子どもへの虐待をやめる方法

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親にとって自分の子どもはとてもかわいいものです。ただ、最近は、子どもの虐待が問題になっています。その原因は少子化や核家族化、コミュニティーの崩壊、経済不況などが考えられています。[1]子どもの虐待は社会問題として扱われるほど増えていて、2018年の児童相談所による児童虐待相談対応件数は16万近くにも及んでいます。[2] 最悪のケースでは2019年に千葉県野田市で起きた事件のように親が我が子の命を奪ってしまうということも起きています。[3] 基本的に子どもへの虐待は「する」ものではなく、「してしまう」ものです。どうすれば、子どもへの虐待をやめることができるのでしょうか?

パート 1
パート 1 の 3:

子どもへの虐待を理解する

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    子どもへの虐待の基本を理解する 子どもへの虐待をやめるために、まずは、あらためて子どもへの虐待とはどのようなものか、見直してみましょう。子どもへの虐待は主に身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトという4つにわけられ、これらは複雑に絡まりあって起こることもあります。[4]
    • 身体的虐待は親が子どもを殴る・蹴る、水風呂や熱湯の風呂に沈める、アイロンを押しつける、首を絞めるなど、身体的な暴行をすることを指します。
    • 心理的虐待は大声や脅しなどで子どもに恐怖を与える、著しく兄弟間差別をする、自尊心を傷つける言葉を繰り返すなど、心理的なストレスを与えることを指します。
    • 性的虐待は子どもへの性交や性的な行為の強要・教唆、子どもに性器や性交を見せるなど、性的な行為を強要することを指します。
    • ネグレクトは保護の怠慢、養育の放棄・拒否などと訳されます。親が子どもを家に残して外出する、食事を与えない、衣服を着替えさせないなど、本来はするべきことをしないことを指します。
    • 4つのタイプのなかで、もっとも多いとされるのは心理的虐待です。[5]
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    虐待の現状を知る 子どもへの虐待は、一部の人の問題ではない、身近な問題です。例えば警察庁が公表している2019年のデータによると、1年間で児童虐待で検挙された人数は2千人以上になります。
    • 虐待による死亡事例は年間50件を超え、およそ1週間に1人の子どもが命を落としていることになります。[6]
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    虐待の傾向を知る  子どもへの虐待の多くは家庭内で行われるものであり、被害に遭うのが外部に実情を伝えにくい子どもであるため、実情をつかみにくいという面があります。一般的には虐待をするのは母親が多いとされています。ただし、警察が摘発するほどのものになると、その加害者は実父が最多で913人、実母が550人、養父・継父が302人、内縁の男が187人となっています。[7]
    • 2016年のデータによると、虐待の被害にあっている年代は小学生が34.0%ともっとも多く、次いで3歳から学齢前児童が25.6%、0歳から3歳未満が19.5%となっています。[8]
    • 被害に遭う性別については、2020年に警察が摘発した事件のデータによると、男児が1013人、女児が978人と大きな差異はありません。 
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パート 2
パート 2 の 3:

自分で虐待をやめる

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    虐待としつけの違いを知る 虐待としつけの違いは一体何でしょう?以前はしつけのために手を挙げる親も大勢いて、それが必ずしも悪とされていたわけではありませんでした。現在では、虐待は「大人が自分の感情にまかせて子どもを力でコントロールしようとすること」で、しつけは「子どもが自分で自分の感情や行動をコントロールできるように落ち着いて教えること」と一般的に考えられています。[9]
    • どんな理由があっても、体罰は虐待です。それは、恐怖によって子供をコントロールする行為だからです。叩かれることによって、子どもは一時的には言うことを聞くようになるかもしれませんが、それは本当の躾とは言えません。
    • 上手にしつけるには、子どもと同じ目線で考えながら言葉をかけてあげるとよいでしょう。なぜそれがいけないかをわかりやすく説明し、子どもに理解させることが重要です。
    • 子どもが良いことをしたときにはしっかりとほめ、手伝ってくれたときには感謝の気持ちを伝えることも大切です。
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    環境を整える 子どもへの虐待は、養育環境も関係していると考えられています。[10] 親自身がいっぱいいっぱいの状態にあると虐待に走るリスクが高くなるため、虐待をやめたい場合には虐待につながるような環境を改善することも有効です。
    • 虐待へとつながる可能性のある要因には、いくつかのタイプにわけられます。代表的なものには親が関係するもの、養育環境が関係するもの、子どもが関係するものがあります。
    • 親に関係するものとしては、妊娠そのものを受容することが困難である、精神的に不安定な状況にある、もともと性格が攻撃的・衝動的である、被虐待経験があるなどがあります。
      • 例えば精神的に不安定な状況にある場合は、カウンセリングを受けるなどして、自分の精神を安定させることが虐待をやめることにつながります。
    • 養育環境が関係するものとしては、未婚を含む単身家庭、内縁者や同居人がいる家庭、夫婦関係を始め人間関係に問題を抱える家庭、転居を繰り返す家庭、親戚や地域社会から孤立した家庭、生計者の失業や転職の繰り返しなどで経済的不安のある家庭などが、虐待が起こりやすい傾向があります。
      • 例えば単身家庭であれば、よいパートナーを見つけて結婚すると、それが虐待をやめるきっかけになることもあります。
    • 子どもが関係するものとしては、未熟児や障害児は虐待の対象となりやすい傾向があります。
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    子どもへの関わりを客観視する 虐待は自分の感情にまかせた結果であることが多いものです。ですので、冷静に自分の言動をコントロールすることは虐待をやめることにつながります。自分の言動を客観的にとらえるように意識しましょう。
    • 「このままいくと危ないな」というときには、その場を離れる、深呼吸するなど、間を空けましょう。
    • 子どもに話して聞かせるのではなく、手紙を書いて伝えると、冷静になることができます。[11]
    • 叱るときに、あえて敬語を使うことも自分の言動を客観的にとらえられることにつながります。
    • 普段の様子を動画で撮影し、それをあとで見直すのもよいでしょう。
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パート 3
パート 3 の 3:

周りと協力して虐待をやめる

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    周囲に正直に相談する 自分だけの力で虐待をやめるのが難しいようであれば、他の人に協力してもらいましょう。その第一歩が自分の両親や親戚、友達、付き合いのある近隣住民などの周囲の人に相談することです。その際には状況や自分の気持ちを正直に話すことが大切で、相談相手の経験から適切なアドバイスを受けられることもあります。
    • 必ずしも、すべてを正直に話す必要はありませんが、嘘はつかないようにしましょう。嘘が含まれていると、相談相手が正確に状況を把握できずに適切なアドバイスができなくなります。
    • 自分の気持ちを言葉にすることは自分を客観視することでもあり、それが虐待をやめるきっかけになることもあります。
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    養育を分担する 子どもと接している時間が長いと、それがストレスになり、虐待へとつながることもあります。パートナーや親戚、ベビーシッターなどに子どもの面倒を頼んで、養育の負担を減らすのもよいでしょう。
    • 日常的にお願いするのはもちろん、1週間などの長期に渡って子どもの面倒を依頼し、あらためて子育てを見直すのも有効です。
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    専門機関に相談する もっとも効果が高いと考えられるのは、虐待をやめるための専門機関に相談することです。代表的なものとしては児童相談所があります。児童相談所はすべての都道府県および政令指定都市に最低1以上の児童相談所が設置されています。
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ポイント

  • 最近は「乳幼児揺さぶられ症候群」も問題になっています。乳幼児揺さぶられ症候群は親がイライラしたときに、乳幼児を激しく揺さぶってしまうことで発生する乳幼児の頭部損傷です。子どもが泣き止まないことに起因することが多いとされています。
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注意事項

  • 虐待してしまうのは一つの依存症で、「やめたくても、やめられない」というケースが少なくありません。[12] 子どもへの虐待は身近な問題で、加害者となってしまうのは恥ずかしいことではありません。事態が悪化する前に専門機関に相談するという発想も大切です。
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カテゴリ: 子供
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