犬の耳の痒みを鎮める方法

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どの犬もある程度は耳を掻きますが、それが頻繁であったり、耳に炎症が見られたら、痒みの原因を突き止める必要があるでしょう。原因が分かれば、犬の不快感を解消することができます。大抵の痒みは、寄生虫による感染症、バクテリアやマラセチア菌(酵母菌の一種)による外耳炎、アレルギー、あるいは植物の芒(ノギまたはボウ、麦などの実の棘上の突起)などの異物に起因します。

方法 1
方法 1 の 4:

耳の痒みの軽減

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  1. How.com.vn 日本語: Watermark How.com.vn to 犬の耳の痒みを鎮める
    飼い犬が頻繁に耳を掻いていたら、獣医師の診察を受けましょう。獣医師はオトスコープ(耳鏡)を使って外耳道の内部を検査し、鼓膜に損傷がないかを調べます。また、耳の痒みの原因も検査します。例えば、感染症の有無を調べるため、耳から分泌物を採取します。
    • 耳に痛みがあり検査が困難な場合は、獣医師は犬に麻酔をかけて耳の洗浄をする場合もあります。麻酔により、獣医師は鼓膜の検査をすることができ、また投与した点耳薬が皮膚に浸透しやすくなります。
    • 獣医師の診察を受ける前に、犬に点耳薬を投与してはいけません。鼓膜が損傷している場合、薬が中耳や内耳に侵入し、永続的な平衡障害や聴覚障害(聴覚喪失の恐れもあり)を引き起こすことがあります。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 ティーツリーオイルの使用には注意が必要です。
    皮膚の炎症や感染症にエッセンシャルオイルが効果的とされる一方、エッセンシャルオイルには犬に有毒なテルペンが含まれています。[1] 0.1 ~1.0%に希釈されたティーツリーオイルを動物に使用することはできますが、ペットショップで販売されている大半のシャンプー、殺菌消毒液、皮膚の治療薬には、犬に害を与える恐れがある多量のテルペンが含まれています。ティーツリーオイル製品を犬に使う場合は、大幅に希釈された物を選びましょう。
    • ティーツリーオイルを犬に使用する際、テルペンの中毒症状に注意を払いましょう。中毒症状には、吐き気や嘔吐があり、また犬や猫には身体の麻痺が起こります。ティーツリーオイルが、深刻な麻痺、けいれん、命に関わる症状を引き起こす場合があります。[2]
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 犬に抗ヒスタミン薬を与えてみましょう。
    耳の痒みの原因が分からない場合は、判明するまで痒みを軽減する策を講じましょう。飼い犬に抗ヒスタミン薬を投与しても安全かどうかを、獣医師に確認しましょう。特に、他の薬を服用している場合は注意が必要です。安全であれば、体重1 kgあたり2 mgの一般的な抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンなど)を与えます。通常1日3回、錠剤を経口投与します。[3] 抗ヒスタミン薬は、炎症や痒みを引き起こすヒスタミンの働きを抑制します。
    • 薬を投与し始めても、おそらく犬は体を掻き続けるでしょう。抗ヒスタミン薬は、犬の痒みの治療にはそれほど効果的ではありません。抗ヒスタミン薬の効き目を試すことはできますが、10 ~15%の犬にしか効果がないと言われています。[4]
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 一時的に痒みを軽減させましょう。
    獣医師は薬剤の効果が現れるまで、一時的に痒みを和らげる目的で、コルチコステロイド(副腎皮質ステロイド)を注射する場合があります。コルチコステロイドには強い抗炎症作用があり、痒みの軽減に非常に効果的です。または、薬局などで市販されている0.5 ~1%のハイドロコーチゾンクリームについて、獣医師に問い合わせましょう。耳介(耳の外から見える部分)の皮膚と耳の付け根の周りにクリームを塗ると、皮膚の炎症を緩和します。
    • 関節炎に一般的に処方される非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの、特定の薬剤とステロイド薬を併用してはいけません。このふたつの薬を同時に服用すると、重篤な胃潰瘍を引き起こし、出血したり、命に関わる場合もあります。[5]
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方法 2
方法 2 の 4:

