子どもがいじめっ子だった時の対処方法

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子どものいじめ問題は、確認されている発生件数だけでなくその内容など、深刻な状況が報告されており、多くの親たちは、我が子がいじめられる可能性に対する不安と対峙しています。ここで見過ごしてはならないのが、いじめられる子どもが存在する以上、いじめる子どもが存在している事実であり、自分の子どもがいじめる側となってしまう可能性です。「うちの子に限ってそんなことはない」と信じたいのが親心ですが、いじめの被害者となってしまった際の対処法同様、加害者となってしまった場合も対処が必要です。いじめっ子の親という立ち位置に立たされた際、何をなすべきなのか、優先すべき順位はどうなのかなど、保護者として責任ある誠実な対応が求められる現実を、しっかり認識しておきましょう。

方法 1
方法 1 の 3:

速やかに状況を把握する

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    いじめる理由を知る 子どもを持つすべての親が、正しく踏まえておくべき子育て上の重要事項として、なぜ子どもが『いじめ』という行為に及んでしまうのか、その原因が挙げられます。自分たちの子ども時代を冷静に振り返ることで、あるいは自身が今感じている、日々のさまざまな場面で生じている理不尽なパワーバランスの不均衡を思い出すことで、そのヒントが見つけられるかもしれません。いずれにせよいじめは許されぬ行為であり、いじめる側は軽い意地悪や冗談でからかったつもりであっても、こうした行為を受けた側が「いじめられた」と感じたのであれば、それはいじめに他なりません。この認識を親子で共有すべく、まずは親である自分自身がいじめの原因を理解し、子どもの何気ない言動がいじめと解釈される可能性を踏まえておきましょう。[1]
    • 学校などで集団生活を営む子どもは、自分たちとは明らかに違う『何か』を持つ子どもの存在を受け入れられず、攻撃のターゲットとする傾向が見られます。1人だけ髪の色が違う、1人だけ通学時のカバンが違うなど、自分たちとは異なる要素を排除すべく、いじめに走る傾向が否めません。
    • 最初は相手の間違った言動などを正そうとしていたものの、いつのまにか是正行為がいじめへと変化してしまう場合もあります。加害者側は「向こうが悪い」と思っているため、いじめているとの自覚が希薄です。
    • クラス内の中心人物や仲良しの友だちがいじめを始めた結果、断り切れず仕方なく自らもいじめに加わるケースも、潜在的に少なくありません。いじめへの加担を拒否した場合に、矛先が自分に向けられることへの恐怖感が作用しているケースが多いとされています。
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    事実を確認する 被害者の親に突然怒鳴り込まれる、見知らぬ子ども同士の会話が偶然耳に入ったこなど、自分の子どもがいじめの加害者である可能性が示唆(懸念)されるきっかけはさまざまです。にわかには信じられない・信じたくない・誤解であるなどの感情が先に立つかもしれませんが、火のないところに煙は立たないのが現実です。ここで迅速かつ確実になすべきことは、事実を確認することに他なりません。頭ごなしに子どもを問い詰めないよう、子どもが加害者だと決めつけるような発言に及ばぬよう、細心の注意を払い、子どもと腰を据えて話し合う時間を確保しましょう。[2]
    • いじめと遊び・いじめとけんかの区別がついていない子どもは少なくありません。被害者と思われる子どもと、どのように接して(遊んで)いるのか、どのような出来事があったのかなどを、子どもの口から話させる誘導話法に努めましょう。親が「こうじゃなかったの」「どっちだったの」などと回答となる選択肢を提示すると、それが事実確認の妨げとなる可能性が高まります。
    • 集団でいじめに及んでいる場合、1人1人がいじめている時間は短く感じられ、いじめる側の罪悪感が小さくなりがちです。しかしながらいじめられている側は1日中攻撃され続けることになります。子どもの話以上に被害者は大きく傷つけられている可能性を、冷静に見極めましょう。
