ACキエーヴォ・ヴェローナ

イタリアのサッカークラブ

アッソチャツィオーネ・カルチョ・キエーヴォ・ヴェローナAssociazione Calcio Chievo Verona S.r.l.)は、かつてイタリアヴェローナを本拠地として活動していたサッカークラブチーム。

ACキエーヴォ・ヴェローナ
原語表記Associazione Calcio Chievo Verona S.r.l.
愛称Clivensi(キエーヴォ人)
Squadra della diga(ダムのチーム)
Mussi volanti(空飛ぶロバ)
クラブカラー 青と黄
創設年1929年
ホームタウンヴェローナ
ホームスタジアムスタディオ・マルカントニオ・ベンテゴディ
収容人数39,211
代表者イタリアの旗 ルカ・カンペデッリイタリア語版
監督イタリアの旗 マルコ・ザッファローニ
公式サイト公式サイト
ホームカラー
アウェイカラー
サードカラー
テンプレート(ノート)サッカークラブPJ

概略 編集

キエーヴォというのはヴェローナの地区名の一つ[1]。同じくヴェローナのスタディオ・マルカントニオ・ベンテゴディをホームスタジアムとしているエラス・ヴェローナFC[1]との試合はダービーマッチとして盛り上がる。一地方都市の、その一地区を本拠に置くクラブがトップカテゴリーに昇格したのは長いイタリアサッカー史においても、このクラブが初である。

チームは1929年に設立、2001-02シーズンでセリエAに初昇格した[1]。昇格初シーズンは5位でシーズンを終え、一時は首位に立つなどその躍進は"ミラクル・キエーヴォ"と呼ばれた。2005-06シーズンは当初は7位でUEFAカップの出場が決まっていたが、ユヴェントスFCSSラツィオACFフィオレンティーナが不正事件でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を剥奪されたため繰り上がり、4位扱いでクラブ史上初めてCL出場権を得ることになった。だが2006-07シーズンは、CL予備予選3回戦でブルガリアレフスキ・ソフィア相手に不覚を取ったことをきっかけに終始低迷。最終節でカルチョ・カターニアに0-2で敗れセリエB降格が決まった。翌2007-08シーズンはセリエBで優勝し、1年でのセリエA復帰に成功。2018-19シーズンは過去3年に渡る不正会計が発覚し、勝ち点3を剥奪[2]。シーズンも低迷を続け、2019年4月14日にSSCナポリに1-3で敗れセリエB降格が決まった[3]。2020-21シーズンは8位に終わり、セリエA昇格プレーオフには臨んだものの、1回戦のヴェネツィアFC(5位)に敗れセリエA復帰は果たせなかった。

2021年7月26日、財政難により、カンピオナート・インテッレジョナーレに属していた1985-86シーズン以来となるセリエDへの降格が決まった[4]

2021年8月21日、セリエDの登録期限までにクラブの買取り手が現れずクラブは消滅することになった[5]

2021年8月24日、クラブのレジェンドであるセルジオ・ペリッシエールによって、後継クラブとなるFC Chievo 1929が発足した。


キエーヴォの背番号30は自動車事故のため26歳で死亡したFWジェイソン・マイェレen:Jason Mayélé)に敬意を表すため、背番号31はキエーヴォで長きにわたり活躍したペリッシェールを讃えるため、それぞれ永久欠番に指定されていた。

チームカラー 編集

ワンマン・オーナーのチームによく見られる金に物を言わせる大型補強は全くと言って良いほどせず、収支に合ったクラブ経営をしている。

典型的なプロヴィンチャであるが故、ワールドクラスの選手は皆無に等しい。無名の若手か、他のクラブで「もう終わった」と烙印を押されて追い出された選手で構成されている。しかし、若手選手の育成と伸び悩んでいる選手の再生には実績があり、このクラブをきっかけにビッグクラブに移籍したり、選手としてもう一華咲かせる選手を毎年の様に輩出している。

また、そういった選手が移籍する時に発生する莫大な移籍金や、若手選手をセリエB、セリエC等の下部カテゴリーにレンタルする際に発生するレンタル料でチーム財政を成立させている。

これはチームの親会社である「パルアーニ」(it:Paluani)が、イタリアでは有名な菓子メーカーだが年間売上高が日本円にして50億円しかない故、チームの補強に無駄な金は使えず、知恵と情報を使った補強を余儀なくされているからである。