外耳炎の症状と治療

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  1. How.com.vn 日本語: Watermark How.com.vn to 犬の耳の痒みを鎮める
    外耳炎は痛みや不快感を伴うため、犬が耳をさかんに擦ったり、掻いたりするのに気付くでしょう。また、耳が赤い、腫れている、触ると熱い、悪臭がする、耳から分泌物(濃いワックス状または膿のような物質)が出るなどの症状もあります。外耳炎は様々な要因(耳ダニ、バクテリア、マラセチア菌)で起こるため、獣医師の診察を受けることが大切です。
    • 飼い犬が外耳炎を患っているか不確かな場合は、両方の耳を比べてみましょう。通常は同じように見えますが、片方の様子が違ったり、炎症を起こしているようであれば、外耳炎の疑いがあります。[6]
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 獣医師の診察を受けましょう。
    外耳炎には様々な原因があるため、獣医師の診察を受けて、抗生物質配合の点耳薬を処方してもらう必要があります。飼い犬が過去に外耳炎を患ったことがある場合は、培養検査をするために、耳から膿のサンプルを採取するかもしれません。この検査によって、感染症の原因となるバクテリアを特定し、効果的な抗生物質を処方することができます。深刻な症状の場合は、点耳薬の滴下とともに、抗生物質の経口投与を行う場合もあります。[7]
    • 様々な種類の外耳炎治療薬があります。獣医師は飼い犬の症状に最適な薬を選択し、薬の服用法と期間を指示します。治療法は、主に犬のサイズと症状によって決められます。
  3. How.com.vn 日本語: Watermark How.com.vn to 犬の耳の痒みを鎮める
    刺激が少なく、中性タイプで保湿効果がある、速乾性のイヤークリーナーを使用しましょう。液体のクリーナーは外耳道にいきわたり、耳の奥にある膿や菌を洗い流します。そのため、拭き取りパッドではなく、液体クリーナーを使いましょう。ボトルのノズルを外耳道に近づけ、クリーナーをたっぷりと滴下します。外耳道をコットンボールで塞ぎ、耳の根元をやさしく揉みます。コットンを外し、流れ出たクリーナーを拭き取ります。流れ出るクリーナーがきれいになるまで繰り返しましょう。
    • 犬が耳を傾けるしぐさをする場合は、鼓膜が破損し、クリーナーが敏感な中耳または内耳に入り込んだサインかもしれません。クリーナーの使用を中止し、獣医師の診察を受けましょう。
    • 外耳道の膿を洗浄すると、バクテリアの数が減少し、耳の痒みは軽減します。しかし、犬が耳の洗浄を嫌がったり、痛がるようであれば、洗浄を中止して動物病院に連れて行きましょう。
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 アレルギーの可能性を見極めましょう。
    犬によっては、頻発する外耳炎や、原因不明の外耳炎は、アレルギー反応の場合があります。飼い犬が、環境的な要因(花粉やイエダニ)、または食物に含まれる原材料にアレルギーがあるのかもしれません。外耳炎の症状が改善されない場合は、アレルギーの可能性について獣医師に問い合わせましょう。獣医師は、低アレルゲンのドッグフードを試して、様子を見ることを提案するかもしれません。
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方法 3
方法 3 の 4:

寄生虫による感染と治療

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  1. How.com.vn 日本語: Watermark How.com.vn to 犬の耳の痒みを鎮める
    犬の両耳に問題がないように見えても、耳を掻き続ける場合は、外部寄生虫感染(ノミやヒゼンダニなど)が原因かもしれません。耳の後ろの被毛を毛並みとは逆に倒し、ノミやノミの糞が付いていないかを調べましょう。[8]
    • ノミの動きは素早いため、見逃してしまうこともあります。ノミの糞は茶色い埃の粒のように見えますが、湿らせた脱脂綿の上に載せると、ノミが吸って凝固した血液が水で戻り、オレンジ色の輪が見えるはずです。
    • ヒゼンダニは小さすぎて肉眼では見えませんが、ダニが寄生していると、被毛(特に耳介と足)が抜け落ちたり、赤い斑点が見られます。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 獣医師の治療方法に従いましょう。
    耳の痒みの原因がノミやヒゼンダニであると疑われる場合は、寄生虫を退治して痒みを鎮める適切な薬について、獣医師に問い合わせましょう。[9]
    • ノミやヒゼンダニ退治に大変効果的な、スポットタイプの薬が販売されています。適切な薬の種類と使用量について、獣医師に問い合わせましょう。
  3. How.com.vn 日本語: Step 3 内部寄生虫(耳ダニ)感染の兆候を調べましょう。
    犬の耳の内部は見にくいため、犬が耳を掻いたり、茶色く固まった耳垢で推測するしか方法はないかもしれません。この耳垢は耳ダニによって作られ、犬の一般的な感染症のひとつです。獣医師は動き回るダニを確認するために、オトスコープのような拡大鏡を用いたり、ダニや卵を調べるために、顕微鏡で検査する必要があるでしょう。[10]
    • ミミヒゼンダニ(または耳ダニ)感染症は、耳ダニが犬の外耳道の耳垢を餌とすることで起こります。ダニは、外耳道の垂直耳道と水平耳道のどちらにも寄生します。
  4. How.com.vn 日本語: Step 4 獣医師の耳ダニの治療方法に従いましょう。
    獣医師はまず、処方箋が要らないピレトリン配合の薬で治療を始めるでしょう。通常、ピレトリン配合の点耳薬を、外耳道に日に1~2度、10~14日間投与します。ピレトリンは血流に到達しにくいため、局所的な投与であれば、犬への危険性はありません。[11]
    • ピレトリンは耳ダニには効果がありますが、バクテリア感染症には効果的な治療法ではありません。
    • 犬が薬を飲み込んだり、他の犬が薬を塗布した耳を舐めたりした場合、理論上では毒性があるとされています。中毒症状は、過度な唾液、筋肉の震え、興奮、また深刻な場合はけいれんなどが上げられます。このような症状に気付いたら、犬を暗く静かな部屋で休ませ、外部からの刺激を最小限に抑えて、獣医師の指示に従いましょう。
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方法 4
方法 4 の 4:

