中戦辻真先りんたろう國保誠2月7日
20ポッコの魔法が解けた?松元力鳥居宥之金子勲2月14日
21不思議な人形つかい平谷寿敏佐々木皓一石黒育2月21日
22エマ号の激流つな渡り吉田喜昭鳥居宥之角田利隆2月28日
23こうもり男爵の最後松岡清治矢沢則夫山岸弘3月7日
24ドリンガー城へ全速前進!平谷寿敏山田勝久兼森義則3月14日
25でてこい! 魔人ドリンガー城山昇鳥居宥之國保誠3月21日
26死闘! ジム対ドリンガー最後の対決!平谷寿敏金子勲3月28日

参考 - 「記憶のかさブタ」サイト

放送局 編集

映像ソフトについて 編集

本作のオープニングとエンディングは東映ビデオVHSLDDVD『エイケンTVアニメ主題歌大全集』に収録されているが、アニメ本編は映像ソフト化されていない。

かつて東映ビデオから発売・レンタルされていた『エイケンTVアニメグラフィティ』(年代不明、VHS、廃盤)にラインナップされておらず、1986年に東映ビデオから発売・レンタルされた『TVヒーロー主題歌全集 8 エイケン篇』(VHS、廃盤)にもオープニング・エンディング映像は収録されていないが、1999年12月に東映ビデオから発売されたリニューアル版『エイケンTVアニメ主題歌大全集』(VHS、LD、後にDVDも発売)にはオープニング・エンディング映像が収録されている。なお、これに収録されたオープニング映像は、第1話のハイライトシーンが無いバージョンである。

漫画 編集

講談社の『テレビマガジン』、『たのしい幼稚園』、『おともだち』、『ディズニーランド』に本作のコミカライズ版が連載されていた。同じエイケン作品である『冒険コロボックル』と同様に、『テレビマガジン』連載版の執筆は永田竹丸が担当した。

脚注 編集

  1. ^ 原作の邦題は2種類あり、訳者の違いによって「ジム・ボタンの機関車大冒険」または「ジム・ボタンの機関車大旅行」となる。
  2. ^ 日刊スポーツ』1975年2月6日 - 3月27日付テレビ欄。
  3. ^ 河北新報』1974年12月1日 - 1975年5月25日付朝刊、テレビ欄。
  4. ^ a b 『日刊スポーツ』1975年2月4日 - 3月25日付テレビ欄。
  5. ^ 『河北新報』1975年1月30日 - 8月7日付朝刊、テレビ欄。
  6. ^ 福島民報』1974年10月20日 - 1975年4月13日付朝刊、テレビ欄。
  7. ^ 『日刊スポーツ』1975年2月3日 - 3月31日付テレビ欄。
  8. ^ 『日刊スポーツ』1975年2月5日 - 3月26日付テレビ欄。
  9. ^ 北國新聞』1975年7月3日付朝刊、テレビ欄。
  10. ^ 『北國新聞』1975年4月7日付朝刊テレビ欄より。
  11. ^ 『北國新聞』1975年3月4日付朝刊テレビ欄より。
  12. ^ a b 山陽新聞』1974年11月テレビ欄。
  13. ^ 熊本日日新聞』1974年11月テレビ欄。
  14. ^ 宮崎日日新聞』1974年11月1日朝刊、テレビ欄。

外部リンク 編集

毎日放送 金曜19:00枠
前番組番組名次番組
昆虫物語 新みなしごハッチ
(1974年4月5日 - 9月27日)
ジムボタン
(1974年10月4日 - 1975年3月28日)
【本番組までNET系列
ちびっこアベック歌合戦
(1975年4月4日 - 9月26日)
【同番組からTBS系列
【土曜19:00枠から移動】
NET系列 金曜19:00枠
昆虫物語 新みなしごハッチ
(1974年4月5日 - 9月27日)
ジムボタン
(1974年10月4日 - 1975年3月28日)
【本番組まで毎日放送製作】
勇者ライディーン
(1975年4月4日 - 1976年3月26日)
NETテレビ製作】