タイトル 編集

国内タイトル 編集

  • セリエB:1回
    • 2007-08
  • セリエC1:1回
    • 1993-94(ジローネA)
  • セリエC2:1回
    • 1988-89(ジローネB)
  • カンピオナート・インテッレジョナーレ:1回
    • 1985-86(ジローネC)
  • プロモツィオーネ・ヴェネータ:1回
    • 1974-75(ジローネA)
  • セコンダ・カテゴリア・ヴェネータ:4回
    • 1958-60(ジローネA), 1964-65(ジローネA), 1967-68(ジローネA), 1968-69(ジローネA)
  • セコンダ・ディヴィジオーネ・ヴェネータ:1回
    • 1950-51(ジローネA)
  • セコンダ・カテゴリア・ヴェロネーゼ・セツィオーネ・プロパガンダFIGC:2回
    • 1934-35(ジローネ・ウーニコ), 1935-36(ジローネ・ウーニコ)
  • セコンダ・カテゴリア・ヴェロネーゼ・ウニオーネ・リベーラ・イタリアーナ・デル・カルチョ:2回
    • 1932-33(ジローネA), 1934-35(ジローネ・ウーニコ)
ユース

国際タイトル 編集

なし

過去の成績 編集

シーズンディビジョンコッパ・イタリア欧州カップ最多得点者
リーグ順位選手得点数
1975-76セリエD 3411101336343210位
1976-77セリエD341181527353015位
1977-78セリエD341113104439358位
1978-79セリエD349141137493211位
1979-80セリエD349121321333013位
1980-81セリエD3410111333363111位
1981-82カンピオナート
インテッレジョナーレ
30911102731298位Alberto Vanoni7
1982-83カンピオナート
インテッレジョナーレ
30991229312712位Fausto Nosè8
1983-84カンピオナート
インテッレジョナーレ
301010102220309位Paolo Galli7
1984-85カンピオナート
インテッレジョナーレ
3091474029327位Giovanni Sartori11
1985-86カンピオナート
インテッレジョナーレ
3018844414441位Giovanni Sartori17
1986-87セリエC234111672423384位Flavio Fiorio7
1987-88セリエC234151363622434位Flavio Fiorio13
1988-89セリエC234181244115481位Flavio Fiorio15
1989-90セリエC134101593731356位Flavio Fiorio12
1990-91セリエC1348151123293114位Franco Lerda8
1991-92セリエC13481883235347位Riccardo Gori13
1992-93セリエC1321210103634347位Riccardo Gori8
1993-94セリエC134191144623681位Riccardo Gori12
1994-95 セリエB 3810141435384413位2回戦敗退Michele Cossato10
1995-96セリエB38920937304714位2回戦敗退Michele Cossato8
1996-97セリエB38121884440547位2回戦敗退Raffaele Cerbone20
1997-98セリエB3812141243435010位1回戦敗退Raffaele Cerbone12
1998-99セリエB3811151237404811位ベスト32Ciro De Cesare10
1999-00セリエB3811141348534715位GS敗退Massimo Marazzina17
2000-01セリエB38191365434703位GS敗退Bernardo Corradi13
2001-02 セリエA 34141285752545位GS敗退Massimo Marazzina13
2002-03セリエA34167115139557位準々決勝敗退UC1回戦敗退フェデリコ・コッサート9
2003-04セリエA341111123637449位ベスト16フェデリコ・コッサート6
2004-05セリエA3811101732494315位2回戦敗退セルジオ・ペリッシエール7
2005-06セリエA381315105449544位3回戦敗退セルジオ・ペリッシエール13
2006-07セリエA389121738483918位準々決勝敗退UCL予選3回戦敗退セルジオ・ペリッシエール9
UC1回戦敗退
2007-08セリエB42241357743851位1回戦敗退セルジオ・ペリッシエール22
2008-09セリエA388141635493816位3回戦敗退セルジオ・ペリッシエール14
2009-10セリエA381281837424414位ベスト16セルジオ・ペリッシエール12
2010-11セリエA3811131438404611位ベスト16セルジオ・ペリッシエール11
2011-12セリエA3812131335454910位準々決勝敗退セルジオ・ペリッシエール8
2012-13セリエA381291737524512位4回戦敗退シリル・テレオー13
2013-14セリエA381062234543616位ベスト16アルベルト・パロスキ15
2014-15セリエA3810131528414314位3回戦敗退アルベルト・パロスキ9
2015-16セリエA381311144345509位3回戦敗退アルベルト・パロスキ8
2016-17セリエA381271943614314位ベスト16ロベルト・イングレーゼ12
2017-18セリエA3810101836594013位4回戦敗退ロベルト・イングレーゼ13
2018-19セリエA382142225751720位4回戦敗退マリウシュ・ステピンスキ6
2019-20セリエB381414104838566位3回戦敗退フィリップ・ジョルジェヴィッチ9
2020-21セリエB381414105037568位2回戦敗退ルカ・ガッリターノ