異物の確認と除去

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  1. How.com.vn 日本語: Watermark How.com.vn to 犬の耳の痒みを鎮める
    一般的な耳の痒みの原因のひとつに、外耳道に混入した植物の芒や、フォックステイルの穂などの異物があります。散歩中に突然痒みが始まったことに気付くかもしれません。または、散歩中は問題がなくても、帰宅後に頭を片側に傾けて、激しく耳を掻きだすかもしれません。
    • 植物の芒などの異物は外耳道の奥に入り込み、激しい不快感を与えます。犬は異物がある耳を横に傾けるしぐさをします。
  2. How.com.vn 日本語: Step 2 獣医師に異物を取り除いてもらいましょう。
    犬の耳の異物を確認できるほど、耳の奥まで見ることはできないでしょう。外耳道はL字型をしており、異物が奥深くまで侵入してしまうためです。獣医師はオトスコープ(拡大鏡とライトが付いた器具)を用いて、外耳道の奥を調べる必要があるでしょう。そして、ワニ口鉗子と呼ばれる特別な長い捕捉器具を使い、不快感の原因である異物を除去します。[12]
    • 異物の除去は短時間の処置で、犬に痛みを与えることはありません。
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ポイント

  • 獣医師への相談なしに、市販の医薬品を使って、感染症の治療をしてはいけません。感染症の症状がある場合、バクテリアまたはマラセチア菌に効果がある、特定の抗菌薬剤を使う必要があります。しかし、抗生物質は処方箋医薬品のため、店頭やペットショップでは販売は許可されていません。そのため、市販の医薬品は効果がなかったり、または症状を悪化させる場合があります。
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出典

  1. In vitro evaluation of topical biocide and antimicrobial susceptibility of Staphylococcus from dog. Valentine, Dew, Weese. Vet Dermatol. 2012 Dec 23(6):493-e95
  2. Concentrated tea tree oil toxicosis in dogs and cats: 443 cases (2002-2012). Khan, McLean, Slater. J Am Vet Med Assoc.2014 Jan 1;244 (1): 95-9
  3. The Veterinary Formulary. Yolande Bishop. Pharmaceutical Press. 4th edition.
  4. Plumb's Veterinary Drug Handbook. Donald Plumb.
  5. Plumb's Veterinary Drug Handbook. Donald Plumb.
  6. http://www.vetstreet.com/care/my-pet-has-itchy-ears-whats-going-on
  7. Small Animal Internal Medicine. Nelson & Couto. Mosby.
  8. Small Animal Internal Medicine. Nelson & Couto. Mosby.
  9. Small Animal Internal Medicine. Nelson & Couto. Mosby.
  1. https://www.aspca.org/pet-care/dog-care/ear-mites
  2. Poisoning due to Pyrethroids. Bradberry, Cage et al. Toxicology Review. 2005:24(2):93-106
  3. http://www.vetstreet.com/care/my-pet-has-itchy-ears-whats-going-on

このHow.com.vn記事について

How.com.vn 日本語: Ray Spragley, DVM
共著者 ::
獣医師
この記事の共著者 : Ray Spragley, DVM. レイ・スプラグレイ獣医師は、ニューヨークの動物病院「Zen Dog Veterinary Care PLLC」を経営する開業医です。複数の研究所や個人病院で経験を重ね、専門は頭蓋十字靭帯裂傷および椎間円板疾病(IVDD)の手術外治療、骨関節炎の疼痛管理。オールバニー大学で生物学学位を、ロス獣医学大学にて獣医学博士号を取得。ケーナイン・リハブ・インスティテュートにて認定犬リハビリテーションセラピスト (CCRT) 、チー大学にて認定動物鍼師 (CVA)資格を取得。 この記事は28,112回アクセスされました。
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