アメリカ合衆国大統領首席補佐官

アメリカ合衆国大統領首席補佐官(アメリカがっしゅうこくだいとうりょうしゅせきほさかん、: Assistant to the President and Chief of Staff)は、大統領の職務を補佐する大統領補佐官である。

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
大統領首席補佐官
Assistant to the President and
Chief of Staff
ホワイトハウス事務局紋章
現職者
ジェフ・ザイエンツ英語版(第32代)
Jeffrey Dunston Zients

就任日 2023年2月8日
種類閣僚外[注釈 1]
所属機関内閣
担当機関ホワイトハウス事務局
任命大統領
ジョー・バイデン
初代就任1946年
初代ジョン・スティールマン
ウェブサイトwww.whitehouse.gov

首席補佐官は、必要な時にはいつでも大統領に会うことができるなど、ウエストウイングを実質的に取り仕切る職務であり、ホワイトハウス事務局職員のトップに立つ人物である。首席補佐官の下には数名の次席補佐官が置かれる。

職務内容と歴史 編集

首席補佐官の職務内容は非常に広範囲にわたるが、一般的に首席補佐官は他のホワイトハウス職員を監督・統括し、大統領のスケジュールを取り扱い、大統領と訪問者との面会を調整する。この大統領と訪問者の面会を調整するという職務ゆえに、首席補佐官は「大統領の砦」と呼ばれることがある。非公式には首席補佐官は大統領と最も親しい政策アドバイザーの中の1人であって、また個人的にも友人であることが多い。ただし、首席補佐官という職は閣僚(国務大臣)と兼任する日本の内閣官房長官とは異なり、閣僚外の役職であり、議会同意人事ではなく、大統領権限継承順位にも入っていない。ただ、前記のように大統領の補佐役として権力を握ることから、一般的には閑職とされてきた副大統領よりも実質的な権限を持つとも言われ[注釈 2]、ホワイトハウスの影のナンバー2と言われることもある。

必ずしも全ての大統領が公式に首席補佐官を置いたわけではない。ケネディ大統領は置かなかったし、カーター大統領も任期のほぼ終わりまでは置かなかった。トルーマン大統領、ジョンソン大統領、そしてジョージ・W・ブッシュ大統領以外の大統領はすべて、任期の途中で首席補佐官を代えた。なぜなら首席補佐官という職務は、高度のストレスを受ける職務であるからだと言われている。それを示すように、首席補佐官の平均職務期間は2年と少しに満たないくらいである。最も長く首席補佐官を務めたのは、ハリー・S・トルーマン政権下で6年間務めたジョン・スティールマンである。

多くの首席補佐官は就任前より政治家としてのキャリアを積んでおり、その多くが退任後に他の更なる上級職の経歴を持つことになる。その例としては、ニクソン大統領の首席補佐官を務めた後に国務長官になるアレクサンダー・ヘイグジェラルド・フォード大統領の首席補佐官を務めた後に国防長官を務めたディック・チェイニードナルド・ラムズフェルドなどが挙げられる。

大統領首席補佐官 一覧 編集

首席補佐官在任大統領
1ジョン・スティールマン1946年 - 1952年ハリー・トルーマン
2シャーマン・アダムズ1953年 - 1958年ドワイト・アイゼンハワー
3ウィルトン・パーソンズ1958年 - 1961年
不在1961年 - 1963年ジョン・ケネディ
4マーヴィン・ワトソン1963年 - 1968年リンドン・ジョンソン
5H・R・ハルデマン1969年 - 1973年リチャード・ニクソン
6アレクサンダー・ヘイグ1973年 - 1974年
7ドナルド・ラムズフェルド1974年 - 1975年ジェラルド・フォード
8ディック・チェイニー1975年 - 1977年
不在1977年 - 1979年ジミー・カーター
9ハミルトン・ジョーダン1979年 - 1980年
10ジャック・ワトソン1980年 - 1981年
11ジェイムズ・ベイカー1981年 - 1985年ロナルド・レーガン
12ドナルド・リーガン1985年 - 1987年
13ハワード・ベーカー1987年 - 1988年
14ケネス・デュバースタイン1988年 - 1989年
15ジョン・ヘンリー・スヌヌ1989年 - 1991年ジョージ・H・W・ブッシュ
16サミュエル・スキナー1991年 - 1992年
17ジェイムズ・ベイカー1992年 - 1993年
18マック・マクラーティ1993年 - 1994年ビル・クリントン
19レオン・パネッタ1994年 - 1997年
20アースキン・ボウレス1997年 - 1998年
21ジョン・ポデスタ1998年 - 2001年
22アンドルー・カード2001年 - 2006年ジョージ・W・ブッシュ
23ジョシュア・ボルテン2006年 - 2009年
24ラーム・エマニュエル2009年 - 2010年バラク・オバマ
ピート・ラウス(代理)2010年 - 2011年
25ウィリアム・デイリー2011年 - 2012年
26ジェイコブ・ルー2012年 - 2013年
27デニス・マクドノー2013年 - 2017年
28ラインス・プリーバス2017年ドナルド・トランプ
29ジョン・F・ケリー2017年 - 2019年
ミック・マルバニー(代理)2019年 - 2020年
30マーク・メドウズ2020年 - 2021年
31ロン・クレイン2021年 - 2023年ジョー・バイデン
32ジェフ・ザイエンツ英語版2023年 -

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ただし、閣僚級という扱いになっており、閣議には出席することができる。
  2. ^ ただし、近年の副大統領は大統領と職務を分担する傾向が強くなっており、必ずしも閑職とは言えなくなってきている部分もある。