老後を楽しむ方法

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人生においてなすべき諸々を終えた老後は、本当の意味での自由な毎日を満喫できる、生き続けてきたことに対するご褒美の時間に他なりません。この限りある季節の移ろいをいかに楽しむのか、考えるだけでも心の中に期待感が高まります。しかしながら老後に想いを馳せればそれだけ、健康面や金銭面など、近未来の自分(たち)に対する不安の方が勝ってしまうのもまた、未体験の老後を見据える上で、避けられない心の動きでしょう。どのような老後を「楽しい」と感じるのかは人それぞれであり、すべての人に対して共通するノウハウは存在しません。だからこそ、自分(たち)にとっての「楽しい」を肩肘張らずに再確認し、それを実現するために必要と思われる備えや心構えなどを検証する、周囲の一般論などに過度に左右されることのない、独自の準備作業が大切です。[1]

方法 1
方法 1 の 4:

老後生活開始時の注意点を知る

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    必要となる老後資金を算出する 定年退職あるいは自営業者としての活動を終えた後も、経済社会を生きて行く以上、暮らしを支えるに足りるお金が必要です。「一世帯あたりに必要な老後資金は〇〇万円」などと、具体的な金額が諸説飛び交っていますが、実際にすべての国民に当てはまる情報とは言えません。現在の暮らしぶりを保つ上で必要な金額、約束もしくは期待される収入、負債の有無など、金銭面の個別事情はすべて異なります。こうした情報を冷静に参照しつつ、まずは自分(たち)に必要と思われる老後資金をざっくりと算出し、過不足額がどの程度と予想されるのかを確かめましょう。
    • 『現在の月収-退職(廃業)後に見込まれる年金その他の収入=予想される過不足金額』です。まずは月単位で算出し、年単位の額も把握しておきましょう。想定される不足額が大きくなったとしても、過度に不安を覚える必要はありません。この数値を叩き台として、楽しい老後計画を立てる作業を進めましょう。
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    年金受給開始時期と受給額を確かめる 老後に想定される終身の定収入となる年金に関しては、受給開始時期と金額をしっかりと把握する必要があります。自営業で国民年金だけの受給の場合、満額で約78万円(月額約65,000円)に過ぎず、夫婦合わせても月額約13万円にとどまります。中長期的に切り崩して生活費に充当可能な貯えがない場合、生活自体に窮するリスクが想定され、不足分を補う何らかの手立てを講じる必要があります。また終身雇用制度が実質崩壊状態とされる今日、入社時に想定された満額の退職金を受け取る人の減少傾向も顕著であり、老後プランを見据えるに際しては、過度な期待値を基準にせぬよう、慎重な姿勢が求められます。[2]
    • 国民年金料の減額や免除制度の適用を受けた期間がある場合などは、受給開始後も満額支給されないため、注意が必要です。
    • 近い将来、受給開始年齢の引き上げや受給額の減額が実施されると言われており、より冷静にお金に窮さぬ老後計画を見据える作業が必要となります。
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    国民健康保険料の負担額を検証する 定年退職したサラリーマン夫婦が見過ごしがちな、年下の妻の国民保険料負担が必要となるケースを検証しておきましょう。夫の定年退職時に妻の年齢が60歳未満の場合、60歳に達するまで国民年金保険料を支払う必要性が生じます。夫が勤務先で厚生年金に加入していれば、妻が独自に厚生年金に加入している、もしくは公務員で共済年金に加入している場合を除き、国民年金の第3号被保険者扱いとなり、保険料は免除されています。夫の退職に伴い、妻はサラリーマンの配偶者ではなくなるため、第1号被保険者として、国民年金保険料納付が必要となります。[3]
    • 2020年度の月額保険料は16,540円です。年金生活には大きな出費に他ならず、とりわけ年齢の離れた年下の妻の場合、負担額がより大きくなってしまいます。
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    定年退職2年目の住民税を検証する 在職時は給料から徴収されていた住民税は、毎年1~12月の収入に対して算出された金額が、翌年の6月~翌々年5月にかけて天引きされるシステムです。したがって最終年勤務となった年の住民税は、退職した年の6月から納付義務が生じます。サラリーマン最終年のそれなりの収入に対する高い金額の住民税を、老後資金の中から支払わねばならず、算段に窮してしまう展開が懸念されます。この『住民税の後追いシステム』に関しても、その内容を正しく理解の上、事前に備えを講じておく必要があります。[4]
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    健康保険の任意継続手続きを完了しておく 退社日から20日以内が期限の、健康保険の2年間の任意継続手続きを忘れてはなりません。勤務先在籍時には健康保険料の半額を会社側が負担していますが、退社すれば自ずと倍額の負担が必要となります。この保険料負担緩和策が任意継続制度であり、これを申請することで、退職後2年間の保険料が、65歳未満であれば月額32,762(年額392,784)円、65歳以上であれば月額27,916(年額334,992)円に軽減されます。保険料の負担額は市区町村ごとに異なりますが、確実に手続きを完了することで、大きな負担軽減効果が期待できます。[5]
    • 健保組合がある会社であればそちらに、ない会社であれば社会保険事務所に申請しましょう。
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方法 2
方法 2 の 4:

金銭面を検証する

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    見込まれる収入を予測算出する 老後の生活費として必要とされる金額には、それぞれのライフスタイルその他もあり、すべての人に該当する数値を明言することはできません。ちなみに総務省の調査結果として、夫婦2人暮らしの場合は月額約260,000円、1人暮らしの場合は月額約160,000円とのデータが伝えられています。一般的な」「つつましやかな老後生活を過ごす上で必要な金額」として、自分(たち)にこの金額の確保が可能なのか、継続的な収入が見込まれるのか、不足分を補う術があるのかなど、まずは収入面をしっかりと懸賞しましょう。[6]
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    必要な支出額を見据える 必要となる支出額は、現在の暮らしぶりに加え、老後にどのような生活を楽しみたいのか、そのビジョンによっても大きく異なります。家賃もしくは持ち家の維持費などのランニングコスト(固定費)と変動費をそれぞれ確かめ、プラスアルファとして老後を楽しむ上で必要となる金額を加算することで、理想的な老後生活に必要な金額の概算が見えてきます。時に確保が見込まれる収入とのギャップが大き過ぎたとしても、早々に夢を諦める必要はありません。まずは現実をしっかりと把握の上で、そこから次の一手を考える作業もまた、老後を楽しむための準備を楽しむ、これまで人生を頑張って生きてきたからこその特権です。
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    理想とのギャップを埋める方法を考える ここまでの作業を通じ、自分(たち)の老後生活に必要なお金に関する諸々が、それなりに明確に見えてきたことでしょう。「全然足りない」「生きてゆけるのだろうか」などと、不安ばかりが大きくなってしまったとしても、過度に案ずることはありません。大勢の人生の先輩が、それぞれの老後を謳歌されている姿を思い浮かべれば、老後を楽しむという穏やかかつ大きな命題は、決して難題ではないことが伺い知れます。なによりここから先は、基本24時間自由な毎日だからこそ、十分な時間を活用して、理想のギャップを埋める方法をあれこれ考える作業を楽しみましょう。これまで数十年間無意識のうちに「当たり前」と化していた生活習慣を一旦リセットできる、格好の時期が今、訪れようとしています。
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方法 3
方法 3 の 4:

老後のライフプランを考える

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    柔軟に選択肢を思い浮かべる たとえば自他共に認める会社人間として、人生の大半を全力で歩み続けてきたとすれば、いざ「明日から好きに生きてください」と言われても、自由を手に入れた喜びよりもむしろ、戸惑いが勝ってしまうかもしれません。とはいえ、これからが第二の人生。60代からの、新たなチャレンジを楽しみましょう。理不尽な人間関係などのしがらみと対峙し続けた日々に別れを告げ、本当の『自由で楽しい暮らし』を、ここから手探りで模索することが、楽しい老後につながる最初の1歩です。
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    再就職する 既述の金銭面の不安が拭えないのであれば、再就職は必要不可欠であると同時に、そこに新たな『楽しみ』『やりがい』を見出す期待感が高まる選択肢です。「自身の経験を活かしてやろう」と考えがちですが、これまでの地位(肩書)などは一旦横に置き、未知なる世界の扉を開いてみるのも一案です。フルタイム勤務ではなく、半日勤務やシフト制の勤務など、より自分自身の時間をしっかりと確保しつつ、必要な金額を稼ぎ出せるのも、定年退職後だからこそのメリットです。金銭面の不安がなく、一個人として「まだまだリタイアせず、経済社会の最前線で頑張り続けたい」と、さらなる高みを目指す人であれば、迷わず挑みたい選択肢でしょう。
    • 生活環境の変化が避けられない以上、妻や家族の理解と協力が不可欠です。独断だけで物事を進めてしまわず、自身の意向をきちんと伝え、確実に同意を得る準備も大切です。[7]
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    在宅ワークに挑戦する インターネットの普及に伴い、出勤不要の在宅ワークで収入を得られる可能性が広がっています。専門的なスキルがなくとも、日常的にパソコンを使用している人であれば、未経験でも応募できる求人情報も少なくありません。中高年者を対象とした在宅求人情報を無料で配信しているサイトなど、アクセスしてみる価値は十分でしょう。再就職と比較して定収入を期待するのは難しい部分もありますが、毎日を自身の采配で自由に使えるメリットは魅力です。[8]
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    主夫にチャレンジする 定年退職を機に、夫婦の立ち位置を180度入れ替えてしまう、遊び心とワクワク感溢れる選択肢です。たとえばそれまでパート勤務だった妻が、同じ職場でフルタイム勤務に雇用契約を切り替え、主夫となった夫が留守番をしながら、家事を1つずつ覚える、そんな逆転生活へのチャレンジです。それなりに自信を持っていたはずの炊事・洗濯・掃除などもいざ日々のルーティンとなれば、その大変さと自身の手際の悪さなど、新たな気づきに事欠きません。妻への感謝と尊敬が自ずと芽生えて膨らむ、夫婦円満効果も期待される老後ですが、一線を越えてそれぞれのレベルが低過ぎると、逆に怒りや失望を買ってしまいかねません。楽しく頑張ることが出来る、柔軟な頭の持ち主であれば、大いに楽しむことができる、主婦業への挑戦も視野に入れてみましょう。
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    独身の晩年を謳歌する 独身で身を寄せる子どももいない晩年は、周囲の目には孤独と映りがちな反面、最も自由を謳歌できる立ち位置であるのも事実でしょう。似た境遇の異性との出会いから、このタイミングで残りの人生の伴侶との二人三脚が始まらないとも限りません。それなりの貯えや、自身が暮らしていく上で必要な収入に窮さないのであれば、移住など、日本国内に限らず、晩年を過ごす場所の選択も可能でしょう。本当の意味での「独身貴族」を謳歌する姿を通じ、周囲の人たちを惹きつけられれば、そこから先に人生のドラマが、思わぬ展開を見せてくれることでしょう。ただし基本は自分1人の暮らし、健康には十分留意しましょう。
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    勉強する リタイア後に本腰を入れて勉強を楽しむ人は数え切れません。大学に通うなど、自身が興味を覚えつつも、仕事に追われる年月の中、本腰を入れた勉強が叶わなかった分野を突き詰める楽しさは格別です。なによりそれまで接点が見当たらなかった、若い世代との交流は、自身にとって大きな刺激となることでしょう。あるいは自身の財産を活用し、投資家デビューを視野に入れているのであれば、関連する正しい専門知識の習得が不可欠です。素直に心の底から「勉強が楽しい」と声にできるのも、晩年を迎えた人生のベテランならではの特権です。
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    趣味に興じる 多くの人が自然と思い浮かべる、趣味に興じる晩年ですが、熱が入れば自ずと、より高額のお小遣いが必要となるジャンルも少なくありません。趣味に費やす費用を稼ぐべく働くなど、他の選択肢と関連させることで、より充実した趣味ライフを実現できれば、毎日の充実度も自ずと高まるでしょう。また没頭し過ぎるあまり、散財や健康を害してしまうなど、別のデメリットを手繰り寄せないよう、これに関しても節度を守り、健康に留意する姿勢が大切です。
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    隠居生活に入る 近くに住む孫の顔を見に、子ども夫婦の家に日参するような、ただ穏やかな時の流れに心身を委ねるなど、これぞ隠居生活も、ここまで生きて来たことへのご褒美です。ある意味老後ライフの究極の醍醐味と言えますが、まだまだ元気で、大人しくしているのが苦手な人には、退屈極まりないライフスタイルゆえ、万人向きとは言えないでしょう。夫婦が縁側で肩を並べて座り、飛来したスズメに黙って視線を送る、優しく静かな時の流れは素敵です。
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方法 4
方法 4 の 4:

実際とのギャップを補正する

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    夫婦間で十分に話し合う 誰よりも互いを理解し合い、譲歩できるであろう夫婦であったにせよ、それぞれの価値観や残りの人生に何を望むのかなど、大きな違いが見られても不思議ではありません。だからこそただ漠然と定年退職の時を迎え、なし崩し的に老後生活にスライドするのではなく、自分たちの老後に関し、より早い段階から話し合う機会を持ちましょう。膝を交えた議論ではなく、何気ない日常会話からの自然な流れの中、自身が気づいていなかった相手の考え方を傾聴し、理解に努め、疑問点があれば確かめましょう。時に意見の食い違いから、話がそこで途絶えてしまうこともあるでしょうが、それも夫婦であれば問題ありません。どちらかが渋々折れることで意向を統一するのではなく、互いの率直な思いを確かめ合い、共有する姿勢が大切です。
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    資金不足を補う 試算の結果、どうしても安心して老後の生活を続けるには資金不足であるとの結論に達したのであれば、現金をつくる手段を具体的に熟考しましょう。たとえば子どもが独立後の持ち家暮らしであれば、それを売却し、自分たちは小さな賃貸物件に転居することで、まとまった現金と、月々の住居に関するランニングコストの見直しが可能となります。不便を感じないのであれば、運転免許証返納に合わせて自家用車を処分すれば、維持費や税金を大きく軽減できます。契約中の生命保険などの金融商品があれば、解約することで返戻金を受け取るなど、現金化が見込まれる方法を、見落とさぬように検証してみましょう。
    • 来店型の保険代理店が実施している無料保険の見直しサービスを上手に活用しましょう。FP資格を有する専門家が、保険を絡めての老後のライフプランに関する助言を聞かせてくれます。
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    健康に留意する 高年齢になれば体力の低下が避けられず、医療機関のお世話にならざるを得ない確率も高まります。年金生活に対し、医療費負担が占める割合が大きくなれば、それだけ生活は厳しくなって当然です。医療機関は本来、本当に受診(医療行為)を必要とする人のための施設であり、たとえば「〇〇さん、今日は姿が見えないね」「今日は風邪ひいたから、病院には行けない、って言っていたよ」的な笑い話の舞台であってはなりません。必要に応じてピンポイントで医療機関を活用し、快眠快便腹八分目を自身の基準とする、無理なく健康に留意した老後ライフを満喫しましょう。
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    分相応を幸せと楽しむ 昔から人間は「立って半畳寝て一畳」と言われる通り、人それぞれ分相応の暮らしがあり、それが最も無理なく心地よく、つまりは「楽しい」と考えられます。若い頃から老後の潤沢な生活を夢に、我慢しながら過度に質素な倹約生活を続けたとしても、心身を概して老後生活の入口に辿り着けなかったとすれば、悔やむことすら叶いません。対して西洋寓話の『アリとキリギリス』のキリギリスの如く、無計画の放蕩生活を続けていれば、老後を生きる貯えどころか、日々を凌ぎきるノウハウすら持ち合わせられないでしょう。無理をせず、見栄を張らず、自然体で生きる幸せは、もしかすれば人生の晩年でようやく実感できる、最後の最後に神様から与えられる、静かで深く心地良い感動に他なりません。
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ポイント

  • 経済社会で老後を心豊かに楽しむためには、自分たちが望むライフスタイルに応じた老後資金が不可欠です。
  • 定年退職(もしくは廃業)後に見込まれるそれぞれの収入源と金額、必要な支出額などを早い段階で算出し、想定される過不足を理解の上、不足分を補う方法を考えましょう。
  • 夫婦2人で歩む老後を見据え、早い段階からそれぞれのビジョンを話し合う時間を大切にしましょう。
  • 自由に生きることに戸惑ったとしても、無理矢理指針を捻り出そうとせず、心のままに時にチャレンジ、あるいは穏やかに時間を過ごすなど、鍵は『自然体』に他なりません。
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注意事項

  • 健康保険の任意継続手続きなど、老後の自己負担額軽減につながる申請や手続きを見過ごさぬよう、細心の注意を払いましょう。
  • 老後最優先での過度な倹約生活や、今日がすべて的な放蕩生活はいずれも、楽しく穏やかな老後を約束するものではありません。
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このHow.com.vn記事について

How.com.vnは「ウィキ」サイトの一つであり、記事の多くは複数の著者によって共著されています。 この記事は、著者の皆さんがボランティアで執筆・推敲を行い、時間をかけて編集されました。 この記事は2,303回アクセスされました。
カテゴリ: 家族
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