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    親としての責任ある対応に備える 子どもからの聞き取りや外部からの情報などから、子どもの行為が『いじめである』との判断に至ったのであれば、最優先されるべき相手への謝罪を始め、親として対処すべきことは少なくありません。同時に同じ過ちを子どもに繰り返させないためにも、一連の行為がいじめに該当することを潔く認め、謝罪の上被害者に和解を受け入れてもらえるプロセスを、親子で一緒に踏まなければならないことを、正しく理解させる必要があります。謝罪から和解へのプロセスとして、順を追って以下の4つを、それぞれ確実に実践しましょう。[3]
    • 子どもがしたことを振り返る 子どもがこれまで被害者に行った行為をすべて書き出しましょう。相手の持ち物の何を奪い取ったのか、壊したのか、落書きしたのか、どのような言葉を投げかけたのか、暴力を振るったのかなど、思いつく限りを洗い出しましょう。次にその時の自分の本当の気持ち(面白かった・友だちに強いられて渋々だった、など)を正直に言葉にして書き記しましょう。続いて相手の気持ちを想像して書き記しましょう。
    • いじめに及んだ理由を見極める 子どもだけでいじめに及んだ原因を見つめる作業は難しいため、親や学校の先生が寄り添い、一緒に考える環境が大切です。子ども自身が抱えている悩みや苦しみを、無意識のうちにいじめで発散していた可能性に着目しましょう。普段から他人のせいにする、いいわけが多い子どもの場合、集団心理からいじめに加担していた可能性もあります。こちらもすべてを書き出すことで、より明確に原因を見極める作業に努めましょう。
    • 二度と繰り返さないための方法を考える 子どもがいじめの事実を認め、反省している様子が伺えたのであれば、二度といじめには及ばないとの誓約書を、本人に書かせましょう。同時にこの書面が形だけとならぬよう、親子で二度といじめを繰り返さないための方法を話し合い、思い浮かんだアイデアを書き記しましょう。
    • 罪の償い方を考えて提案する 相手への謝罪なくして罪を償う第一歩を踏み出すことはできません。直接被害者と面談し、学校の先生や相手の保護者にも立ち会ってもらい、心から謝罪する姿勢が大切です。その際には相手の気持ちにしっかり耳を傾け、奪い取ったり壊した物品は弁償し、返すことができない被害に関しては、相手の要望を聞きましょう。
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    親としての覚悟を確かめる いじめの謝罪という場面では、加害者の子どもが心の中で思っていることを上手に表現できず、相手に謝意が十分伝わらないケースが少なくないと言われています。結果加害者の子どもの反省の気持ちそのものが薄れてしまっては、仮に表面上の和解を確かめられたとしても、根本的な解決は期待できません。子どもが加害者という立ち位置に再び立ってしまわぬためにも、親もまた勇気を持って子どもに寄り添う必要があります、ここで求められる『親としての覚悟』をしっかりと自問自答の上で、親子で誠心誠意の謝罪に臨みましょう。
    • 潔く謝罪する覚悟 時に被害者の親(保護者)や家族から、我が子の行為と自身の監督不行き届きなどに対し、辛辣な言葉が届けられる可能性が否めません。あらゆる謝罪の場面の鉄則である「ひたすら深く謝罪し、その場ではいかなる感情にも流されず、勢いで反論してはならない」を実践する覚悟が求められます。
    • 子どもを正しい方向に指導する覚悟 いじめに及ぶ子どもの深層心理として、『いじめの事実が見つかったのは運が悪かっただけ』など、表面上の言動に反し、心の底から反省していない可能性が見過ごせません。「謝って許してもらえたから、次からは気をつけよう」という雰囲気が親子間で漂ってしまうと、再び同じ過ちに及んでしまうリスクが高まります。親として子どもの『こころ』を正しい方向に導く覚悟と、その具体的な方法を凝視し実行する姿勢が望まれます。
    • 家庭環境を改善する覚悟 家庭環境が子どもにストレスを蓄積させ、そのはけ口として被害者をターゲットとしてしまっている可能性を考え、子ども目線で家庭環境を今一度見直しましょう。過干渉な行動に及ぶ、子どもの話に十分耳を傾けない、両親の不仲が家庭内で露骨であるなど、誰にも言えない悩みの原因が親側にある可能性も否定できません。
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方法 2
方法 2 の 3:

謝罪する

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    被害者に誠心誠意謝意を伝える いじめの加害者の親として、被害者に誠心誠意の謝意を伝えますが、ここでしっかり意識すべきもう1つのポイントが、子どもに「自分のことで親が第三者に頭を下げている」姿を、しっかりと見せる姿勢です。子どもにとって親は自分が頭を下げて謝る相手であり、親が頭を下げて詫びている姿を目の当たりにすれば、大きな衝撃を受けても不思議ではありません。こうした経験を通じ、子どもの心に「二度といじめはしない」「親にこんなことをさせてはならない」との、反省の気持ちをしっかりと芽生えさせましょう。
    • この間接的な効果はあくまで二次的に期待すべきものであり、意識が我が子に向き過ぎた結果、わざとらしい謝罪となってしまっては、被害者に十分な謝意が伝えられぬばかりか、逆効果となります。
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    あくまで冷静に対応する 自分の子どもがいじめの加害者であった事実を受け止め、自身の中で十分に覚悟を確かめた上での謝罪であったとしても、潜在的に残る精神的衝撃は大きく、冷静な判断や対処が難しくなりがちです。被害者への誠心誠意の謝罪に力を注ぐ一方、社会的常識を逸脱した、たとえば法外な金品の要求などに対しては、あくまで冷静な対処が求められます。加害者であるからと被害者の前で卑屈になり、理不尽な要求に屈する必要はありません。
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    親子(家族)で反省し改善に努める 被害者への謝罪を通じ、一応の和解もしくは関係修復が叶ったのであれば、そこからもう1度、親子(家族)で、一連の出来事を反省しましょう。この状況下、子どもは自分のせいで生じた一大事に、それなりの決着が見られたことで、内心大きな安堵感を覚えています。無神経に子どもの一連の言動をふたたび蒸し返したり、間違っても「あなたのせいで謝る羽目になった」と伝わるような言動に及ばぬよう、細心の注意を払いましょう。焦らず日々の暮らしの中で気づいた小さなことを見過ごさず、それぞれに対し手確実な改善に努める姿勢が、今回生じたいじめ問題の根本的解決につながるでしょう。
    • とりわけ被害者の親が理不尽な言動を叩きつけてきた場合は、自身も感情を持つ人間である以上、やるせなさのはけ口となる矛先を、無意識に探しがちとなっても不思議ではありません。ここで子供に鬱憤を叩きつけてしまっては、親が加害者の『子どもいじめ』となってしまい、すべてが台無しどころか、子どもの心に大きな傷を負わせてしまいかねません。
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方法 3
方法 3 の 3:

ふたたび加害者にならないように育てる

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    いじめっ子になる原因を検証する いじめっ子になってしまう直接的な原因は、それぞれの子どもによって異なりますが、性格や家庭環境、親の価値観などにいくつかの共通点が見られます。自分の子どもがいじめっ子だった、いじめに及んでしまった場合、以下に該当するかどうかを確かめることで、その原因をより正確に見極めましょう。[4]
    • 家庭内でストレスを溜め込んでいる 親が察せられない原因も含め、家で過ごす・親と同じ空間で過ごす時間が心地良くないと感じている。
    • プライドが高く常に人を見下していたい 自分よりわずかでも優れている・輝いている・楽しそうな存在が許容できない。
    • 自己肯定感が低い 自分に自信がなく、さまざまな場面で「どうせ自分は駄目なんだ」と、最初から諦めモードであることが多い。
    • 自己中心的 何に対しても主導権を握りたがり、自分がお山の大将でなければ我慢できない。
    • 常に注目を浴びていたい 虚栄心が強く、いつも自分が話題の中心で、周囲に人が集っていなければ満足できない。
    • 嫉妬心が強い 些細なことも妬ましく羨ましく、そうした感情を覚えさせた相手が許せない。
    • 幼い頃から他人と比べられていた 「〇〇ちゃんと比べてあなたときたら」「おにいちゃんはできるのにあなたはどうして」など、親の育て方や言動が大きく影響しているケース。
    • 友だち間のトラブルを抱えている 対人関係が未成熟な子ども同士のトラブルは、自分だけでの解決が難しく、結果攻撃的な行動に及んでしまう。
    • いじめられることが怖い 被害者になりたくない一心だけで、加害者側に自分の立ち位置を置き、自己防衛しているつもりになっている。
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    子どもがいじめに走るリスクを取り除く 子ども自身の性格など、にわかに矯正が難しい・必ずしもすべきではない点を除いた、親を含めた周囲の大人によって排除が可能ないじめの原因に関しては、適切な対処に努めましょう。
    • 家庭環境の改善を通じてストレスを減らす 家庭環境を再検証し、子どものストレスにつながっていると思われている改善点に気づいたのであれば、夫婦間で十分に話し合い、相互理解と納得の上で、具体的な改善策を講じましょう。一朝一夕にがらりと家庭内の空気感を変えてしまうと、むしろ子どもは戸惑い、新たなストレスを感じてしまいかねません。少しずつ時間をかけて、より好ましいと思われる雰囲気へと移行させましょう。
    • 自己肯定感を上げる 第三者と比較して子どもを叱る・やる気を起こさせようとする言動を慎み、子どもの心の中に『自信』の種子を届け、一緒に育みましょう。「実は自分はダメ人間ではなかった」との気づきが、子どもの自己肯定感を上げる上で不可欠です。
    • 子どもの言い分に耳を傾ける 頭ごなしに否定する、忙しいなどの理由で子どもの主張を遮るなど、これまで親として不適切だった対応を反省し、子どもの言い分に最後まできちんと耳を傾ける習慣を心がけましょう。「自分の話を最後まで聞いてもらえた」との嬉しさが、子どもの正しく素直な心の成長を後押しするでしょう。
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    子どもの心に『思いやり』を育てる 『いじめ』の反対語を考える時、多くの人がおそらく真っ先に挙げるのが『思いやり』ではないでしょうか。相手を思いやる気持ちがより深く大きければ、それだけいじめに及ぶ可能性は低くなり、最終的にゼロにすることも十分可能でしょう。子どもがお友だちにやさしくできた時には、「〇〇ちゃんに△△してあげられたね。えらかったね」と褒めてあげることで、人にやさしくすることの尊さを、その都度教えましょう。「〇〇ちゃん、すごくよろこんでくれたよね」と、結果を親子で確かめることを通じ、次に同じ場面に遭遇した時に、臆せず正しい振る舞いに及ぶことの大切さを伝えましょう。『思いやり』を相手に伝えられる子どもの人数分ずつ、世の中から『いじめ』という悲しい行為が減少を続けることを信じ、子どもの心だけでなく、親である自分自身の中にも『思いやり』を育みましょう。[5]
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ポイント

  • いじめっ子の子どもには、性格面および生活環境面に、いくつかの共通点が見られ、それらがいじめの原因である可能性が見過ごせません。
  • 子どもが加害者であるいじめの可能性が浮上した際には、まずは冷静に事実関係を確かめ、その原因を見極め、家族一丸となった改善に臨む覚悟が求められます。
  • 子どもの心に『思いやり』を育むことが、世の中の子ども社会から『いじめ』をなくす、最も必要かつ大切な親の使命であると考えられます。
  • 自分の子どもがいじめっ子だった場合、最優先されるべき親としての対処は、被害者への誠心誠意の謝罪です。
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注意事項

  • 被害者への謝罪に際し、相手側から社会通念を超えた賠償(金品の請求)が求められた際には、取り乱さず冷静に対処しましょう。
  • 「あなたのせいで親である私(たち)が頭を下げさせられる羽目になった」など、子どもに理不尽な負の感情を抱かせる言動に及んではなりません。いじめ問題は家族全体の問題です。
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このHow.com.vn記事について

How.com.vnは「ウィキ」サイトの一つであり、記事の多くは複数の著者によって共著されています。 この記事は、著者の皆さんがボランティアで執筆・推敲を行い、時間をかけて編集されました。 この記事は14,265回アクセスされました。
カテゴリ: 子供
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