欧州の成績 編集

現所属メンバー 編集

2021年1月31日現在

注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。

No.Pos. 選手名
1GK アンドレア・セクリン
3DF ジョゼフ・コリー ( )
4DF ストラヒニャ・タナシイェヴィッチ
5DF ミケーレ・リジョーネ
6DF マクシム・ルヴェルブ
7MF ダーヴィト・イヴァン
8MF エマヌエーレ・ズエリ
9FW マイケル・ファブロ
10MF ジョエル・オビ ( )
12GK ミケーレ・ブラガンティーニ
13DF フランチェスコ・レンゼッティ ( )
14MF ルカ・パルミエーロ
15DF サウリ・ヴァイサネン
16MF ルカ・ガッリターノ
17MF エマヌエレ・ジャッケリーニ
18FW ルイジ・カノット
20FW セルゲイ・グルバチ ( )
No.Pos. 選手名
21DF ダニエル・パブレフ
23FW フィリップ・ジョルジェヴィッチ
24MF マッティア・ヴィヴィアーニ
25MF ジョナサン・モーセイ
26MF マッシモ・ベルタニョーリ ( )
27DF マッテオ・コタリ
32DF ヴァシレ・モゴシュ
33GK アドリアン・シェンペル
39DF マリン・カヴァル ( )
40GK エリメレク・エンヤン ( )
41FW ナビル・マクニ ( )
43MF フィリッポ・トゥッツォ
89DF ギヨーム・ジグリオッティ ( )
93FW フランチェスコ・マージオッタ
95DF ルカ・ムネラッティ
98FW マヌエル・デ・ルカ
99FW アマト・チチレッティ
永久欠番

レンタル移籍 編集

in

注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。

No.Pos. 選手名
14MF ルカ・パルミエーロ (SSCナポリ)
No.Pos. 選手名
99FW アマト・チチレッティ (SSCナポリ)
out

注:選手の国籍表記はFIFAの定めた代表資格ルールに基づく。

No.Pos. 選手名
--GK アレッサンドロ・コンフェンテ (カターニア)
--GK フィリッポ・パボーニ (FCレニャーゴサルス)
--DF ジェニー・ロンディネッラ (USピストイエーゼ1921)
--DF ジョヴァンニ・ヌティ (フォリーニョ)
--MF ヌーノ・エンリケ (グラスホッパー)
No.Pos. 選手名
--MF エンリコ・マンコーニ (GSDアンブロジアーナ)
--FW マヌエル・プッチャレッリ (アル=フジャイラー)
--FW アレハンドロ・ロドリゲス (ヴィルトゥス・エンテッラ)
--FW ピエトロ・ロヴァーリア (USピストイエーゼ1921)

歴代監督 編集

歴代所属選手 編集

GK 編集

DF 編集

MF 編集

FW 編集

エンブレム 編集

1980年代、チームはヴェローナ県の紋章にある梯子をデザインしたエンブレムを用いていた。しかし同地区を本拠とするエラスのサポーターもシンボルマークに梯子を使っていたため、変更せざるを得なくなった。梯子は元々、13世紀頃に当地を支配したスカラ家の紋章に由来していたが、変更にあたりスカラ家の廟にあるカングランデ1世・デッラ・スカラ騎馬像をモチーフに採用した[1]

この頃、当時の会長が「いつかヴェローナでダービーマッチをやりたい」と発言した。これに対しエラスのサポーターが「キエーヴォとダービーをやるようになったらロバも羽を生やして飛んでいくよ(つまり、そんな事は絶対にありえないという事)」とからかった。この出来事の後、5部に所属していたキエーヴォは順調に昇格を果たし、2001年11月18日についにダービーは実現した[1]

厳密にはエンブレムの動物は馬だが、この出来事以来サポーターからは「il musso volanto(空飛ぶロバ)」と呼ばれ、クラブのマスコットもロバである。ただし、クラブはエンブレムの動物が何であるか公式な見解を示していない[1]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f エンブレムの世界 キエーボ『サッカーマガジン』2012年5月8日号、ベースボール・マガジン社、斉藤健仁、2012年、雑誌23882-5/8, 055頁。
  2. ^ 遅すぎるキエーヴォ勝ち点剥奪にクロトーネ会長が激怒「最低だ。馬鹿げている」” (jp). フットボールチャンネル. 2018年9月14日閲覧。
  3. ^ Chievo Verona vs. Napoli - Football Match Report - April 14, 2019 - ESPN” (英語). ESPN.com. 2019年5月7日閲覧。
  4. ^ 財政難キエーボ、セリエB登録認められず破産… セリエDに降格” (jp). 超ワールドサッカー!. 2021年7月27日閲覧。
  5. ^ 「人生で最も悲しい日」 キエーヴォ消滅へ…買い手なしで期限切れ” (jp). Qoly. 2021年8月23日閲覧。

外部リンク 編集